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ライブの楽しさに立ち返る - SEXY ZONE LIVE TOUR 2023 ChapterⅡ@宮城初日夜備忘録

「そもそもライブって楽しむものだよね」とメッセージ性のバランス

シンプルに、シンプルに楽しかった。

全体のセトリ&演出は割と雑誌やツアーパンフで話していた通りだったし、ツアーパンフで勝利くんが話していたようにアルバムとしても音楽性が激しく方向転換したわけではない。つまりすごく想定外のものを見たわけではない。

でも、だからこそ改めてSexy Zoneのライブっていいなと思えた。今まで感じてきたSexy Zoneのよさをしっかり浴びつつ、今後が楽しみになる。そんなバランスだと思った。

「今まで感じてきたSexy Zoneのよさ」を具体的に挙げるとすれば、映像演出でガッと意識を掴む役者力、セットリストの統一感、そして強いメッセージ性。この辺りだろうか。

メッセージ性という点では正直去年のアリーナツアーやドームツアーのほうが強かったし個人的にはそういうライブが好きだ。しかし風磨くんがツアーパンフで「そもそもライブって楽しむものだよね」「とにかく楽しくて、盛り上がるものにしたい」「シンプルだけど、来てくれたみんなの活力になるようなライブを作ることが一番」と話していたことをふまえると、この感じなのも納得できる。

大きな変化を迎えた後でどうしてもこちらも強くいろいろなものを受け取ってしまう状況ではあるし、そもそも毎年メッセージ性を強く尖らせ続けたら作り手も受け手も何かが極まってしまいそうなので「シンプルに楽しい」に振り直したのはよかったように思う。振り直したと言っても本編最後が「Sad World」な時点で隠しきれない強い思いが伝わってくるけれど、それはそれというか、このちゃんと伝えてくれる感じがSexy Zoneのライブだなと思った。こういうところが好きです。

セットリストの統一感は変わらずで、今回はまさに風磨くんの話していた通り「想像しやすいひとつの的として”東京の夜”っていうのが1個あって、そこに向けて楽しい矢を放り込んでいくライブ」だった。ソロ曲は「なぜそこで切る〜!?」と思うものもありつつ、演出としては4曲とも個性やパワーを感じられてよかった。全体の緩急もあり、2時間ちょっとがあっという間に感じられた。

映像でいうと特に好きだったのがオープニングの映像。治安が悪くていい。メンバーの表現力やキャラクターを活かしていて好き。Sexy 追われる Zoneさんの姿にペジコンを思い出しもした。

あのダーキーなOP映像からの流れを考えると1曲目が「BUMP」なのも頷ける。ツアーパンフで聡ちゃんが「『一発目にこの曲を持ってくるんだ!』みたいな意外性」「今回のライブは勢いがある」と話していた通りだ。「勢いをつけるならBUMP始まりな気もするけどBUMP始まりがパッと思いつくか〜??」などと開演までセトリ予想という名の一人相撲をしていたので、これはもうぶち上がりの開幕でございました。

ポプステコンとのつながり

BUMPからのFybで勢いを増した後にくるのが「極東DANCE」。これがもう本当によかった。あの東京感の強いセットで極東が入らないなんてないでしょう。強いていうなら渋谷つながりで「Tokyo Hipster」も入れてほしかったし、西外苑通り(外苑通りだったかも)の看板を見た瞬間にワンダラもあるやろ!と思ったが無茶は言わない。曲数には限りがありますからね。

個人的には東京感の強い、メインステージのセットがとても好きだった。さまざまな店舗のロゴをオマージュしたようなオブジェ、東京の地名が書かれた標識。ネオ東京感のあった「Sexy Zone POP×STEP!? TOUR 2020」を思い出す。初めてリアルタイムで見たのがポプステコンなので、思い入れの強いライブを彷彿とさせるセットというのは嬉しい。

それにノーマスク声出し解禁の今回のツアーのセットからコロナ禍無観客配信のポプステコンの要素を感じられるのってなんか、うん……いいなあと思う。もちろん交通機関や会場周辺でマスクをつけてる人はいたし自分もつけるシーンはあった。感染症が完全に終わったわけではなく引き続き健康管理は必要だ。それでも少し変化したこの状況下でポプステコンの要素を再提示してもらったように感じた。

