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ミスド嫌い

ミスドの思い出、と言われると、どうしても元彼を思い出してしまう。

彼は、ミスド嫌いだった。

ミスド嫌いというか、ドーナツ嫌いだった。ミスド見かけたら絶対入るレベルで細胞からミスドが好きな私からしたら本当に心の底から意味がわからないのだけれど、嫌いだった。まあ、しゃあないわ、と思ってた。だってしゃあないし。私もトマト、嫌いだし。

だけど私がTwitterで回ってきたミスドの新作を見て思わず美味しそう、って言ったら、今日行こうか、って。ドーナツ嫌いなのに。私は無理しなくていいよって言ったんだけど、彼は頑なに行くって言って聞かなくて、学校の帰りに二人でミスドに行った。彼は終始わかんねーって顔しながら見てて、でも、お会計してくれた。優しかった。新作はもちろん美味しかったけど、彼はやっぱり食べなかった。

あと、彼氏が家族にミスドを買ってくれたこともあった。ふらっと入ったミスド。私は、ドーナツを見たら耐えられなくて、家族用も含めてドーナツを選んだ。彼氏にも選ばせた。わかんねーって言いながらも、結構たくさん選んでくれた。彼氏が、俺が買ってくれたって家族に言ってね、って言いながら払ってくれた。優しかった。味も美味しかったけど、家族のあの視線の方が記憶に残ってる。素直に言わなきゃよかったのにね。

あれから会ってないけど、元気にしてるのかな。私はまだトマト嫌いだし、ドーナツ嫌いは健全なんだろうな。そういえばあそこのミスドに久々に行ったよ。紙袋いっぱいのドーナツを抱えて、ひとりで泣きました。

ミスド嫌いのあなたが、好きだった。

機会があれば、またミスドに行こう。わかんねーって顔するだろうから、今度は私がお勧めを選んであげる。袋いっぱいのドーナツを選んであげる。

会計はもう、私持ちで。

お読みいただきありがとうございます。あなたの指先一本、一度のスキで救われています。