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秋には消える、札幌ACCセクター

“再編” ってヤツが進んでいます。

「管制処理能力向上のため、平成25年度にとりまとめられた航空交通管制部再編計画に基づき、管制部再編が実施されている。当該再編は、令和6年2月に西日本の再編が完了し、同年3月から順次、東日本の再編が開始される。」

(令和6年、国土交通省 航空局 交通管制部 管制課)

ことし「2月に西日本の再編が完了し」てたんですね。そして、続く「東日本の再編」に伴って、札幌ACCが管轄するセクターが消えつつあります。

ACC : Area Control Center、航空交通管制部(単に “管制部” とも言う)


▲ ACC高高度セクター・FL335以上(AIP, EFF: 8 AUG 2024 に加筆)

2024年8月8日から有効となった “ACC Sector Boundary” の図です。赤の枠内は「福岡FIR」の範囲。この図は、フライトレベル(FL)335(高度約33,500フィート)以上の高高度空域のセクターを示しています。

札幌ACCが受け持つ高高度空域は すでに(2024年6月13日から)無くなっており、東北北部から北海道にかけての高高度セクター(F94セクターと F01セクター)の航空管制は、福岡ACCが担当しています。

一方、東京ACCが受け持つ高高度セクター(緑色の部分)は まだ残っています。


▲ ACC高高度セクター・FL335以上(AIP, EFF: 01 OCT 2024 に加筆)

2024年10月1日発効予定の “ACC Sector Boundary” では、東京ACCの高高度セクターが図のように縮小される計画です。再編に向けた移行がさらに進むと東京ACCの高高度セクターも消滅し、最終的に FL335以上の高高度空域はすべて福岡ACCの管轄になります。


▲ 高高度セクター・FL335以上(やぶ悟空による最終形態の推定)

「再編」が完了したときの高高度空域は、おそらくこんな感じになるのでしょう。国内管制空域(ピンク)と洋上管制空域(色なし)との境界が変わらないとすれば…ですが。


▲ 国土交通省の 412EP(関係ないけど…)


では、FL335未満の低高度セクターも見てみましょう。


▲ ACC低高度セクター・FL335未満(AIP, EFF: 08 AUG 2024 に加筆)

2024年8月8日発効の図では、札幌ACCが担当する低高度セクターがまだ残されていますが…


▲ ACC低高度セクター・FL335未満(AIP, EFF: 01 OCT 2024 に加筆)

2か月後の10月1日発効予定の図では、札幌ACCのセクターは消滅していました。高高度および低高度のいずれの空域からも「Sapporo ACC」の文字が消えてしまうのです。航空の歴史の ひと区切り。

そして、東京ACCが東日本・北日本の低高度空域を受け持つことになります。再編計画は着々と進みます。

この先、変更がなければ この図が低高度空域の最終形態になりますが、果たしてどうでしょう? まだ何かありそうな気配も感じるので、低高度セクター最終形態の(やぶ悟空による)推定図は示さないことにします。

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再編計画が始まったころの私の見込みとは、少し違った全体イメージになってきています。過去の私の記事や図などは執筆時点の公表情報によるものなので、誤りや見込み違いなどはどうぞご容赦ください。

国内管制部空域を、四分割から上下分離(と東西二分)へと大胆に変更しつつある「再編」。低高度空域は、東西に分けるだけでなく、FIR境界付近の空域については福岡ACCが受け持つという意図(?)も見えます。オホーツク海、日本海(対馬付近を除く)、東シナ海と、そして太平洋までも、ぐるりと福岡ACCのセクターに囲まれているんですから。

ざっくり図にすると、こんなイメージになるのでしょうか。


▲ 国内空域再編イメージ

最終形態が どのように落ち着くのか、楽しみにしています。


※ 図はすべて、現時点の情報でやぶ悟空が解釈し、加筆した(または描いた)もの
※ 写真はすべて、2024年夏、やぶ悟空撮影

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