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2024/4/16 📚二重構造論とその背景『多様性と持続可能性の視点で考える中小企業論』

 第二次世界大戦後の大企業、中小企業の存在理由をめぐる理論的根拠は、二重構造論の延長で議論された。

二重構造論

 二重構造論とは、近代的大企業と、前近代的零細企業が併存する経済構造にて、資本集約度、生産性、賃金などについて格差が生じるという主張である。日本の経済構造を表す言葉であり、有沢広巳により初めて使用された。有沢広巳は、大企業は独占市場で販売しており、価格を自由に高く設定できるため、利益率が高く、賃金も高めに設定できたのだと分析した。
 経済産業省は二重構造論にもとづいて中小企業への対応を考え、1960年頃までに増加する労働人口を大企業に吸収させ、生産性の低い中小企業は人口減が始まった際に、市場原理により淘汰されることであった。しかし、現実は異なり、60〜70年の高度経済成長期に、人手不足状態となった。人手確保のため、中小企業も賃上げをするようになり、大企業との賃金格差はほとんど解消した。

 二重構造論の問題点は、大企業を近代的、中小企業は前近代的、とした前提である。特に21世紀は、中小企業からも創造的なイノベーションがおきた。

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