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No.1ファシリテーターとアート鑑賞の関係

ファシリテーターとはどのような振る舞いをする人でしょうか。強制しない、押し付けない、答えを言わない、教えない、こんな感じでしょうか。話し合いの時に、俯瞰的な視点で話し合いのプロセスだけに関わる人ですので、当たり前といえば当たり前ですね。

アート鑑賞の代表的なものは、次のようなものが多いのではないでしょうか。私もそうでしたが、「たまには美術館でも行こう」と思いつく。又は、友達と遊びに行く場所として思いつく。ところが、まず何を見たらいいのかわからない。だから、評判の展覧会に行く。行ったはいいけど人だらけでゆっくり見ることができないし、チケットは高いから、全作品を見ないといけないと思い、見るための行列に並ぶ。見ても何が書かれているのかわからないから、先に説明書を読もうとする。すると、読むだけで時間がかかり、後ろの人が気になり、作品はさっと見るだけで次に行く。よく見ても説明書きにあるところだけしか見ない。そんな感じではないでしょうか。若い頃に私が閉口したのは、同僚に誘われて展覧会に行くと作品を見ているのか、世間話、職場の愚痴を聞いているのかがわからなくなることでした。気持ちはわかるけど、それなら喫茶店に行けばよかった、と思ったものでした。そして思いついたのは、まずは作品について前もって調べていき、キャプションは読まないで作品を見る。興味のない作品は、みんなの頭越しにさっと見て行く。興味がある作品だけ順番を待ってじっくり見る。(順番に見ている人の列が途切れるのを待つ)じっくりと何度も見てからキャプションは読みたければ読む。同僚と行く時も同じような感じで、絵を見ながら絵の話をする。調べてきた内容ではなく、絵を見て感じたことを話す。同僚がいろいろ聞いてきたら知っていることを少し話す。というような方法です。コツはあくまでもさりげなくすることです。いかにも、ということをすると、相手は気分を害してしまいます。(この経験が「アート鑑賞ワークショップ」の開発につながったのです。)

これは、ファシリテーターの手法とよく似ています。目的を見失っている会議の出席者に対して、あの手この手で目的を思い出しでもらい、自ら考えるようにもって行くのがファシリテーターです。しかもやっていることに気づかれないようにあくまでもさりげなく、言葉をかけていきます。結局は会議もアート鑑賞も同じだなあと思ったのでした。

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