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[日記]2020年12月29日(火)

 BREWBOOKSで『地の果て 至上の時』(中上健次著 講談社文芸文庫)を購入する。版面が異様に広く、余白を感じさせない本の装丁は、内容にも通じているのだろうか。『岬』から『枯木灘』を通って、最後に到達する『地の果て 至上の時』。物語に没入することを楽しみに思うが、読み終えた後には物語に魂が引き摺り込まれ、放心状態に陥りそうな気がしてしまう。物語の力は強く、信じるべきものであるとも思っているが、同時に不確かなものであるのも考えている。語るか、語られるか。関係性は常に裏と表であり、信じるとも信じないとも言える。

 同じようなことを、引き摺って考えている気がするのである。見ている光景が渦を巻き始めるが、どこに行こうか逡巡しているうちに、渦の真中で立ち尽くすのである。

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