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24/4/6 📚中小企業の現状『多様性と持続可能性で考える中小企業論』


中小企業の定義

中小企業の概念・定義は、各国で異なる。
日本では、中小企業基本法で、中小企業・小規模企業の定義を業種ごとに以下のように定めている。

中小企業者の定義
■製造業その他:資本金または出資の総額が3億円以下、または常時使用する従業員数が300名以下
■卸売業:資本金等が1億円以下、または従業員100名以下
■小売業:資本金等が5千万円以下、または従業員50名以下
■サービス業:資本金等が5千万円以下、または従業員100名以下

小規模企業者の定義
■製造業その他:従業員20名以下
■商業・サービス業:5名以下

これに対し、アメリカでは資本金ではなく、売上高を基準としている。EUや中国も、売上高を基準として取り入れている。また、EUは大企業の出資比率が25%以下、総資産なども関係している。なお、EUの中小企業区分は特徴的であり、従業員数10名以下のマイクロ企業、10~49名以下の小企業、50~249名以下の中企業に分かれている。

存在理由 企業活動の仕組みから

企業活動を経済全体の中で捉えると、企業規模にかかわらず以下のような流れがみえる。
①とある企業は資本市場・銀行からお金を集め、資本金とする。
②資本金を使って投資することで、固定費用、機械、建物、可変費用労働力といった生産要素が整う。
③生産要素をうまく扱い、商品・サービス(産出財)を生産し、需要(消費者)に向けて販売する。
④生産・販売によって得た売上・収入から利潤が生まれ、資本金となり、①に加わる。

企業は生産要素市場や販売先市場と相互に影響し合う関係にある。例えば、高品質な部品を生産する中小企業なくして、完成品を扱う大企業が存在することはできない。

日本戦後の中小企業政策の変遷

日本における戦後から現在にかけての中小企業政策は、基本理念やそれに基づく政策の方向性によって、大きく3つの時期に分けることができる。

①経済力の集中を防止し、健全な中小企業の育成を目指した時期
(1945年以降の戦後復興期)
★代表的な政策
・独占禁止法(1947)
・中小企業庁設立(1948)
・中小企業協同組合法(1949)、商工会議所法(1953)、信用保証協会法(1953)
・国民金融公庫(1949)※国民金融公庫とは、(株)日本政策金融公庫の源流

②二重構造論が台頭し、中小企業と大企業の格差是正を目指した時期
(1955年以降、高度経済成長期、安定成長期)
★代表的な政策
・中小企業基本法の制定(1963)
・中小企業近代化促進法(1963)
・中小企業投資育成株式会社(1963)

③やる気と能力のある中小企業の支援を目指している時期
(1989年以降の転換期)
★代表的な政策
・中小企業基本法の改正(1999、2013)
・中小企業基盤整備機構設立(2004)

中小企業を支える組織・機関

・中小企業庁
…中小企業政策の企画・立案
・地方経済産業局
…経済産業省の出先機関であり、計9つの地方拠点から成る。
・中小企業基盤整備機構(中小機構)
…国の中小企業政策の中核的な実施機関として、起業・創業期(ベンチャー)の支援を主として、成長期、成熟期に至るまで支援する。
・日本貿易振興機構(JETRO)
…中小企業の海外展開の支援
・経営革新等支援機関(認定支援機関)
…中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にあるとして、国(中小企業庁)の認定を受けた支援機関。金融、補助金申請、事業承継などの面で、中小企業を支援している。認定は、地方経済産業局が行っている。
・商工組合中央金庫(商工中金)
…組合等中小企業団体、また中小企業に対する金融支援を行う。


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