『 海町 diary 』
こんなタイトルを付けてると、是枝監督の作品のことだと思われるでしょうが、まったく違います。(ゴメンなさい)
振り返ると、
その昔、木更津という"海町"で生まれ
幼い頃は、富津(港町)に住み
小、中学校は港区の南麻布で過ごした。
南麻布というと、都心の中の都心だけど
港区には芝浦があって、芝浦の倉庫街で遊んだりもしていた。(当時はまだ今のように開発されてなかった)
その後、また木更津に越し(高校時代)
高校を卒業してから、4年ほど、杉並区に住んだのだが、それ以外はずっと、東京湾沿いに住んでいる。
気がつくと、いつも側には東京湾がある
もちろん、東京湾だけでなく、国道を下れば
館山や白浜、山を越えて行けば、鴨川、勝浦、千倉などの外房の海もある。
ある夏、僕は灯台脇の向日葵たちに話しかけた。
「そんなふうに、毎日、ずっと太陽の方を向いて立つのは疲れないのかい?」
最初、知らんぷりをしてた向日葵だが、優しいひとりが答えてくれた。
「まあ、そう言われりゃ、そうかもしれないな。でもね、"それがあたりまえ"になっているから、きっと慣れてしまったんだな。
人間ってのは疲れないのかい?」
少し考えて、僕は答えた。
「人間は、ものすごく疲れるよ。仕事のこと、
生きること、明日の天気、月末の銀行の引き落としまで、毎日、毎日、考えることばかりだからね。」
「それと同じさ。」向日葵は笑って答えた。
なるほどね。と、僕は納得した。
その間も、向日葵たちは、姿勢を崩さず、
みんな訓練された兵隊のようにピシッと太陽の方を向いていた。
「お互い、いろいろ大変だね。」
「まあ、そうだね、人間も、向日葵もね。」
「また、気が向いたら会いにくるよ。」
「あんたも、向日葵になるといいさ。」
「そうだね。考えてみるよ。」
僕の人生が、この先どうなるのかわからないが
おそらく、どこかの海町で暮らすのであろう。
なんとなく、そんな気がする…。
対岸の、港町 横浜はクルマで30分だし、
もう少し行けば、鎌倉や、葉山、横須賀だってあるのだから…。
海の匂いも、潮風に吹かれるのも、
波の音も、好きなのだ。
もちろん、港にある灯台も…。
それが、僕の『 海町diary 』なのだと思った。
懐かしい写真を見つけたので、載せてみる。
10年前の、横浜 赤レンガ倉庫でのもの。
この頃はまだ、髭も黒く、精悍に見える。
時間(とき)の流れは、矢のように早い。
猪鼻康幸
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