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80代の「老い」と40代の「老い」

寒い日が続きますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?こんな冬の夜長には読書がやっぱり最適ですね。
最近は、ひたすら本を読んでいるのですが、今日は2冊の読んだ本をご紹介しようと思っています。
まずは『若き日に薔薇を摘め』


『若き日に薔薇を摘め』

これは、昨年亡くなられた瀬戸内寂聴さんと藤原新也さんとの往復書簡なのですが、実に心のこもったいいやりとりなんですね。2010年頃より、雑誌に掲載されていて、もちろん読まれるために書かれた書簡なのですが、繊細で「老いる」とはどういうことかをお二人が逡巡しながら相手のことを思い、よい老いとは何かについて考察を深めていく姿がとても読んでいて、グッとくるところの多い作品でした。
老いるとは何か、恥ずかしながら、私も45歳になって自分の老いについて考えるようになったのですが、40歳過ぎると本当に、なんとも悲しいことに、お腹も出てきて肌の色艶も悪くなってくるのですよ。そして身体が思うように動かなくなる…必然的に自分の老いについて考えざるを得ない。と思っていたら、寂聴さんや、藤原新也さんももうかなりご高齢な状態なのに、老いについて抗い、理想の老いとはどういうものなのかを語り合っているわけで、私なんぞが老いについて、語るなんてなんて烏滸がましいのだろうと感じてしまったのです。が、

ちょっとまってよっていう小説を最近読んだのですよ。


『デクリネゾン』

金原ひとみさんの新刊『デグリネゾン』という小説です。
金原さんといえば、『蛇にピアス』とすぐ連想してしまう私なのですが、
これはなんと、私より若い金原さんが、真剣に今「老い」について洞察されて書かれた長編小説なのですね。

まだ早いんじゃないかと思われるかもしれませんが、この作品、本当に刺さる部分が沢山あって、びっくりしてしまいます。
そして、『蛇にピアス』よりも当然ながら格段と成長し、そして「老い」について実感されていることに読んでいて驚きましたし、とても面白かったのです。
前半部分でもう、コロナ禍の日本の惨憺たる状況の中で恋愛し家族と格闘するシーンが数多出てくるのですが、本当に切ない。
切ないけどそれがとても笑えたりして愛おしくなりますね。
私はコロナ禍の中、本当に変な病気になったりして精神的に参ってしまっているのですが、彼女やこの小説の登場人物たちも何やら当たり前ですが、格闘しながらしっかりと生きているのですね。
なんとも表現が稚拙で申し訳ないのですが、
40歳になろうという著者の葛藤も読み取れて、なんだか切ない気持ちになります。

どちらの作品もとても面白かあったですね。
そして、抗えない「老い」というものと真剣に格闘している姿に胸を打たれますし刺さる部分が沢山ありました。

この冬の夜長に「老い」について考えてみるのはいかがでしょう。

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