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K-1はプロレスじゃない K-1 BRAVES 1998.05.22 記者会

 昨年、東京・大阪・名古屋の3ドームを満員にしたK-1。福岡にもドーム球場はある のに、昨年、今回と1万数千人規模のマリンメッセ福岡が会場に使われる。世界進出など景気のいい話題が続くだけに、会見では地元記者から「来年、福岡ドーム進出は考えておられるか?」との質問も飛んだ。
 正道会館・石井和義館長の答えは厳しかった。
「この場では正式には発表できない。プロレスのように47000人も入って、ドームツアーと称すれば話題にもなるが、K-1が考えなくちゃいけない事は、お客さんに喜んでもらうこと。2万、3万と入場者があり、切符が手に入らないというような盛り上がりがあれば、喜んで福岡ドームでやりたいなと思う」
 なかなか意味深な答えだった。格闘技の試合に巨大なドームが不向き、というのは至極 ごもっとも。K-1はヘビー級の打撃マッチであり、派手なKOもあるからまだいいが、 パンクラスの試合などは究極のミスマッチになろう。ドームより小さな会場で観戦できる 九州のファンは幸運ともいえる。両国国技館より小振りな福岡国際センターで九州場所が 見られる大相撲ファンのように。
 石井館長の正論は裏返せば、福岡が他の3大都市圏に比べ観客動員で厳しいことに他な らない。確かに、昨年4ドームを制覇した新日本プロレスも、福岡ドームはせいぜい八分 の入りだった。だが、「プロレスのように…」のくだりは、新日本プロレスの営業力に対 する格闘ビジネスマン・石井館長の強烈なライバル意識の吐露ともとれる。
 米国ラスベガス、スイスと世界へ羽ばたくK-1も福岡では、プロレスに及ばないとい うのも面白い。その差は、専門の営業スタッフも擁する興行会社・新日本と、メディア展 開を主とするフジテレビのビジネス体質の違いだろう。会場の風景にも、その差は明らか だ。地方のプロレス会場でよく見かける、チビっ子やじいちゃんばあちゃんが、K-1の スタジアムにはいないのである。

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