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[日記]2021年3月26日(金)

 明日に控えた「吉祥寺ZINEフェスティバル」の準備をするために、仕事を早く終えると暁闇かと見間違うほどの暗闇に、窓の外が沈んでいる。巡ることのない闇が刻々と迫る窓辺には、揺れないカーテンがただ其処に掛けられている。窓の外に何もないのであれば、私が見ている暗闇は本当の暗闇なのだろうか。部屋の電気を消してみても暗闇は其処にあり続け、感じる時間の流れを反故にするかのような揺蕩いに思わず身を任せそうになる。

 茹でていたパスタが噴き零れる音で人心地がつき、台所へ駆け寄る足音を自分自身で聞く。この部屋の中だけで時間が流れている。この部屋の中だけで時間が流れている。都市はただ佇み、止まっている。そうであるのならば、夢に沈む深更に私は思いを馳せることになるだろう。目を閉じると、暁闇がすぐ其処に迫っている気配がする。

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