一を見聞きして色々考える

2020年11月11日の夜のニュース、発電所の再稼働に関する取材映像のなかでおばあさんが言った言葉から考えました。

「息子が働いてるから賛成です。」

子どもの経済的幸福を想う母親の正直な言葉が胸の中で広がる。地方の仕事先は都会ほどはないだろう。自ずと選ぶしかない。その「背に腹は代えられない」現実を知っていて「設置」し、問題があっても「継続」を望まざるを得ないのが現実だ。母親は何ら悪くない。
その町の現実を知った上でお偉方は「いかかですか？」と救いの神のように現れる。未来を語る。金があれば叶うかもしれないとささやく。しかし彼らの目的は町の苦しみを救うため「だけ」ではない。

彼らは町のためと言いながら、自ら利益のために「も」夢と未来を語る。プレゼンで綺麗な事を語らないで何がプレゼンか。誰かが言っていた。しかし町は憂いを抱えている。だから前に夢と希望にかけたいと思うだろう。僕でもかけたいと思う。リスクが想像できたとしても、未来を貧しくしないためにメリットにかけたいと思うのは人の世の常だと思う。

愛する子どもたちが地産された夢と希望を胸いっぱいに抱えて育ち、人生を送ることのできる手札を用意したい。与えられた手札がジョーカーに化けるかもしれない。だけどやるしかないのだ。Noとつっぱねても夢と希望を与えることのができると啖呵をきるのは難しい。厄災が起きても、幸せは願いたい。

幸せを願って何が悪い。与えられたもので、別の、Noといつか言えるほどの産業が作れればいつかと願う。その先の未来を胸に、おえらいさんの言葉に乗るのだ。地方は何も悪くない。なにひとつ悪くないのだ。

「息子が働いてるから賛成です。」

彼女の言葉は軽んじられない重みがある。背に腹は代えられないという現実を内包した重みがある。選択肢がたくさんあれば断ることができる。少なくなればなるだけ選ばざるを得ない。それが不幸であるかどうかをかんたんに語ることはできない。しかし、嫌なものは嫌だと素直に心に従える経済力が地方にあったならば中央は歯がゆいだろうが、幸福の成熟度はあがるかもしれない。対話による面倒くさい合意形成が今よりも必要だ。複雑な世界だ。面倒くさい世界だ。だが、足元見やがって！　みたいなことはなくなるかもしれない。なくなればいいと思う。無くなった先が素晴らしくて幸福であるかはまったくもってわからないが。

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再稼働することに対していろいろな立場で色々な考え方があると思います。僕は新しい発電技術等の可能性を追って移行していってほしいです。

中央と地方の資金や仕事の量や質がやっぱり同じではありません。建設コストを下げるために土地の値段を考えないといけません。確保したい敷地は大きいほうがいいです。超絶周辺に住宅が密集していないほうが買収コストも少なくていいかもです。そうなると中央より地方になるのかなって思います。

受け入れる町は地元企業にお金が入りますし、人も増えます。町にあるお店も活気が出ます。それができたら住宅も必要です。世帯数が増えれば税収もあがります。税収が増えれば町の人をもっと増やすためだったり、住民サービスをよくしたりするお金が生まれます。住民が増えれば小学校や病院も大きなものがあったほうが対応できます。町の色んな企業にお金が入ります。発展させることで、ひとりだったお医者さんを5人に増やせたら助かる命も増えるかもしれません。そのために、リスクがあるかもしれないけれど、事故なんて滅多矢鱈に起こらないはずだと信じて受け入れたんじゃないかと思うんです。

潤沢な資金と住民サービスがあったなら、補助金を含め雇用創出のための大きな工場や発電所を作らせてほしいという企業やお偉い方たちからの依頼に対等な立場で交渉ができるかもしれません。

「排水や汚水の処理ついてはこちらからもお金を出すので最高のものを作らせていただけますか。常時データは公開して、映像配信もしましょう」

環境監視員を一般の人たちの娯楽にするみたいな突拍子もない開けた環境対策も打てるかもしれません。（ただの妄想です）

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断れるだけの産業が町にあれば、その他の業種の大企業が来てくれれば、背に腹は代えられないという状況は変わるかもしれません。そうなると、ではどこに作るのだという話になっていくわけですけど、全国の町が少し無茶なお願いをのまなくていい状態になったら、より一層対等な交渉の構図が生まれるかもしれません。いまだってほぼ対等だと思います。でも、もっと対等になったら、交渉が難しくなるぶんだけ、物事が進みづらくなるかわりに質が上がるような気がします。（ただの妄想です）

考えれば考えるほど纏まりません。でも、かつて公害を経験した人類が、持続可能な世界を頑張って作ろうかなって、やんわりどっこい決めた人類が、やんわりどっこいいい世界を作っていける方法を、凡人だって考えたいと思います。僕も一応、この世界の一員なので。