「サソリとフグと菊池風磨には気をつけろ」ともっと早く教えてほしかった

10月31日放送の「トークィーンズ」にSexy Zoneの菊池風磨さんが出ていました。「菊池風磨くんが推しなんだ?」と聞かれて「いや好きですけど推しとは言い難くて……」と答えるなどこじらせている私には、大変刺激の強い番組でした。

「爆モテ→独自の理論を語ってるときはちょっと変→フジテレビにいじられがち→家族思いな一面→照れ屋で可愛い」と菊池さんの要素てんこ盛り。「お前こうやって菊池風磨のこと好きになったんだろ(オラオラ」「そうです、すみません、すみません……」みたいな気持ちになりました。

菊池風磨さんが推しだと素直に言い切れないのは「アイドルとしてなら他のメンバーも最推しになりうるはず」という抵抗心があるからです。

アイドルに限らず歌手や役者といったパフォーマーを見るとき、その世界に没入させてくれるかどうかが大事だと思っています。アイドルであれば、仮に表向きだけでもいかに「アイドル」に徹してくれるかが気になります。

であれば「『アイドル』という映画の主役のつもり」と語る中島健人さんのほうを推しそうだと、自分でも思います。あるいはパフォーマンス力でいうと松島聡さん、道の貫き方でいうと佐藤勝利さん、「人を笑顔にしたい」というメンタリティでいうとマリウス葉さんかもしれません。

誰がどうこうというより対比の問題で、一人に決めるのは難しいのです。実際FC入会時の好きなアーティスト選びでは、悩みに悩んで「アイドルとしてのあり方に感謝と敬意を表したい」と信仰深めオタクみたいなことを言いながら中島さんを選びました。

「じゃあ推しはケンティーでええやん」と何度言われたことか。そう簡単にいかないから半年以上悩んでいるのです。

問題なのは、菊池さんはアイドル云々関係なく「頭の回転が速くて仕事のできそうな人」「独自の理屈があって語り始めると変な人」という私の人として好きポイントを押さえていることです。

Sexy Zoneを知りたての頃に読んだあるインタビューにて。それぞれの正義論を語るという内容で菊池さんは白米がいかに正義かを語った後、

俺だけ話がちょっとズレてる? こういうこと言う人がグループにひとりくらいいてもいいでしょ(笑)

と言ったのです。

「喋りがおもろいしグループのバランスめっちゃ見てる……頭良さ男??」と思いました。あれが菊池風磨の泉への第一歩だったのかもしれません。好きポイントを複数押さえられるとシンプルに好きになってしまいます。恋です。

そしてパフォーマンスやライブ演出を見ているうちに、人として好きなだけじゃなくパフォーマーとしても好きなことに気がついてしまいました。

その世界に没入させてくれるパフォーマーが好きと書きましたが、菊池さんも世界観を作るのが上手い人です。中島さんが独自の世界観で観客を圧倒するタイプなら、菊池さんは観客の日常に溶け込むタイプ、もしくは日常に隣接する非日常を見せてくれるタイプだと思います。国内旅行的な非日常感。

私は虚構性の高いアイドルが好きなのでどちらかというと中島さんタイプ好きですが、アプローチは違えど菊池さんも刺さるパフォーマンスや振る舞いをします。実際、刺さりすぎたあまり、赤レンガの観覧車、あるいは最近であればザ・スズナリで菊池さんのことを思い出さずにはいられなくなりました。大学時代の下北沢での思い出に菊池さんがいた気がしますが、全くの気のせいです。

閑話休題。

じゃあ「風磨くん人として好きだな~いいパフォーマーだな~推しは中島健人だけど〜〜」でいいのではないか。そう簡単にいかないから悩んでいるのです。

なぜなら菊池さんはびっくりするほどアイドルだから。(アイドルの定義はさまざまだと思うが、ここでは他界隈の推しが言っていた「誰かの人生にパワーとときめきを与えてくれる存在」という定義を採用します。)

「小さい頃は嵐になりたかった。でもその夢は少し変わって、今はSexy Zoneになりたい」と誰かに憧れられる存在を目指す姿も、「オレたちにとっては何回かの一回かもしれないけどお客さんにとっては一回きりのライブ」とメンバーを鼓舞する姿も、まさにアイドルだと思います。賢く立ち回っているように見えてまっすぐさや夢のような純粋さが見えるのだからもうジタバタしてしまう。

いっそ賢くてトークが上手いだけだったらこんなに悩まずに済んだでしょう。楽しく笑って見ている存在に脳内で位置づけられたでしょう。

しかし、1年間Sexy Zone、そして菊池さんを応援してみた結果、ピュアで、繊細で、変なところが不器用で、色々なことが見えてしまう人で、なにより夢に向かって歌い、踊り続けている人なのだなあ……と感じたのです。そうするとアイドルとして応援したいという気持ちが出てきます。

冒頭に書いた「トークィーンズ」を見ると分かりますが、「嫌われてもいいや」の開き直り精神でモテたい宣言などをしているように見えます。しかし「最近は嫌われたくないと思う」とも話しますし、その露悪的なふるまいは照れ隠しだと認める素直さがある。これはもう可愛いと言わざるを得ません。

一度可愛いと思うと、たとえメンバーをいじり倒そうがジャにのちゃんねるで暴れていようが、「女性陣にかわいいかわいい言われて照れまくってたんだよなあ☺️」などと思ってしまうのです。可愛いを手にした菊池風磨はあまりにも強かった。完敗。

正直、過去に関するインタビューを読んでいると共感できないこともあります。私自身が仕事なら感情を殺してでも働くタイプなこと、あまり情に厚くないこともあり、自分とは考え方が違うなあと思います。それもあって、推すなら他のメンバーのはずという気持ちが最初は拭えずにいたのです。

ただ最近のインタビューラッシュの中で、現在の姿を知った上で過去の話を聞くと成長アルバムの1ページのように意外と微笑ましく見ていられることに気がつきました。

それに菊池さんを通して異なる考え方を知れるのも割と面白いのです。セクエボでの「Sexy Zoneに関わる人にでかい顔させたい」「友達に恥じない生き方をしたい」も、情の薄い人間には思いつかないことでした。価値観の違う人にこそ惹かれるとはこういうことか……。

そんなこんなで「好き」と「推し」をごちゃまぜにした感情を抱えて日々を過ごしています。先日、友人に「サソリとフグと菊池風磨には気をつけろ」と聞きましたが、なぜもっと早く教えてくれなかったのか。聞いたところでこの状況を回避できたかは分からないけれど。

ただ「FCの好きなアーティストを『中島健人』から変えるのか?」と言われると、変えるだけの何かは起きていません。

SZ10THではなんだかんだ4人全員を見ていたし、KTTを読んで毎日元気をもらっているのも事実。ケンティーのビッグラブを受け取るたびにスーパーアイドルだなあと思うし、もちろん愛を返したい。他のメンバーについても、都度感情を揺さぶられています。

それでもいつか衝撃的な一手が来たら、菊池風磨担になるのでしょうか。その日が来たら、紫のインナーカラーの幅を広げようと思っています。