コロナとは別の視点で言うと、ポプステコンは5人でステージに立った最後のアリーナライブだ。それと地続き感のある第2章なのかと思うとじんわりと嬉しい。

まあ両ツアーのベースになっているそれぞれのアルバムが「日本・東京」や「日本の音楽としてのJ-POP」をベースにしているからセットの雰囲気が似ただけかなあと思うけれど、このじんわりと嬉しい気持ちは大事にしまっておきたい。

やっぱり泣いた「Take A New Step」

演出含めて好きだったのは「Take A New Step」。暗転してからの足音が好き。まさに新しい一歩の音だった。

センターステージの四角形(豆腐みたいなやつ)の壁を使った演出もよかった。少なくともSexy Zone的には新しい試みのはず。ペジコンの「Keep On」のように事前撮りの映像を当てているのかそのときの映像が出ているのかは分からなかったけれど、いずれにせよどこからでも自担が見える機構は嬉しい。

そしてツアー前にアルバムの感想で書いていた通り、風磨くんの歌う「見に行こう 希望しかない新天地さ」でボロボロ泣いた。最悪の事態を想定するタイプの人が歌う希望に満ち溢れた歌詞って泣いちゃうなあっていう。同じ理由で「My World」の「I am the king and This is my world」も泣いた。二兎追い二兎得て希望しかない新天地で花を咲かせてください。

曲の印象を具現化したようなソロ曲たち

ソロ曲は4人とも、曲の印象を具現化したような演出だった。

「雨に唄えば」は、ラジオで「強いメッセージを音楽で押し付けたくない」と話していた曲だ。だからあまり読み取ろうとしすぎないほうがいいなと思いつつ、ライブで聞いてもCD同様に「勝利くんはステージでは無敵だよ……ファンのヒーローだよ……」と涙腺を緩ませずにはいられなかった。最後ににっこりと笑う勝利くん、よかったなあ。

「Turbulence」は「Break out my shell」の先にあるような印象が強まる、力強いパフォーマンスだった。印象的だったのは「Watch me」の振り。アイドルをまなざすことに対して時にためらいを覚えるオタクなのでアイドル側から「Watch me」と訴えかけられると感極まってしまう。まなざされることに対する強さと表現したらいいのだろうか。そんな覚悟を感じた。

「My World」も同様に力強いのだけど「Turbulence」より攻撃力が高くて鋭かった。もっと細かく書きたいけれどごめんなさい、泣いていた記憶しかない。泣くと本当に記憶を吹っ飛ぶので泣かずにちゃんと聞いて見届けろよと毎回思うけれど、石橋を叩くタイプに見える風磨くんが「I am the king」ってもう泣かずにはいられないですよ。風磨くんが出てきたときからドキドキしてサビでウワ〜聞けた〜〜と思って泣いてるんですよこっちは。円盤でよく見ます、はい。

「ROSSO」は想像よりももう濃くて濃くて……あれはやばいとは聞いていたので片手手袋を外したときにこれが噂の!!と思ったが、最後の最後で口紅がすーっと頬に流れていったときには息を飲むことしかできなかった。こんなに美しいアウトロがあるものか。いやはや、20代最後の夏の中島さんはとても美しかった。完敗。

ソロでもう一つ印象的だったのは曲順だ。勝利くん風磨くんと続いて4人続けてかと思ったら別の曲を挟むという展開は予想外だった。「My World」→「Trust Me, Trust You.」にせよ「Cream」→「Turbulence」にせよ、映像やJr.の曲を使わない転換を複数回見られたのは面白かった。SZ10THの照明を使ったライネクへの転換も大好きですもん。

「本音と建前」と「Try This Oen More Time」の話をしようか

いやしない!(反語)

特に「本音と建前」は目が足りなかったので今はまだ何も書けない。1回で受け取れる情報量を超えていた。3・2・1・Sexyみたいな歌詞あったじゃないですか。いや1・2・3・Sexyだったかも。とにかくね、そこでSexyキメてるケンティーがめちゃよかった……他にも当て書きした??って感じの歌詞をケンティーが歌ってるのがよすぎてもう……。MVが出たらまた書きます。

