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【悪夢日記】嵐

2020/03/28

家に帰る途中だった。
印刷所が無料キャンペーンとやらで作ってくれた抱き枕を取りに行き持ち帰る所だった。あともう一つ、何か大きい物を持っていた気がする。

雨がパラパラ降ってきた。こんなに荷物がある時に困ったな…と思った。早めに帰ろうと急いだ。空はドンドン曇っていくそのうち雷がなりだした。

家の方を見ると、巨大な、竜巻のような雲があった。みんなスマホのカメラで撮っていた。その雲はこちらに迫ってきている。
あんなのが通過したら、凄まじい風と雨に襲われるだろうと、僕は木の屋根がある休憩所のような所で雲が通り過ぎるのを待つことにした。

ベンチに座ると隣に小さな男の子が座っていた。紅白帽子に体操着、それと虫かご、幼稚園児だろうか。聞けばハムスターが逃げたので探していると言う。今はその辺を歩くのは危ないと伝えた。ハムスターはすぐに見つかるよ、と無責任に言った。

大地がぐらりと揺れた。呑気に眺めていた人々はたちまちパニックになった。僕は片手に自分の荷物を握りしめ、もう片手で男の子を庇うようにした。

揺れはすぐにおさまったが、緊急アナウンスのようなものが流れた。緊急事態らしい。その後「赤いハチマキに体操着のお子さま…」と迷子のアナウンスのようなものが流れた。

「紅白帽子に体操着の春男くん…お母さまから伝言です

」隣にいる男の子の体操着にはるお、と書かれていた。この子のことだろう。男の子は不安そうに僕の腹の肉を強く握った。痛い。つうかどこを握りしめてるんだ。


「ハムスターのことはごめんなさい、今は○○さんと一緒にいてください。」


その○○さんはすぐ近くにいたので、呼び止め男の子を預けた。○○さんは妊婦でお祭りの帰りのような格好をしていた。下駄をはいていて、ひどく不安になったが、任せるしかない。

別れ際、男の子は何かを僕に渡した。大事に持っていて欲しいとかそんなことを言っていたと思う。

そしてまた、地面がグラグラと揺れた。灰色の大きな雲は複数のドクロのような形になったり、稲光が隙間から見えたりし、ドンドン迫ってきた。僕は木の屋根が心配になった。これが崩れたらどうしようかと思った。

いつの間にか隣に高校時代の友人がいたので、このままここにいて大丈夫だろうかと声をかけた。下手に動かぬ方がいいだろ、と返された。雨が強くなってきた。

男の子を連れた○○さんがフラフラとこちらにやってきて、目の前で派手にすっ転んだ。思いっきり正面にいた人にぶつかり、正面にいた人が持っていた財布の中身がぶちまけられた。何をしてるんだ、妊婦なのに、それも下駄を履いて…と思いつつ手を貸した。

春男君がまたひどく怯えて僕の方にきた。地面は揺れ続けた。周りはもうパニック状態だった。そんな中アナウンスがまた流れた。

「お父さん、お母さん、僕はこの国に産まれて幸せです…ここは…」

誰かの辞世の句だろうか。こんな事態に余計な放送を流すな、ああ、また周りがパニックになっている。僕は春男くんに大丈夫だ、大丈夫と言い続けてた


起きたらパートナーがアイムアヒーロー見てた。多分これのせいだ。

お世話になった友達全員に焼き肉とかおごりたいです。