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私の光る君へ10

大河ドラマ『光る君』第10回「月夜の陰謀」について
 冒頭、晴明と兼家の密談。『大鏡』とは違って、安倍晴明の謀略を藤原兼家が買って、実行という解釈のようです。ユースケ・サンタマリアの晴明は、兼家以上の腹黒ということになりますが、それでも「事」を「星宿」に従って運ばなくてはならないようです。
 花山天皇と彼をなだめすかした道兼が、清涼殿の夜御殿を出御させてから、元慶寺でご剃髪させるまでの時間を丑の刻~寅の刻(㏂1:00~㏂5:00)と定められている。星宿に頼らなくても、いかにも謀略にはふさわしい時間帯。その夜が「満月」であった(有明の月のいと明ければ…と大鏡に記載)というのが、どう考えても「なにがしかがしといふいみじき源氏の武者たちさるべき」武力の準備があったと、私は思いたいわけです。
 
  ずいぶん昔、初めて大鏡を学んだ頃、源氏の武者たちの脚注に、源頼光、渡辺綱、坂田金時、などと書かれていた(ような…)記憶があって、金太郎さん(坂田金時)も足柄山から都に出てって、エライ汚い仕事もしたんだろうなぁ~と、思った、コアでピュアな瞬間を思い出すわけです。そんな理由で、直秀さんは今度は坂田金時あたりで再登場とか、思ってみたわけです。毎熊さん、本当にもう出ないのかしら。(直秀ロスの皆さん、多いらしくてうれしいです。)
ー大鏡より引用ーーーーーー
 あはれなることは、おりおはしましける夜は藤壺の上の御局の小戸より出でさせ給ひけるに、有明の月のいみじく明かかりければ、(花山天皇)「顕証にこそありけれ。いかがすべからむ。」と仰せられけるを、(道兼)「さりとて、とまらせ給ふべきやう侍らず。神璽・宝剣わたり給ひぬるには。」
ー役だつはずもない受験テクーーー
 平安時代の「あはれ」は普通は趣がある、風情がある、などと解するのが多いが、この「あはれ」は、現代に近く、【お気の毒な】と解するのが適切です。「給ひ」は、古文には多く登場する、尊敬の補助動詞。主語に対する敬意が、尊敬語なので、神璽・宝剣(もの)を尊敬するという珍しい例で、試験の敬意の対象で設問されます。
 
 道綱(演・上地雄輔)のへっぴりごしの、いかにも、なるほどみちつなぁ~という、神璽の持ち方には、(大鏡では道兼が動かしているが、扶桑略記という史書では道綱の仕事)父・兼家と四人兄弟会議の裏の意味が、実にしみじみ反映されていて、をかしけれでした。
 密談~謀略会議~後の父・兼家と実は五男の三郎・道長のやり取りは、大河の底流を見せるような、意味深さを感じました。兼家は自身も三男で、次兄兼通と醜い確執があった。だからか、道長に独特の思い入れがある。「お前が残って、家を支えてくれ。」大鏡も扶桑略記も、この謀略から、道長を遠ざけて書いている。それは、今回の脚本通りに、兼家さんの意思が本当にあったのかも~と、信じたくなるような父子の、深くてイイやり取りでした。
 
 道長君は、お父様の気持ちより〜まひろ!とにかく、まひろ!ですね~二十歳の若者、女子のことで頭がいっぱい。家とか家系の存続とか、全然考える余裕もない。ラブレター、道長が二回和歌、まひろは、彼の気持ちを遠ざけようと、漢詩ですね~平安時代の男女的には逆転してます(笑)でも、ナニセ紫式部さんですから(^_^;)
 後輩役の行成くん(演・渡辺大知)にもらったアドバイス、漢字には意思がある!〜三回目のラブレター「我亦欲相見君」、わかりやすい漢文です〜誰かの詩にあるのかしら?〜「相見る」をちょっと辞書引いてみて下さい~そういう意味です!!まして平安時代ですから(平安時代、見る、は男女関係をさす)〜まひろは覚悟の上で、荒れた舘に走っていったと〜私は思いますよぉ➖
 さて、肝心のラブシーンですが、我が家のテレビの画像解像度に問題があるのか、うちの娘の視力が良すぎる(1.5)のか、天井の穴から雨が降ってる、ナニモアンナ場所デ☓☓しなくても〜イヤイヤ違う!〜アレは月の光が降りそそいでんのよ!~などという、ヘンな母子のやり取りになってしまって、多くの皆さんには、幻想的で、ロマンティックだったはずの場面が、我が家では台無しになりましたwww
 交わす言葉。まひろが「己の使命を果たして下さい、直秀もそう望んでいるはず」と言えば、道長は「振ったのはお前だぞ、なんで泣く」、まひろは「人は哀しくても、嬉しくても泣く」「今のは両方」なんていいながら☓☓当時の結婚の形態「招婿婚」(ショウセイコン)を考えると、まひろの嬉しくて哀しい理由になります。道長が二人で都を出よう!という理由も、そこら辺にあります。
 
   為時パパ(演・岸谷五朗)は、夕顔が住んでたみたいなボロ屋で、病の愛人を看取ろうとしてます。優しいです〜だから、彼出世出来ないのです〜でも、ここらへん、源氏物語の夕顔や末摘花へのリスペクトを感じます。
 詮子の相変わらず、父をまるっきり信用してない、悪口、演じる吉田羊さんの面白さで、ほっとする場面です。
 も一人、ほっとさせ役、秋山・実資は、来週どんな「正論」を言ってくれるか、とても楽しみです。クロいけど〜(-_-;)
 千年前ではあっても、ちゃんと正論を言い、俯瞰でものを視える人がいて、この国が動いて来たんだと感じられる、とても大事な存在と演出です。頑張って➖

 
 
 


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