「Try This One More Time」は予習バッチリだったので歌いそうになるほどノリノリになれた。先日実写映画版のトランスフォーマーシリーズとビースト覚醒を見たので今ライブに行けばさらに楽しめると思う。まあ大阪公演のチケットはない。

「Sad World」で終わらせてくれてありがとう

本編最後の曲は予想通り「Sad World」だった。アルバムで聞いたときから「私が菊池風磨ならこれを最後にするわ」と思っていたし、ツアーパンフを読んでも「ってことはSad World終わりじゃない!?」とセトリ予想をしていた。ペジコンの本編が「CRY」終わりなのと同じ匂いを感じたもので。

それでも泣いた。予想していても泣いた。だってアルバムリリースからずっと聞いてきた、一二を争うほど好きな曲だから。

ペンライトを握りしめながら聞く「振り返ればいつも バカな事ばかりで 落ち込んでた Everyday」で、泣きながらSexy Zoneの曲を聴いた日々が蘇った。曲を聞いたりブログや雑誌を読んだりしてどれほど日々励まされていることか。テレビやラジオ、SNS、YouTubeなどでどれほど笑顔にしてもらっているか。まさにSexy Zoneが「振り返ればいつも隣にいてくれた」から頑張れたことがたくさんある。そしてライブ会場で涙をふいて「目を開けたらそこに」いるのもまた、Sexy Zone。こんなにも曲と状況がリンクすることがあるかと思った。

オレンジ色に染まった会場で聞く「また去る誰かのため前向く」は、やはりマリちゃんのことを思い出す。マリちゃん卒業後のラジオで「これからのSexy Zoneを好きになってもらうのが誠意」と語っていた風磨くんを筆頭に、4人の強さが重なる歌詞だ。

悲しいけれど前を向く。悲しいけれど笑顔で見送る。でもあなたが恋しい。そんな風に揺れ動く気持ちが伝わってくる曲だと思う。

マリちゃんとSexy Zoneのことを思う身としても、Sexy Zoneに励まされながら生きている身としても、いろんなことを抱えながらも前に進んでいくこの曲を本編最後にしてくれてありがとう。

「アイドルって青春だ」を初めて咀嚼できた挨拶

挨拶を思い返すと、聡ちゃんが5人の名前を呼ばせてくれたのは嬉しかった。メンバーの名前を大きな声で呼べるのは当たり前のことじゃない。特にマリちゃんを生で見ることが叶わなかった人間としては、大きな声で名前を呼べたことが嬉しい。他Gの推しメンがコロナ禍に卒業した人間としてもこの喜びは代え難いものだなあと思う。

ハッとさせられたのはケンティーの挨拶だ。私はアイドルがいつか終わる青春として描写されるのが好きではない。だからケンティーのよく言う「アイドル=青春」を咀嚼しきれずにいた。でも宮城初日の夜、大学を卒業してもグループで活動する日々はずっと青春なんだと語るケンティーを見て、たしかにアイドルは青春だと思った。夢を抱いて努力する価値や可能性を信じられることを青春と呼ぶんだとしたらたしかにアイドルは青春だ。

いい年して夢みがちなのはダサいし努力なんてカッコ悪い。そんな風に考えて愚痴りながらダラダラと過ごすのが大人になったら一つの当たり前になってしまう。自分にもそんな日はある。しかしそんな自分でも夢や希望でキラキラしているアイドルのライブを見たら、明日頑張ってみようかなと思える。ライブは大人になっても青春時代のようなキラキラした状態に戻れる場所だし、それを提供してくれるアイドルはある種終わりのない青春なんだなあと思った。

第2章もデビュー曲と共に

終演後、「Sexy Zone」をBGMにした映像が流れていた。あのRPGみたいな映像のBGMがデビュー曲でよかった。Sexy Zoneの冒険にSexy Zone(曲)は欠かせない。自然とお客さんが歌い始めるのを聞いて、自分も一緒に歌った。振りに合わせてペンライトを揺らした。セットリストには入っていなかったけれど、このライブの思い出にはたしかにこの曲が含まれている。

時代を創ろう、Sexy Zone。まずは12月の3大ドーム、そしてその先の夢も一緒に見ていけますように。

今年は人生で初めてうちわをつくりました