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ただのメモ 遅刻について

私にとって大学生の遅刻ってつまんなくて、本当にただ講義に遅れて気まずい空気の中部屋に入ったり、グループディスカッションのメンバーに迷惑かけたり、最悪自分の作業時間が減るだけ。だから自分も他人も割と不愉快になって終わるか、既に慣れていて誰も気にしなくなるかの浅い感情しか得られない。 多分中学生、高校生の間の遅刻って特別で、普段ある程度朝の集合時刻を守って生活してた分、朝誰もいない通学路を一人でゆったり歩いていくのは背徳感が最高だった。普段の朝の電車はある程度同じ面子でも、遅刻

    • 調和

       ある週、トランペット吹きが姿を現さなかった。  それは定例会が開催されてきた期間の中では初めての出来事だったので、黒田氏と堺氏は動揺を隠せなかった。とはいえ、今まで2名がトランペット吹きと言葉を交わした事は無く、彼の様子を確かめる術が無かった。  「静かですね。」  黒田氏との会話が途切れ、しばらく沈黙が流れたところでようやく堺氏が音楽の不在に触れた。定例会はいつもの音の聞こえないままなんとなく開始され、それまでの数時間、ダラダラと引き伸ばされていたのだ。  「解散し

      • 愚行

         「ああ、堺氏、ご無沙汰です。」  「ああ黒田氏!いやはや、ご無沙汰です、ご無沙汰です。少しコレについて家内と揉めましてね、最近外出を控えていたんですよ。」  「はっはっは、心配されておられるんですね。ご家族もお元気そうで何よりです。」  黒田氏はいつも通り全身黒色の装いで、堺氏は冬らしい白色の毛皮に埋もれていた。どちらも定例会の常連である。というより、最初の数回以降はほとんどこの2名のみが出席している。  定例会は毎週日曜午前、時計台公園にて行われる。開始時刻はまちまちだ

        •  古ぼけた駅だった。  駅名があったはずの表札は錆び、表面が削れ落ちていた。煉瓦造りの壁も、所々が砕けて奥の石肌を露出していた。  大きく開いた入り口。改札は駅の内側で待っている。  黴びた空気に混じった、線香のような匂い。寺や神社を連想した。しかし、この場所には草木が無かった。ここの大気に森林のような清々しさは無い。全ての空気がここに流れ込んで、ただじっと停滞しているようだった。  入り口のすぐ右にはカウンターがあった。高さは女性の腰ほど。白く傷ついたコンクリートの表面

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