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新・建設業 地方創生研究会 第一回全国会員研修会を終えて。改めて「PPP」を考える

PPP的関心では何度も扱ってきた「新・建設業地方創生研究会」の活動ですが、去る2022年11月17日に”全国会員研修会”と銘打って会員が一堂に会する機会がありました。2022年3月に活動を始めた時には15社だった会員社数が今回の研修会時点では45社になり、さらに会員・会員の活動を応援したいとおっしゃっていただける企業様も増えてきました。
サポーター兼事務局の一員の私としては本当に感謝しかありません。
今回は研修会から一夜経って改めて思ったことを少しまとめてみました。
*写真は9月頭に訪問した旭川ハレテの夕景。講師にお招きした杉村さんの取り組み。

第一回全国会員研修会

今回は「勉強」「知識習得」だけではなく、会員同士あるいは会員と研究会の活動を支援いただく周辺の事業者や異分野の事業者の間で連携の可能性が高まる機会になれば…という意図をもって、研究会会員の地域建設事業者の皆様が「こういう動き方もあるんだ」「一人でやるのは大変だけどこういう人たちと一緒になら何かできそう…」という気づきをもたらしてくれる実践事例をお話いただける講師をお迎えした研修会でした。

研究会「会員」向けのコンテンツですので詳細は省きますが、基調講演には株式会社オガールの岡崎正信さん、地域を元気にしている取り組み事例紹介として株式会社CocoHareteの杉村太蔵さん、株式会社エンジョイワークスの福田和則さんにお話をいただきました。

そもそもこの研究会の根底には仕事を受けるための見積り競争(受注産業)から仕事を創る提案競争(創注産業)へと「土俵」と「戦い方」を変える、まさに建設業のトランスフォームを目指すという考え方があります。
今回の研修会でのお三方のお話は、マインドセット、手法のどれをとっても創注産業への進化を目指す上で刺激的で、連携することでトランスフォームの可能性を感じさせる、そんな期待感が高まるお話ばかりででした。

私自身が改めてPPPを考える機会に

研究会には3つの部会活動があります。その中の一つに地域内の低・未利用遊休地を使い(商業施設の開発を通じて)地域の利便性を高める事業を自ら起こす、「実践的な」土地活用部会という活動があります。また時代の変化に合わせて登場した新しい公共事業の発注形態の一つであるPFI事業やそれに類する事業の仕組みを学び、地域のPF I事業に参入を呼びかけるPPP/PFI部会があります。

研修会を振り返って個人的に考えたことがあります。それは土地活用事業に取り組むことは「幅広にとらえれば」建設業や不動産業が着手しやすいPPP事業に取り組みことと言える、ということです。

PPP(公民連携)事業の定義

過去のPPP的関心のなかでも何度か触れてきましたが、そもそも公民連携の定義について、「事業目的の必然性(公共性)が官民間で明示・共有され」「官だけで実施するよりも効率的(効果的)である」ことを前提とし、その上で①官民間のリスクとリターンの設計(相応な配分)、②事業推進、モニタリングにおいて契約によるガバナンスが重視・遵守されるという2つの原則が踏まえられていること、としてきました。

先ほど低・未利用遊休地を使い(商業施設の開発を通じて)地域の利便性を高める事業は取り組みやすいPPP事業としながらも「幅広にとらえれば」と注記をしたのは、定義にある「事業目的の必然性(公共性)について官民間の共有」という前提が踏まえられているか否かによる、という理由です。

例えば地域建設業として低・未利用遊休地の再開発(使い直し)を企画する際に、例えば地域の雇用促進や雇用拡大、安心安全の向上、就学児童の学びの機会や空間の提供など様々な「地域の課題」を認識しその解決に貢献する手段(働く場、子供の居場所…など)の挿入を意図し、かつそれが官民間で共通認識されながら行われる事業であれば、純粋に民間企業としての投資でありながら実はその時点で地域の経営課題を解決するPPP事業といって良いと思います。

自分の仕事を創りながらその中に地域課題の解決に貢献する仕事を盛り込む民間提案活動への発展

別の見方をすると、PFI事業は「公共施設整備」という行政側の動機を具体化する際に民間資金と民間活力を使う公共事業の変形ともいえ、つまり地域の問題解決の言い出しっぺ(起点)は行政のままだとも言えます。
しかし、地域の課題に気づくことができるのは何も行政だけとは限りませんし、公共が絡まなくても地域に必要な公的なサービスを実現する取り組み方もあるはずです。自分の仕事を創りながらその仕事の中で地域課題の解決に少し貢献できるという提案を民間から行政にする、こんな発想でPPP事業を捉えるとPPP / PFIは難しいしそもそもそんな機会もないという言い訳はなくなり、むしろPPP的な取り組みの方が着手しやすくなるのではないかと考えます。

民間が「自事業を通じて公に貢献している」事例

直接は一度くらいしかお目にかかったことはありませんが、ご本人からお話を伺って、個人的(かつ一方的に)考え方や活動に注目させてもらっている那須のGOODNEWS社の宮本さんの取り組みを紹介する記事をたまたま目にしました。

先のPPPの定義に照会すれば、宮本さんの取り組み地域の行政と施策目的を共有した上で進めているわけではないとは思いますので、厳密な意味でPPP(公民連携)的取り組みで地域課題を解決しているとは言い切れません(堅苦しくてすみません・・・)。
しかし、記事で紹介されているように、事業を通じて確実に雇用、福祉、産業といった地域課題の解消・緩和に繋がっている取り組みがそこにはあります(言いたいことはココです)。繰り返しますが、GOODNEWS社の取り組みは純粋な民間事業ではあるけれども地域の課題に取り組む事業にもなっているということです。
これも(厳密ではないけど)広い意味でPPP「的」取り組みだと考えれば良い、そう言うことだと思います。

堅苦しくもなく大袈裟でもなく。まずは自分の周辺の困り事を解決することから

研究会の活動を通じた学びの中で、実は大事なことはそもそもPPP/PFI事業は誰のため、何のためという「目的」を見失ってはいけないということです。

誰のため、何のためを明確にする意味でも、まずは自分の身の回り、周辺と範囲を広げながら地域の困りごとを自社の事業を通じて解消してゆく、さらにそれを行政と共有しながら広げてゆくことができれば、PFIという行政起点ではない、民間起点のPPP的民間事業を通じて建設業のトランスフォームの第一歩を踏み出せるのではないでしょうか。

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