PPP的関心2023#22【民間提案制度について】
東洋大学公民連携専攻(PPPスクール)のOBで現在は一般財団法人地方自治体公民連携研究財団(略称:PPP財団)理事長の藏田さんにお誘いいただき新宿区の公有地・公共施設の利活用を求めるについて新宿区の民間提案制度の説明会&現地視察に参加させていただきました。
今回は新宿区の制度や現場に関するコメントではなく、実際に現場を見て「民間提案制度」について考えたことを書いてみたいと思います。
民間提案制度とは
一口に「民間提案制度」と言っても、その根拠や背景には複数あります
例えば「PPP/PFI事業 民間提案推進マニュアルについて」(令和4年3月 内閣府 民間資金等活用事業推進室)で示されているのは以下の内容です。
PFI法(第6条)に基づく民間提案制度では、民間事業者が地方公共団体に対して具体的な施設等を指定してPFI事業の実施を提案することができること、提案を受けた自治体は検討し遅滞なくその結果を当該民間事業者に通知することが規定されています。
PFI 法等に基づかない民間提案制度についても導入する自治体が2005 年ころから徐々に増加しているようです。それ以外にも、2006 年の「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(公共サービス改革法)」の施行により「官民競争入札・民間競争入札(いわゆる市場化テスト)を活用し、公共サービスの実施について民間事業者の創意工夫を活用することにより、国民のためより良質かつ低廉な公共サービスを実現する」手法の導入による民間提案も行われてきました。
目的は何か。何を実現したいのか。
が官民ともに問われる民間提案制度
繰り返しになりますが、PFI法に基づく民間提案にしてもそうでない民間提案でも、その目的は「国民のためより良質かつ低廉な公共サービスを実現」や「地域の価値や住民満足度をより高める事業にすること」とあります。
ところで。
「目的」を達成する上で不可欠なことは「何が良質」であり「何が(高い)価値」であるかについて明確な方針というかビジョンが示されていることが必須であることは言うまでもありません。何のために官民が連携して何らかの手段を講じるのかについて、手段をいくら考えてもその手段が有益であるか、効果的であるかについて判断はできません(官民のいずれが取り組むのが効率的(≒安い、早い…とか)か?くらいは分かるかもしれませんが)。
例えば、「公共施設の床が空いているので何かしたい人はどうぞ手をあげてください。なんでもいいです。その際に自治体や自治体住民のメリットがあればいいです」…などと言われても、その場で何かが変わるでしょうか。
それよりも「この場所をこんな場所にしたいので、その実現のために有効な良いアイデアを出してくれませんか?」と示される方がその場が変わる想像が働きそうです。
言い換えれば、行政が余剰床を埋める人が欲しいのか、自分たちのビジョンの実現に貢献してくれる協働者が欲しいのかと言うことを問われているのであり、民間も私欲の追求だけではなく地域に必要な公的サービスの共創者になりたいとう姿勢がありますかが問われていると言うことです。
冒頭、新宿区の個別のことではないとは書きましたが、まぁ、参加した説明会で感じたことが起点となってこんなことを書いているわけですから、微妙ではありますが(笑)、少なくとも民間提案制度を活用して公民連携を進めようと考える自治体は、ことに取り掛かる前にビジョンとマインドセットを見直すことは不可欠かもしれません。
民間活力を求めるには何がしたいかを明確にする
そういえば、以前にも「都市経営ビジョンの必要性」って書いてました。
前の記事でも書いていますが、民間提案制度の普及と一層の活用には改めて以下のメッセージを再掲したいと思います。
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