駅の見える席

駅の見える席


ミルクなど涙のように沈みゆく泣いたグラスの茶色の世界

腕まくりマクドナルドでコーヒーの氷噛む帰ってきた気がする

終点です黄色い服を着たひとはおまちがいなく花になります

コーヒーに入れるミルクはフレッシュのほうが決まった名前な気がする

イケメンの制服みたいなボーダーのシャツが似合わぬひょろ長の君

水玉とチェック一緒に着ないでよ笑って許すの私ぐらいよ

日傘さす靴からつま先出てるひとみんな自分に恋してるんだ

気を付けてカルーアミルクの酔いはすぐ醒める本当は醒めてるんだよ

三ツ矢サイダーでつくれるジントニックぐぐらないでよはやくちょうだい

前髪を切りすぎた女子ありふれてかわいくなくなってゆくこの街

ハンガーにかけるタイプか畳むやつなのか道行くスカートの裾

屋根のある駅ナカよりも雨のある時計台にて待ち合わせたい

もう春は終わるトレンチコートなど着ているひとはきっと変態

カンニングしない貴方の駆けつけるまではメールなんか見たくない

杖をつく人を見たときどうすれば飴をくれるか考えている

ミントグリーンの服が似合わなかったときいちばんダメージが大きいぞ

不自由の多いこの街ならきっと道徳の教科書が書けよう

冬用のリップクリームつけすぎる春よ終わるな魔法みたいに

君たちの中では比較的私は馬鹿になるのが苦手なほうだ

比較的馬鹿になるのが苦手ですだから彼氏がひとりいるきり

あの隙間座ってみたいコンクリの冷えは大人に優しくはない

メイクよりお化粧というそのほうがちょっとかわいい気がするだけだ

ごくうすい見えないような黒色の夏のニットの長袖欲しい

特大のコップに麦茶入れたときの結露の水滴の水世界一

大きめの黒い鞄が流行ってる間の女の子は駄目なんだよ

海のない街でも夏は来るのです麦わら帽子を禁止しないで

長袖を一枚着ると肌寒く三枚着たらもっとも寒く

好きでいて二人になるまで好きでいて二人になったら愛してあげる

ベルトサンダーをお菓子の名前だと思うかどうか集計したい

洋書読む少女の横顔どうしてよ、どうしてマクドナルドに居るのよ

豊かに暮らすことを試みます