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[日記]2021年3月11日(木)

 明日は有休を消化するために、明日の分の仕事も今日で済ませる。忙しなさを抱え込みながら、気を休める場所は近くの書店である。文庫の新刊台を見ると、『矢川澄子ベスト・エッセイ 妹たちへ』(矢川澄子著 ちくま文庫)が発売となっている。

 矢川澄子は形容し難い引力を持っているように思われる。アナイス・ニンの翻訳、澁澤龍彦の夫人であった人物として認識していたが、とあるサイトの経歴を見て、最期が自死であることを初めて識る。彼女が抱える愛情の深さと言葉尻だけを捉えてしまえば屈託なく振る舞う対人における人間性とをどのように自分の中で折り合いを付けているのかが気に掛かる。誰しもが持ち得る内実と外見の差異はもはや埋めようもなく、深々しく刻まれた溝から覗く暗闇の深さは本人以外に識る由もない。そうあるのであれば、本人以外は思考を深く巡らせることのみが可能なことであり、想像し得るすべての事象に思いを巡らせなければ何も考えられない。そう考え、『矢川澄子ベスト・エッセイ 妹たちへ』を購う。

 明日は鎌倉へ向かい、鎌倉支店の準備を先行して行う。天候が心配ではあるが、晴間を願い客足が繁くなれば良いと思っている。

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