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[日記]2020年10月30日(金)

 金曜日の退勤時、電車に乗る時には、大体立っていることにしている。この時期、疲れ切って温かい座席に凭れるとすぐに睡魔が襲ってくる。電車の時間は、貴重な思索と読書の時間である。仕事の言葉から、日常使う言葉へ、頭を切り替えて言語を使い分ける基点となる場所である。

 金曜日の終点間際の電車は騒がしい。日々の疲れを仲間とのさざめきで労い合う人々で溢れている。今日はイヤホンでそのさざめきを遮断し、読書に集中することにする。

 それでも日々の疲れは睡魔を喚んでくる。座席脇、電車のドア前の空間で立ちながらも、睡魔に負けてしまっていた。気が付くと、記憶のある駅名から三つほど進んだ駅名がアナウンスされている。貴重な時間を無駄にしてしまったと思っていると、すぐさま最寄りの駅に着いてしまう。

 外は冬のような寒さである。あまりの寒さに食べようと思っていたラーメンを断念して、一直線に家へ帰る。洗濯機を回し、シャワーを浴びる。

 一度取り憑いた睡魔は、なかなか私のことを放そうとはしてくれない。夢の世界と現実の世界を行きつ戻りつ格闘を繰り広げる。決着が着かないまま、洗濯物が終了した音が聞こえる。

 そこから記憶は途切れている。

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