「北朝鮮リスクで円売り」は正しいか

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2340F0T20C22A3000000/?fbclid=IwAR3O-h2-tQr1meVTXnmEL0HJkCKfImlhy4l4Xvwngj8GjKXDAW-GfdRe-Mw

この日経新聞の記事は有料なので、私は「見出し」しか読むことができないのだが、とても疑問に思った。

「北朝鮮リスクで円売り」と取っているが、「円売り(円安)」の引き金は「北朝鮮リスク」だけではない。

その前に「ロシアのウクライナ侵攻」がある。

それに対抗する形で「ロシアへの経済制裁」があり、反動として「ロシアの天然ガスや石油、穀類」の輸入が止まった。

「経済制裁」は聞こえがいいが、実際は「経済戦争」である。

ロシアに金を儲けさせない。ヨーロッパや日本の金がロシアを潤おすことを封じる。

アメリカ強欲資本主義とロシアの経済政策の戦争である。

今回の「経済戦争」でいちばんもうかるのは、資源をかかえているアメリカだけ。

日本もヨーロッパの国々も天然ガス、石油がない、小麦がない、と苦しむ。

この記事の問題は「北朝鮮リスク」を見出しにとることで、アメリカが主導している「経済戦争」を隠していることだろう。(これは、見方を変えて言えば、アメリカが「軍事戦争」でも、影響力をもっているということを隠している、ということである。アメリカは、軍備をヨーロッパに売りつけるという商売を陰でやっている。「軍事戦争」でも金儲けをしている。)

それにしてもなあ。

円安になれば輸出型企業が儲かる、というアベノミクスがつづくかぎり、円はどこまでも安くなり、国内の物価はどんどん上がる。

「経済制裁」は「経済戦争」なのだから、あらゆるものを輸入に頼っている日本は「円安」の加速で、どんどん貧しくなる。

その影響が、端的にあらわれた。

「有事の円買い(円高)」というのは、世界的な「経済戦争」を考慮しないときの幻想だと思う。「有事」の相手国を「北朝鮮」のような資源を持たない国を相手にしているときだけだと思う。

そこから発展させて考えれば。

「台湾有事」と安倍を中心とする自民党は言っているが、中国相手に「経済戦争」をすれば、その影響はロシア相手の影響よりはるかに大きいだろう。

特に、日本は。

武力の戦争はもちろんしてはいけないが、「経済戦争」もしてはいけない。「経済戦争」は「消費税」のように、あらゆる人間にまんべんなくふりかかってくる。

「経済」などの人間活動には「戦争」ではなく、「競争」というもうひとつの方法がある。

「民主主義」というのは、いわば「競争社会」。それが「誰にでも成功のチャンスがある」というアメリカンドリームの基本。「経済戦争」は、その基本を否定している。

かつて、ネットでアメリカのおもしろいビデオを見た。

100メートルか200メートルかしらないが、学生が競走をする。ゴールは決まっているが出発点が違う。両親が健在の人、一歩前に。両親が白人の人、さらに一歩前に。一家の年収が〇万ドル以上の人、一歩前に。持ち家に住んでいる人一歩前に。

「経済格差」があるとき、自由主義(民主主義)の「平等な競争」という原理は成り立たない。

「経済制裁」という「戦争」のあとに待っているのは、とんでもない「格差社会」である。日本国内だけではなく、全世界にこの格差はひろがり、それはやがては「格差戦争」を引き起こすだろうと思う。

この「格差社会を是正する戦争」を、むかしは「革命」という美しいことばで呼んだ。

ちょっと書きすぎたか。

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谷内修三
マスコミ批判、政権批判を中心に書いています。これからも読みたいと思った方はサポートをお願いします。活動費につかわせていただきます。