妻がコロナになりまして②

 「妻がコロナになりまして」の続きです。

 8月5日木曜日。状況は変わらず。私は無症状の平熱。妻は37.1度とかそんな微熱中の微熱。咳はやはり出るときは出る、といった感じ。

 二人とも在宅勤務。自宅では二人ともマスクを着用するも、自宅内隔離というような大層なことはやらない。というかできない。そんなことができるお住まいに住んでいない。よって、私としては「どうせ自分も感染しているのだ」と諦め、最低限の対策であるマスクだけお互いにしておこうという感じ。子供がいないのでこんな開き直りに近い自宅待機&療養ができているが、子供がいたらどうしていただろうか。

 やはり、子供がいてもホテル療養などができない以上は、同居家族間の感染は諦めるしかなかったかもしれないなと思う。

 たまに聞こえる妻の咳は夜のほうがひどいようだ。寝室は何とか分けられたので、今日も別々に眠る。初日のみたいに、翌朝の妻の体調について最悪の事態を想像してしまうような過度な心配はしなくなった。

 むしろ、おやすみと声をかけてから別々の部屋へ行き、お互いが一人の時間に入るということが少し楽しくなる。そういえば、結婚してからあまり「どちらも家にいるけど、どちらかが部屋に籠る」ということはしてこなかった。二人で家にいるときはずっと一緒にいるような感じで数年やってきた。それで特にストレスを感じていなかったが、たまに別の部屋で寝るのはいいイベントかも、などと考える。

 8月6日金曜日。私平熱。妻微熱。咳あり。在宅ワークも終わり、晩飯の用意。

 味覚と嗅覚はやはりまだ戻らないが、そのおかげで今まで気づかなかった食べ物の隠れた味がわかるようになったらしい。例えば、味覚障害が起きてからも塩味は感じることができるようで、味がわからないからといって妻の作る料理がしょっぱくなることはなかった。むしろ、他の味覚が消えているせいで塩味が際立って感じられるのか、しょっぱさに敏感になった。妻が言うには、チューブのワサビはずいぶんしょっぱいらしい。

 あと、唐辛子なんかはどう感じるのだろうかと思った妻は、激辛唐辛子として我が家にあったハバネロか何かが配合されている一味をペロっと舐めてみたらしい。唐辛子の鮮烈な香りが鼻に抜けているはずだが、やはり香りは皆無。しかし、ビリビリと強烈な痛みが口内に走るらしい。

 やはり、辛さは痛さだったのだ。

 ちなみに金曜日なのでビールを頂く。妻も、咳は多少出るものの、ノドの痛みなどはなかったので、普通に飲んで酔っていた。

 8月7日土曜日。三連休初日。もちろん、在宅。私平熱。妻は超微熱で多少の咳あり。

 保健所からの電話は一応毎日来ていたが、この日も連絡がちゃんと来た。

 7月27日を発症としてその翌日を1日目と起算した場合、この8月7日が11日目となることから、今日からは普通の生活に戻ってもOK、ということだった。どうやらこの計算方法で10日目までを自宅療養と定めることが一般的らしい。

 一応、咳もまだ残ってますけど……と伝えてみるが、その咳には感染力がないから大丈夫らしい。妻のように発症後1週間を過ぎて回復傾向にある患者は、発症後10日目で感染力がなくなるらしい。

 とはいえ、このご時世である。咳をしながら普通に外出はできないので、外出は最低限の買い物程度にしておく。

 そうそう。買い物といえば、自宅療養が決まってからはイオンのネットスーパーを利用していたが、これがまた便利。送料も数百円しかとられないので、経済を圧迫しない。酒類はカクヤスの配達を利用。これもまた便利。頼んだ数時間後には冷えたビールが届くのである。デリバリーサービスはこの1年でずいぶんと進化したのではないだろうか。

 テレビでは自宅療養の課題として、食料などの買い出しなんかも挙げられているが、ネットスーパーがこれだけ便利なのだから問題にもならないのではないかとも思う。しかし、結局はネット。ネットを使えない人たちが困っているのだろう。こういったところでIT格差というものは生まれるんだなと実感。ネットを使えない・使わないだけで、生活のクオリティはずいぶん変わる世の中になっているのだ。

 この日は普通に妻と飲んで就寝。

 8月8日日曜日。状況変わらず。私平熱。妻微熱の咳あり。

 妻は晴れて自由の身だが、やはり咳があるので外出は最低限にとどめる。私は妻の在宅療養最終日である8月6日から14日間の自宅待機を保健所から命じられていた。

 発症しないなら検査しなくてもいいです、と言われていた私だが、会社から抗原検査キットが2つ届いたので試す。鼻の奥から自分で粘膜を採取し、検査。結果、陰性。

 この生活で伝染しないとすれば、コロナの感染力って実は弱いのではないかと疑ってしまう結果となった。いや、しかし。私と妻の行動は妻の発症前1週間においてほとんど同じだったので、きっと私も妻と同じところでウィルスをもらってきていたに違いない。そして、妻は発症したけど、私は無症状のまま体の免疫がウィルスを駆逐してしまったのだろう。私の免疫、おそるべし。そう思うことにした。

 この日、私がコーヒーを淹れていると妻が「香りが少しわかる」と笑顔になった。少し味覚や嗅覚が戻ってきているらしい。

 8月9日月曜日祝日。状況変わらず。私平熱。妻微熱。咳あり。

 咳以外はノドの痛みもなく、熱っぽさも自覚するものはなく、体感的には健康体。でも、やはり夜になると発作的に咳が出て苦しそう。それ以外、特筆すべきことは特になし。

 先日のようにスマホアプリで無料で読めるワンピースを二人で読み漁り、二人で泣く。マリンフォードの頂上決戦に涙腺崩壊。

 8月10日火曜日。在宅ワーク。私平熱。妻微熱の咳あり。

 夫婦ともに在宅ワーク。特に何ごともなく一日が終わる。妻の味覚は日に日に回復しつつあるようだ。保健所からの連絡は妻の在宅療養の終了とともにピタリと途絶えた。まぁ、そんなもんでしょう。

 おそらく明日以降もこの調子だろう。きっと、咳は長引くのだろう。

 とりあえず、変化がない限りはこの記録もここまでとしよう。

 妻がコロナ体験で身をもって感じたことなどをメモにしてくれたので、明日にでもUPしようと思う。

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