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人間の真の誠実は、たとえば礼儀正しさと・・・

「人間の真の誠実は、たとえば礼儀正しさと同じように、小さなことに対するその人の態度にあらわれる。」

スイスの法学者 カール・ヒルティの格言です。


「積小為大」

我々は、小さなことを積み重ねていくことの大切さを教えられております。

沢山の偉人と呼ばれる方々も、小さなことを大切にされているようです。


本当に些細なこと、気にする必要のないことが、大きな差を生み出すように感じております。

ほとんどの人は、それに気が付いていないようにも思えるのですが、実際はどうなのでしょう。


以前、「Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である」という書籍を拝読しました。

世界的スーパースターの礼儀正しさについて触れられてましたが、スーパースターになるような人は、やはり、礼儀正しいのだと思わされました。


「礼儀正しさ」に限らず、もっと小さなことでも、大きな差を生み出し得る要素は、沢山ありそうな気がしますが。。。


タカシは、あるセミナーに参加した。

仕事上のスキルを磨くためのものではなく、自分自身の人格を磨くためのセミナーに参加した。

セミナーの内容は、「人間力を養う」ことに焦点を充てていた。


「人間力」といっても、国家資格が存在する訳ではなく、どうすれば「人間力」が身に付いたかを判断できるのだろうか。

その答えは、誰にもわからないが、わからないなりに、皆、「人間力を養う」べく、日々精進しているのだろう。

タカシも同じく、自分なりに「人間力」を定義し、その定義した方向へ進むことに努める毎日だった。


そのセミナーを主催したのは、出版社だった。

裏方のスタッフは、出版社の社員の方々。

皆、瞳を輝かせながら、来客対応に奔走していた。


講演された方々の貴重なお話、主催者の完璧な準備、諸々により、セミナーは、盛会となった。

そんなセミナーに参加できたことを、タカシは、心から喜んでいた。


セミナー終了後、講演の余韻に浸りながら、会場を出ようとしたとき、

「ありがとうございました。」

主催のスタッフの方々が、来客者一人ひとりに、深々とお辞儀をしながら、お礼を言っていた。


タカシは、それに気付いた。

「ありがとうございました。」

と、頭を下げてお礼を言った。


その瞬間、タカシは妙なことに気付いてしまった。

他の来客者のほとんどが、頭も下げず、お礼も言わず、会場を後にしようとしていた。

タカシにとっては、違和感でしかなかった。


その違和感が、何処から来るのかを考えた。

セミナー会場の至る所にポスターが張られていた。

「人間力を養う」

その単語だけが、目に入ってくる。


「そうだ、今日は、人間力を養うためのセミナーだ!!」

何かエンターテインメントのイベントに参加しているのであれば、違和感はなかった筈。


タカシは考えた。

「人間力を養うために参加した来客者は、どれくらいの割合なのだろう。。。」


「挨拶」という小さなことに対する態度により、人間の真の誠実さを問われてしまうのではないだろうか。。。


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