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[日記]2020年11月30日(月)

 朝、みるめさんに紅茶を淹れてもらいながら、昨日の鎌倉支店について反省点を述べ合う。宣伝のこと、装飾のこと、選書のことなどについて話す。がらんどうとなったアトリエを見ながら、昨日の残像を見続ける。人の流れや会話を反芻して、昨日の光景をもう一度辿る。ひとまず一度目の区切りが付いたことを自覚する。

 その後、什器と本をまとめて宅急便にて自宅まで送る。この重みは心地良さでもある。痺れが身体に昨日のことを刻んでくれているような気持ちとなる。

 アトリエを辞して鎌倉駅へ向かう途中、住宅地に敷かれた道を通ることとなる。歩道や車道には人々の往来があり、それぞれの生活が繰り広げられている。本を通して、生活を理解したいと思った。それぞれの生活に意味のある本を届けることが、今感じている使命でもある。ただただ自らに自らで課している使命ではあるが、その使命には誠実でいたいと思った。

 自宅へ戻り、完成させた小説を応募する。四百字の原稿用紙の設定が巧くできず、少し焦り始める。試行錯誤の結果、無事に設定を終えることができる。応募の前に、最後と思い、小説を読み返してみる。その時点で完璧であると感じた感情は更新されていて、所々気になる箇所が散見される。何度も直しているうちに、外は暗くなってしまう。夕方が過ぎて、夜に包まれている。どうにか規定時間内に応募することができて安堵する。

 思えば十一月の最終日であった。十一月は忙しなく過ごしてしまった。しかし、この月は始まりの月であると位置付けることにする。あくまでも振り返らず、記憶に留める。記憶に留めて、育ってゆく萌芽を見つめ続けることが大切なことである。

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