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『ローマの休日』ハッピーエンド・バージョン     『ノッティングヒルの恋人』1999.09.15    矢部明洋

  ポスターを見た時から、「こりゃ、『ローマの休日』の現代版だな」とにらんでいた。見てみると案の定、そうで、結末がハッピーエンドなのは、『ローマの休日』の時代にくらべて現代はタブーがなくなったということなんだろう。
 さて私は、これを『マトリックス』の後に続けて見たわけだが、当然というか、こっちの方が感情移入でき、面白かった(SFものはアニメ以外は中々感情移入が難しい)。
 成功のカギは、男主人公の周りに配した友人たちの描写だ。
 ヒロインはハリウッドという現代のお伽の国の住人だし、主人公は観客の受けを良くするため、少々浮世離れしたのんびりやさん。作品世界に厚みを加えるため、主人公の友人たちの描写に力を入れ、それが成功している。
 会食の場面で各人が自分の不幸ぶりをユーモアを交えながら告白するエピソードなど、この映画には心地よい苦味があって、一歩誤れば絵空事になってしまうストーリーを救っている。
 ほかに、1年の歳月をワンシーン・ワンカットで見せた場面など大胆な表現もあり、個人的にはサンドラ・ブロック主演『あなたが寝てる間に』以来のラブストーリーの収穫だった。 

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