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ただ、睡眠のために

 私にとって睡眠はもはや人生である。
 十代を睡眠リズムガタガタでカフェインと風邪薬と料理酒に塗れて暮らしたせいで当然の如く睡眠障害を患って何年経つだろう。
 何種類も試しては耐性がついたり副作用が強すぎたりして使えなかった睡眠薬たちが今の寝る前の薬の土台を支えている。
 メラトニンがどうとかテアニンとかギャバとか難しい事を考えた結果ドリエルのジェネリックみたいなやつを酒と共に一箱かっくらったりもした。こういうのは死にたい人間がすることみたいだけど、違う。ほんとに眠りたくてそうした。マイスリーではちょっと足りなかった眠気の為でしかない。
 睡眠は素晴らしい。夢見がどんなに悪くても(病的なものはまた別だけど)夢でしかない。眠っている間、意識が無いのだ。素晴らしい。
 とか言ってると死にてえのか、と思うじゃん。違うの、ほんとに。
 全身麻酔を伴う手術を何度か受けた事がある。全身麻酔は睡眠の究極形態。憧れ。まさにドリーム。マジで本当に意識が無くなるのだ。医療という名目で意識を失う事が出来るのだ。私はそれを幸福と定義してしまった。
 この文体とかダラダラ書いてあることとかでわかると思うけど私の意識はやかましい。
 閉鎖に入院していた時に、あまりにも眠れないときだけ看護師さんが出してくれたオレンジ色の小さい錠剤も泥のような眠気を約束してくれた。
 幸せになりたいから、眠っていたいなあと思っている。
 私の意識を一時的に安全に合法的にどうにかしてくれるいくつかの錠剤を飲んで、今夜も幸せになる。
 眠りへの渇望が、飢えが、いつか落ち着く日が来るのだろうか。それとも人間はそういうふうにできていて、死ぬ間際までみんな眠りたくて、幸せに眠って死ぬのだろうか。またこういうことを考えてしまうので、やっぱり眠っているときの方がいくらかマシというものである。




現在、仕事を在宅ベースに移行中でものすごく貧困なので、いいなって思ったら何か頂けるととっても嬉しいです。

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豊かに暮らすことを試みます