心理的安全性とは何なのか、どうすれば確保できるのかということ


前回のnoteにも書きましたが、イノベーションに必要なワクワクの構造について、連載で書いていこうと思います。

今回は、心理的安全性についてです。

いきなりですが、「心理的安全性」とは何でしょうか?
私は、平たく言うと、「自分が何をしても、社会的・精神的に辛い思いをしないだろうと、本人が思っていること」だと思います。

k-hackのメンバーにインタビューをしていても、「k-hackの仲間たちの方が、自分の思ったことを素直に伝えられる」「自分を受け入れてくれそう」という言葉が出てきました。これこそ「心理的安全性」だと思います。
逆に、「変なことを言って、嫌われたらどうしよう」「これを言っても、興味を持ってくれないだろうな・・・」とメンバーが思ってしまう状態だとすれば、それは心理的安全性が確保されていません。
もう少しきちんと定義すれば、「対人リスクを取っても問題ないという信念がチームで共有されている状態」であるとか、「自分のキャリアやステータス、セルフイメージにネガティブな影響を与える恐れのなく、自分を表現し働くことができること」ということになると思います。

この心理的安全性が確保されていなければ、自由な議論はできず、ワクワクが生まれるわけもありません。ましてや、イノベーションなど程遠い存在です。

このような、心理的状態と仕事上の成果との因果関係は、ダニエル・キムの「組織の成功循環モデル」が参考になります。彼が提唱したように、関係性の質の向上→思考の質の向上→行動の質の向上→結果の質の向上→関係性の質の向上→・・・と循環することで、よりイノベーションのタネに近づいていく、と思います。(詳しくは、こちらのリンクをご覧ください。)

では、いったい、どのようにすれば、心理的安全性を確保できるのでしょうか?以下の3つの考えが重要だと思います。

①承認
承認が与えられることで、「ここにいていいんだ」と思えるようになります。その感覚が無ければ、自分のふとしたアイデアを話してみよう、とはなりません。「承認」と一言に言っても難しいのですが、ポイントは「その人の個性を面白がる」ことだと思います。
イノベーターは、得てして孤独なものなので、その個性を面白がることが非常に大事です。「自分が受け入れられている」という感覚があると、自分を表現するハードルが低くなります。たとえ成果が出ていなくても、まずは承認してあげることから、全てが始まると思います。

② 応援
これは、①承認と似ているようで、少し異なります。承認とは、無条件に、その存在そのものを認めてあげること。他方で、応援とは、彼らがやっている具体的な取り組みを認めてあげ、面白がり、時には掘り下げて質問してあげることです。質問は、その内容が重要なのではなく、質問をするくらい親身になって聞いているよ、というサインが重要なのです。自分も経験がありますが、なんとなく認めてくれることと、具体の話を聞いてくれることは、全然違います。そのレベル感で話していいんだ、とより近しく感じるようになります。

不満の共有
共通目的があれば、さらに心理的安全性が高まります。というより、もはや「仲間」「同志」であると認識できるようになります。といっても、組織やコミュニティがしばしば掲げている”キレイな共通目的”は、耳障りは良いですが、なかなか個人の心には浸透していきません。
k-hackで言うと、「ワクワクするイノベーションを起こそう」という共通目的があって、少なくとも形式上は、それをもとに人が集まってきています。しかし、暗黙の価値観として、「若手から変えていこう」「大企業だけどもっと面白く、自由に動いていこう」というものがあります。そして、その裏返しとして、現状に対する「不満」があり、実はこれこそがメンバーを結び付け、コミュニケーションを促し、かつプロジェクトが生成される原動力になっていると思います。ゆえに、こうした「不満」、ひいては「あるべき姿」を共有できる状態が、より心理的安全性を作ると思います。


こうした①②③の結果、どういう状態になっていれば、「心理的安全性が確保されている」と言えるのでしょうか。私は次のように考えています。

仕事になると、得てして役割(=型)にはまりがちです。役割ではなく、個が先に来るようになれば、イノベーションは起こりやすい、と思います。○○が好きだから・興味があるから、○○という経験を活かして、これをやると自発的に言い出している状態こそが、目指すべき状態なのかなあと思います。

別の言い方をすれば、仕事や役割の中に、きちんと自分が位置付けられているかが重要です。役割通りの仕事をしても、イノベーションは生まれません。個性を生かすしかないのです。

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