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[日記]2021年3月3日(水)

 在宅での仕事を終わらせて、駅前のくまざわ書店へ駆け込む。『山の人魚と虚ろの王』(山尾悠子著 国書刊行会)を購って満足する。仕事を終えた後の脳を微睡ませるには、書店に佇むことが最適である。並べられた文字の羅列の上を視線が滑ってゆき、刺激された文字を食い入るように読む。そこにはまだ知らない言葉が存在し、知らない世界が広がっている。

 幻想文学には想像力を越えてゆく世界がある。未だ目にしていない世界が立ち上がり、眼前に拓けるは近代都市でもあれば、寂寞の荒野でもある。

 明日もまた一日中部屋に篭り、窓を透かして外界を見通そうとする生活が続く。外界に身を曝すことの正しさ、そして捉え難い不和。馴染めない障壁を感じながらも、絶え絶えにならないように均衡を保って生活したことを噛み締める。

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