Mixerが終わるらしい

私とMixer

MSが今年の7月末でMixerを廃止するとの報道が流れている。
いつものポエミーな気分になったので、ちょっと今の気持ちを書いてみよう。

何を隠そう、このMixer。
一応、私もLv56のユーザであり、配信と視聴にと、便利に利用していたのでサビ終はなんとも残念な話だ。

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まあ自分の場合、主な用途は、攻略のために自分のプレイ動画を視聴するために使っていた。通常の利用方法とは少し異なる使い方だったけれど、XBOXでプレイしているゲームを気軽に録画できるサービスとしては、至極優秀な使い心地だったのだ。

Mixerは最初はBeamという名前のサービスだった。私はその頃からのユーザであり、普通に利用していたら或る日突然、BeamがMSに買収されて、Mixerという名前に変わってから今に至る。

Mixerという名前になって以降、XBOXのダッシュボードにはMixerタブが追加され、シームレスにアクセスできるようなUIにすらしてもらったのに、ここにきてのサービス終了は、なんとも意外な話だ。だって、2020年5月に入ってからも、XBOXのダッシュボード上ではリアルタイムサムネ対応したり、改善が続いていたから。箱ユーザとしては、今後も変わらず箱の公式配信ツールとしての役割は盤石なのだろうと思ってた。

そこにきて、この夏のサビ終である。

サビ終までの猶予期間も殆どない。ユーザやコミュニティの移行は、Facebook Gamingが引越し先と限定されているが、実名系のSNSを母体とした同サービスとは、正直なところ現行のMixerのコミュニティとは文化が異なる為、多くのユーザが移行を選ばない気がしている。


どうして終わってしまったん?

サビ終の原因を勝手に推測すると、

事業として伸びなかったから。つまり、PVが伸びなかったから。

といったあたりであるのは、まあ傍から見ていても、そう間違っていない推測ではないと思う。

真実のところはMS自身の都合によるので、野暮な推測でしかないけども。
これは部外者である利用者が、あれこれ邪推しても仕方のないことだ。

なので目線を変えよう。

ユーザとして何がダメだったんだろ、Mixerって。
いま考えると、ひとつしかない。

パーソナライズが非常に弱かった

昨今の多くのゲーマーがそうであるように、私も複数の動画配信サービスを利用している。

Twitchとかニコ動とか、YoutubeやDailymotionとかだ。俗にいう対抗サービスと言っていいだろう。

並行して利用していれば、当然、どれかのサービスで実装されている機能が、他のサービスでは実装されていないシチュエーションにぶつかると、不便さを感じずにはいられない。

私がMixerに感じていた不満は、下記のような箇所だ。

■ おすすめ動画一覧が、ユーザの言語別に仕分けしてくれない。

■ フォローできるのは、あくまでチャンネル単位であり、個々のゲームをお気に入りとしてフォローする機能が無い。わざわざ検索窓から検索するか、膨大なノイズにまみれたカテゴリ一覧から人間様が選択するしかない。Twitchでは実装されている。

■ コンテンツを探す際も、Twitchなどでは、カテゴリ一覧上に以前視聴したゲームタイトルが優先的に表示されるが、Mixerはそういう配慮もない。

ざっとこんなところか。

私も昼の仕事はエンジニアであるし、その目線からみても、これらの機能の実装自体はそう難しい機能ではない気がする。当然、検索や個人データの追加には、リソースのキャパを勘案する必要があるかもしれないが。

じゃあその機能追加が何故、なされなかったかと言えば、それはもうサービス側のポリシーや、予算といった大人の事情があるに違いない。

そもそもが規模の小さいサービスであったBeamが、MS傘下に入りMixerという名前に変わることで、以前よりは予算も確保出来ていたのでは、と手前勝手に邪推するが、実際はそうではなかったのかもしれない。

Mixerには昨年末より、Beam時代からの創設者が副社長と共に社を離れてしまった上、度重なるリストラや、怪文章めいた会議動画をソースとしたパワハラ労使問題等が噂になっている。更にそれと機を同じくして、有名配信者の頬を札束で叩くやり口で、Mixerに移籍をさせることに成功している。この札束が、同時期のリストラの成果であるのは、想像に難くないだけに、噂通り、開発現場のモラルは今年の初めの時点で鍋底が割れていたのだろう。

この失敗は、ほぼ日本のニコ動がここ数年で、PV数を下げることなったムーブと原因が似ていると思っている。つまり、サービスの機能を類似サービスと同等にして同じ土俵に並ぶ努力こそが、生き馬の目を抜く動画配信サービス界において最も重要であるにも関わらず、そこを怠った、という点だ。

開発者を25%減して有名配信者を買うのではなく、まずは機能を拡充した上で、開発者をリストラするのが冷静な計画だったと思うが、創業者が去り、目先のPV達成がKPIにでもされていたのだろうか? 

MSは今回も随分と短絡的な選択をしてしまったようにしか思えない。XBOXのダッシュボードのMixer向け機能が今年5月に改善された点を考えると、大計画では今年もMixerは継続路線だったと思えるが、なにかちぐはぐなものを感じる。

箱ユーザからみて

XBOXという、とても大きいマスからあれだけ優先的に扱われていたのに、箱からのユーザをうまくPV数に繋げられなかったのは、延々とPVが高いバトロワ系ばかり押してたので、それ以外の人が見向きもしなかったせいではなかろうか。

箱を起動したユーザは、他の人の実況配信を視聴するくらいなら、その手に持ったコントローラーで自分でゲームを始めるに違いないだろうし。おそらくは箱からの視聴数も多くはなかったのだろう。

折角、XBOXというプラットフォームを握っているのに、箱ユーザへのインセンティブもまるでなく、箱で今人気があるゲームの情報を使えたはずなのに、延々とPCのバトロワ系ばかりお勧めで押してれば、そりゃあ箱ユーザからも使われなくもなる。

箱でのプレイヤー数が急増しているタイトルへの導線として利用すれば良かったのに、あけてもくれてもダッシュボードの先頭で推されている動画は、あいもかわらずLOLやバトロワ系の動画ばかりで、いつ開いても代わり映えがないという記憶しかない。

以後、動画配信にFacebookで使用している実名とリンクしたくない箱ユーザは、Twitchアプリを配信ツールに選ぶと思うので、さしたる混乱には至らないと思う。

だが、Mixerで構築されたゲーマー間のコミュニティが、コンシューマ機のプラットフォーマーによって、いとも簡単に破壊されてしまうのは、なんとも悲しいとしか言いようがない。


俺はねぇ、饅頭が怖いんだ!俺は本当はねぇ、情けねぇ人間なんだ。みなが好きな饅頭が恐くて、見ただけで心の臓が震えだすんだよ──── ごめんごめん、いま饅頭が喉につっけぇて苦しいんだ。本当は、俺は「一盃のサポート」が怖えぇんだ。