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赤ちゃんが先生

自分はどうやって日本語を話せるようになったんだろう?と考えても、覚えていない。

環境にあることばを自然習得するということは、人間誰でもやっている。でも、その過程を覚えている人は多分いないよね。

ヒッポファミリークラブに入って、多言語の自然習得にチャレンジし始めた時、赤ちゃんが先生だと言われた。赤ちゃんが母語を習得するように、大人も子どもも、多言語を習得するのだ、と。

その時から、うちの1歳の息子が先生になった。とにかくおしゃべりな子どもだったから、ネタは尽きなかった。

何より、自分の受け止め方が変わることで、育児がビックリするほど楽しくなった。

長男は、やっと寝たと思っても、ベッドに置くとまた泣き出すような子だったし、初めての育児で、私もとても神経質になっていた。夫が寝つかない息子を車に乗せて夜のドライブに出かけることもよくあった。

今はものすごい食いしん坊だけど、小さい時は食が細く、食べている途中で遊び始める。

スプーンを持って、こっちを見て、やるぞやるぞという雰囲気で、わざとスプーンを床に落とす。そして、「あ〜あ」と言うのだ。スプーンを拾って洗って、「落としちゃダメだよ」と言っても、何回も繰り返す。

ブチギレそうになるけど、ふと考える。

「あ〜あ」って立派な日本語だよな〜

だって、フランスの子どもなら、きっと、「ウララ〜」アメリカの子どもなら「オッオー」とか?言うんじゃない?なんて、想像(妄想?)を始める。

「あ〜あ」にも立派に日本語独自のリズムとメロディーがある。すごいすごい!大発見!

こんなブチギレ案件が、楽しい発見に変わる。

何かを指差して、「わっ、わっ」っと言っていた時期があったが、その時も「すご〜い、うちの子天才!英語喋ってるよ。Whatだって」なんて、妄想スイッチ オン!

そして、こんな親バカ話を、ヒッポのメンバーが週1回集まる場「ファミリー」で、話すと、みんなすごく喜んでくれる。それが嬉しくて、また、ネタを見つけようとする日々が続く。

私自身、30歳を過ぎて子どもを産んだので、当時では遅い方だった。でも、同年代の独身のメンバーも、子どもが身近にいないから、赤ちゃんの話聞けるの嬉しいと言って喜んでくれた。そういう場は、あまりなかった。

子どもの話なんて、同世代のママ友としかできないものかと思っていた。

でも、ヒッポでは、赤ちゃんが先生ということで、赤ちゃんの振る舞いは、どんな世代の人も喜んで聞いてくれた。

知らない土地で、核家族、夫の帰りも遅い。そんなかでの育児を楽に、楽しいものにしてくれたのが、私にとってはヒッポだった。

こんなちっちゃなエピソードを25年以上経っても覚えているのは、話を面白がって聞いてくれる人がいたから。今ではすっかり大人になってしまった息子と、ずっとフランクに話ができるのも、ヒッポのおかげかもしれない。


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