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『 新たな目標はバーテンダー 』

BARでの仕事は、キツイけど楽しかった。

まったくの素人で始めた僕には、

覚えることが多すぎて、戸惑うこともあったが

でも、そのくらいの方が

やりがいを感じて、ちょうど良かった。

美容師を挫折してから、何をやりたいのか

見つからなかった僕にとっては

バーテンダーというのは、新たな目標となり、

ひたむきに頑張ることができた。

そして、それと同時に、"向いてる"という感触もあった。

基本的には、地味な作業が多いが、

お客さんの前では、ステージの上にいるような

感覚で振る舞うことが、とても大事なのだとわかってきた。

お客さんは、"非日常"を楽しみに来るのだ。

そのためには、お酒の知識だけでなく

気の利いた会話や、その人が求めてることを

見つけるよう努めた。

徐々にだが、マネージャーとも

阿吽の呼吸で、流れるようにオーダーのやり取りも

出来るようになってきた。

あとは、自分がいろんなことを取得して、

カラダで覚えていくだけだ。

三ヶ月を過ぎた頃から、

シェーカーの練習を始めた。

これも、かなりな難関である。

営業時間前に、シェーカーに氷と少量の水を入れ

小気味よくシェイクする。

これが、なかなか上手く振れない。

途中でつっかかったり、リズムが狂ったり

イメージ通りにいかなかった。

マネージャーの振り方を真似してみても

どうもぎこちない。。。

休日にホームセンターで、マイ シェーカーを買った。

それから、毎日 鏡に向かってシェイクの練習をした。

僕は、お米を入れて、その音を聞いて

ちゃんとシェイクできてるか判断をしたのだ。

このやり方はすごく良くて、

まず何がいいかと言うと、いくらシェイクしても冷たくない。

氷を入れると、冷たくて30秒は振れない。

まずは、一定のリズムを崩さないように

1分間、シェイキングすることを目標にした。

もともと器用な僕は、コツを掴むとすぐに

型が様になってきたのだ。

できるようになってくると、さらに

楽しく思えるのが、この仕事のいいところだ。

もちろん、そればかりではないが

順調に、駆け出しバーテンダーは成長を始めたのだった。

つづく

20代の写真。たまたま見つけた。


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