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[日記]2020年11月20日(金)

 在宅勤務を終えて、部屋でビールを飲む。在宅勤務の後にビールを飲むと、普段よりも早く眠くなってしまう。自宅で仕事をする時には、緊張と緩和が常に同居している。緩和する場所で、精神を緊張状態におくことになる。勤務中は様々なことに気を配らなくてはならない。やるべきをことを終えて、一息ついた瞬間、身体から緊張が穏やかに解けてゆく様が分かる。氷が融け出すよりも早く、足下に融け出した緊張が溜まってゆく。緊張が抜け出した隙間にビールを流し込むことで、普段よりも眠気が全身を早く駆け巡る。

 本を読もうと本を開くが、眠気のせいであろう、それほど集中が続かない。気が付くと、洗濯機が回る音をそれとなく聞いてしまう。

 そして、静寂も音となる。音がしない音。どこからか聞こえてくる砂嵐のような音。雪の降る朝ほどの静謐な静寂ではなく、ざらざらとした質感を持つ音が、波長が知らぬ間に鼓膜まで届く。どこかで空気が震えている。空気に色はなく、無色の波長がいつの間にか届いている。仮想の蓄音機が空間の荒野で執念く音を奏で続ける。

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