タイトルの「つまらない女」を警戒しながらよく食べ1話を見た

菊池風磨さんが出るということで、ドラマ「隣の男はよく食べる」の第1話を見ました。

主人公は倉科カナさん演じる大河内麻紀ちゃん。自宅の鍵をなくして困っているところを隣人の本宮蒼太くんに救われるというところから物語は始まります。この本宮くんが菊池風磨さんですね。

恋愛を忘れたらつまらない女?

好きなアイドルの恋愛シーンが無理というよりもあまり恋愛ドラマを見ずに生きてきたので「ラブラブキュンキュンな世界観についていけるだろうか……」「恋愛メインで展開されて楽しみ続けられるだろうか……」とやや不安がありました。

しかも第1話のタイトルは「私って、つまらない女?」

「恋愛を忘れたらつまらない女ってこと……!?」とやや臨戦態勢になりました。恋愛至上主義と上手くやっていける自信がないもので。

ただいざ見てみると、恋愛を忘れたからというよりも色々理由をつけて踏み出せなくなっているという意味での「つまらない」でした。

作中、麻紀ちゃんは月曜日の労働を気にして週末のフェスの誘いを断ったり、素敵なヒールを見て「3.5cmが限界」と諦めかけたりします。恋愛に関しても「彼氏って年じゃない」と自嘲します。その踏み出せなさが「つまらない」なのだと思います。

とはいえ別に麻紀ちゃんは無気力に生きているわけではありません。「仕事で一人前になりたくて目の前のことを必死でやっているうちに35歳」というセリフが象徴するように、一生懸命働いています。台湾出張をやり遂げるために隣人のベランダを借りて窓から自室に入ろうとするほどです(これが第1話の冒頭、二人の出会いのシーン)。

加えてきちんと自炊するしお部屋は片付いているしお洋服はおしゃれだし、親身になってくれる同期がいることも見るときっと性格も素敵な人です。はたから見ると全然「つまらない」ではありません。

でも何かを諦めたり受け流したりするたびに自分のつまらなさを実感する。その感覚はいろんな人が共感できるものなんじゃないでしょうか。

そんな風に恋愛以外の事象も出てきたがゆえに「恋愛は自分には関係ないです~」と思っている自分にも予想外に刺さりました。むしろちゃんと刺されてよかったです。恋愛してないとダメだという前提で進むとしんどいのでその辺りに幅があってよかった。個人的には「仕事で一人前になりたくて目の前のことを必死で……」のくだりを泣きながら見ましたもん。

一歩踏み出してつまらなさを越える

麻紀ちゃんは本宮くんとの出会いをきっかけに、恋愛の気配をまとった本宮くんとの隣人付き合いに踏み込んでいくことにしました。本宮くんとの出会いをその瞬間だけで終わらせずに、お土産と手料理を持って一歩踏み出したわけです。

麻紀ちゃんの場合は恋愛での踏み出しでしたが、正直別に恋愛じゃなくてもいいと思います。フェスに行くでも高いヒールを買うでもいいのではないかと。

挿入歌の「Cream」にはこんな歌詞があります。

「待ったなしの日々を越え あたらしい君の声を聞かせて」

待ったなしで進んでいく日常の繰り返しから一歩踏み出していく。そんな瞬間を自分も迎えられたらなあと思う作品になりそうです。

踏み出した先に何がある?

麻紀ちゃんが一歩踏み出した先にいる本宮くんは、年齢などを理由に躊躇している麻紀ちゃんと比べてかなり欲求に忠実そうです。よく食べるし、言い寄るときもストレート。「一緒に飲みません? 大河内さんの部屋で」じゃあないんだよ。麻紀ちゃん見守り隊の気分なので怪しい動きにはイエローカードを出したくなります。

本宮くんのスピード感にはやや警戒していますが、そんな本宮くんが躊躇いがちな麻紀ちゃんとどんな関係を築くのか。お互いどんなふうに変わっていくのか。今から楽しみです。

……最後にちょっとだけオタクの感想いいですか?
本宮くんの名字呼びとタメ口の合わせ技!
感情の読めないおっとり顔とふっと表情が動いたときのギャップ!!
無意識テクニシャン感がすごい!!!!

そして身の回りにいそう感とフィクション感のバランスが上手い。これは風磨くんだけじゃなく役者さん皆様そうなのでいい具合にドラマを楽しめます。

風磨くんの出演映画「もっと超越した所へ。」の予告を見た友人が「寝起きに詰められてキレる演技がハマりすぎ」「本人がこういう人なんじゃないかと思うくらいナチュラル」と言われて笑ってしまったんですが、それに通じるよさがありました。何を考えて演じているのかもっと聞きたいので各誌のインタビューが楽しみです。

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