『 周りの見る目 』
前回までで、僕、窪内、小川の
shima 合格ということを書いたが、
15組のミスター・大場くんはshimaを受けていない。
本命の、PEEK-A-BOOに見事合格した。
PEEK-A-BOOは、男子しか採用しないというのが特徴で
川島文夫先生に、憧れる人が選ぶサロンだ。
もちろん、採用人数は少なく、難関だ。
結局、いつも一緒にいたメンバーが
有名美容室への入社を決める結果となった。
※根布谷さんは、美容師そのものへの情熱もなかった。どこへ就職したのかもわからない。
いつもと変わらず、学食に行ったり
廊下を歩いていただけだが、
周りの女子生徒の反応は露骨だった。
僕らを見かけると
ひそひそ話しをして、
やっぱりオーラがあるね。とか
shimaとPEEK-A-BOOだよ!
などと、名指しでジロジロ見られるようになった。
※ 大場くんは別として、僕なんかにオーラがあるわけがない。
女子の取り巻きは、いよいよエスカレートして
なんだか、女子同士での派閥みたいなものまで出てきた。
やれやれ…。
僕は変わらず、ショーコと付き合い、仲良く過ごしていたが
なんだか、思うような調子は出なかった。
ショーコ自体が、まさか僕が
shimaに入れるとは思わなかったため
自分が行く、吉祥寺の「松本平太郎美容室」
(一般的美容室だが、店舗数が30くらいある)
が、引け目に感じてしまったらしい。
だから、ショーコも受ければ良かったのに…。
就活あるあるなのか、
ショーコは、自分とやっちゃんは釣り合わないとか言い出す始末。
なんとか説得して、ショーコへの変わらぬ気持ちを
何度も、何度も伝えて、ようやくわかってくれた。
二月は、どこもかしこも、就職話しで、
◯◯はどこに受かったよ。とか、ダメだったよ。とか
そんな話で持ちきりだった。
僕は早々に就活を終えたので、あまり他の人のことは興味なかった。
それより、この楽しい学校生活が
あと1ヶ月で終わってしまうことに
寂しさと、虚しさを感じていた。
2月末、山野、最後の行事ともいえる
プチ修学旅行みたいなのがあった。
場所は、確か箱根。小涌園に宿泊した。
その頃は、もうほとんどの生徒が就職先を決めていて
バスの中や、芦ノ湖、小涌園、いろんな場所をワイワイと楽しく過ごした。
そのときに、誰かが撮ってくれた写真を見つけた。
相変わらず、女子人気は続いたが
卒業すれば、そんなものは終わる。
ん? 卒業… 卒業…
いよいよ、大好きな学校の卒業が迫っていた。
つづく。
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