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私の光る君へ〜大河「光る君へ」第18回〈岐路〉〜雑感(見逃した方もどうぞ)

 (まだ)995年。まひろ(吉高由里子)の未来の夫、藤原宣孝(佐々木蔵之介)が5年ぶりに遠い筑紫の国から帰ってきた。父・為時(岸谷五朗)には唐の酒、まひろには、唐の紅。ああ~これが「からくれない」か。薬指で紅を指す、まひろの所作は色香がある(^^♪
 遣唐使が廃止されても、宋の国とは、文物の交流が盛んで、他にもお土産たくさん。身分を問わず受けられ、高官にも上れるという、「科挙」の話を聞き、まひろは行ってみたくなります。きっと直秀(毎熊克哉)の「一緒に行くか」がまだ胸に残っているはず…でも、ここでは、宣孝氏が「まひろが行くなら、おれも行こう」…タイトル。

 たった四人の、殿上人の控えの間。道隆(井浦新)の後継をめぐって、≪伊周(三浦翔平)を関白≫と、中宮(高畑充希)が帝に頼んでいるという、噂に「出過ぎ者の中宮じゃ」という実資(秋山竜次)に、道綱(上地雄輔)が「伊周様も若く、帝も若いでわね。」と言って、実資は「時には的を得たことを言う。」と褒めて、「わしは好きではないが、道兼様(玉置玲央)が順当じゃ、好きではないがの。」これをまた帝(塩野瑛久)がのぞき見。ユーモアシーンのようで大事なシーン。

 帝は、中宮定子の所に、伊周を呼んで、「関白は道兼に」と事前予告をして去られ、伊周は定子に散々なアクタイ。定子は、伊周に、「もっと人望をえられませ」とアドバイス。三浦翔平クンの、これからがミモノの演技が始まりました➖➖

 道兼は、道長を自邸に呼んで、感謝を伝える。
「(汚れ仕事の道具として使われた)父への恨みは消えた」
「あの世の父が驚くような政をしたい」……
 このまま、この方の関白が続いても良かったのではないか?……いやいや、それでは、彰子入内の時期がずれて、源氏物語のストーリーが違っちゃうんじゃないかなァ~

 ここからが、玉置玲央一世一代の「藤原道兼七日関白」の大舞台。
 清涼殿で、道兼は帝に、関白宣下の慶賀奏上に参内し、その直後に殿上人たちの前で倒れてしまう。弟・道長(柄本佑)の、助け起こす顔に兄弟ゆえの苦悶。
 場面はそのまま、道兼の屋敷に。薬師を連れて現れた道長に、
「俺は疫病だ〜入るな」
「お前が倒れたら、我が家は終わりだ〜入るな〜もう来るな」
帰りかけた道長の背に、道兼の読経の声。(グッときました↓↓↓)
「俺は浄土に行こうとしているのか!?(笑)ブザマな…こんな悪人が(笑)(咳)」
急ぎ戻り、兄の背をさする道長。被るように、道兼病没のナレーション。

 すぐWebニュースになったので、ご存知の方も多いでしょうが、兄の背中をさする演出は、柄本クンの申し出によるもの。号泣。

 こちらは、伊周、隆家(竜星涼)、高階貴子(板谷由夏)、の団欒!?「七日関白とは情けない」の隆家の声。(ファンとして〜こういう人ナンデス…)伊周は、関白になる気満々、母の貴子は「父上が守って下さった。」という、お考え。甘いなぁ~
 道長は、完全脱力。倫子(黒木華)が心配そうに陰から見てます。

 為時・まひろ父娘も、この父娘らしく、道兼の冥福を祈ります。まひろは、「あの方の、罪も、無念も天に昇って、消えますように。」と、琵琶を奏でます。道兼さぁ~ん、浄土に行けちゃうよ~(泣)

【さて、東三条院と呼ばれている、帝の母、女院・詮子(吉田羊)は、里第・東三条殿(父・兼家から相続したと思われる)が火事になり、お気に入りの四歳下の弟・道長の土御門邸(ホントは倫子の邸、平安時代は普通の話)に、当たり前に住んでいます。四歳ぐらいの、女の子にとって、目の前に現れた、弟と呼ばれる赤ちゃんは、母性の強いタイプほど、相当可愛いに違いないと、思うんです。詮子は、その心境で大人になり、いろんな事情で、今や最愛の弟かもしれません。】
 だから、詮子の「遅かったじゃないの?」は、同居の家族の言葉であり、道長の「内裏で仕事が…」は、言われることが、ある程度わかっていての、逃げ腰の台詞です。次の帝との場面も含めて、吉田羊さんの凛とした演技は、素晴らしかったです。「うつけもの❢」そう言われても、政治経験の浅い29歳の道長にとって、「一上(いちのかみ)」=最高権力者の地位は、重かったかもしれません。倫子の「今のままで十分」と、寄り添う姿に、「お前は黙っておいで❢」という、詮子こそが、真の最高権力者なのかもしれません。
 
 続いて、伊周の立候補パーティー。道綱も、公任(町田啓太)も来てます。「実資殿はやはり来ないか。」と言いつつ、不安がよぎる伊周。実資の位とは違う、真の実力が見えます。
 さらに続いて、そのパーティーの様子を公任に聞きに来た、斉信(金田哲)と行成(渡辺大知)。公任は「(伊周の様子は)前よりまし」と言いつつ、道長がやる気さえあれば、という雰囲気。斉信は、道長が出れば、接近が容易。行成は、ずうーと道長推し。

 場面は、御所がうるさいからと、ききょう=清少納言(ファーストサマーウイカ)がまひろの家に、中宮様御下賜の「かりんとう」を持ってやって来ます。清少納言の中宮推しゆえの、伊周寄り見解。「道長様ご存じ?」という、さすがの清少納言の勘の良さ、道長が細かくてうるさい、女房達に人気がない、と聞いた時のまひろのうれしそうな顔は、元カレが約束通りにやっていることを喜んでいるようです。
 
 続いて為時邸。大学寮から帰ってきた、弟惟規(高杉真宙)から、学生たちの間での白居易『新楽府』の人気を聞いたまひろは、それを借りてきてくれと、弟に頼みます。後に、庶民の苦しみを代弁したという、この『新楽府』を紫式部先生は、彰子中宮に講義したとか、で、意味深い場面です。この時代の読書は、借りて写すものですから、まひろさんのアルバイトも成り立つでしょう。

 後半山場。詮子が、就寝した帝を起こしての、内覧を道長に、という、有名な場面で、本当はテレビよりねばった❢…らしいです。
「母より后を選ぶのですかーー」は刺さります❢
 翌朝、道長に内覧の宣旨。
 切れて、定子に当たりちらす伊周。「すばらの中宮」の連呼。もう放送的にもギリギリ。泣かない定子、偉いです。
「嫌いにならないでくれ」と、定子に愛をささやく帝。「嫌いになんかなれません。」と返す定子。悲しいお二人です。
 道長は、次いで右大臣に。左大臣はいないので、道長が一上。会議に出られない、関白にはなりません。
 これを受けての、嫡妻・倫子とその母(石野真子)。第二夫人・明子(瀧内久美)とその兄・源俊賢(本田大輔)。それぞれのあったであろう、人間模様。

 不思議なラストシーン。昔、デートに使っていた、六条の荒邸で、ただ黙ってすれ違う二人。まひろの心の声。「昔の自分に会いに来たんだわ…かける言葉はない」。半ば、心象風景のようでした。この回のサブタイトルが「岐路」ですから…





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