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書評「世界を敵に回しても、命のために闘う」①

しばらく間が空いてしまいました。本業などに追われましたが、今日はどうしても読みたい本があったので、本の紹介と感想を書きます。

「ダイヤモンドプリンセス号の真実」のサブタイトルに惹かれて購入。自分はダイヤモンドプリンセスと同じ時期に三菱重工長崎造船所で建造した船に関わり、船を知らない政治家や評論家がギャーギャー騒ぐのに怒りを感じていました。著者は何とAll day, every day, low quality.と言いたい毎日新聞の記者。偏向した記者が多いので左翼路線だろうと思ったら意表を突かれました。主人公は船内で活躍した医師・官僚達。

1.阿南英明氏:藤沢市民病院医師。DMAT(災害派遣医療チーム調整本部長)

2.近藤久禎氏:DMAT事務局次長

3.中山健史氏:陸上自衛隊医官

4.堀岡伸彦氏:厚生労働省医政局保険医療技術調整官

まずp.21のこの部分をきちんと書いた事は評価したい。

「なぜ、日本政府はそれ(乗客乗員全員下船)をせず、船内で隔離することにしたのだろうか。当然、政府内でも全員下船させて別の場所で隔離する案は検討されていた。だが、調査した結果、3711人もの大人数をすぐに受け入れるホテル等は国内になかった。自衛隊駐屯地なども受け入れ先の候補として挙がってはいた。だが周辺住民が反対する、という理由でこの案は採用されなかった。(中略)日本政府として取り得る手段は、「船内隔離」しかなかった。」

全員降ろしてそこで隔離すれば良かっただろと言う言論人、一部学者は今も多い。立憲民主党や共産党など野党もこの考えだ。だが彼らは上記の事実を無視している。3711人分の食事やトイレ、水、風呂、寝床をどうすればいいのでしょう。そしてそれを支える人がどれだけ必要か未だに理解していない。結局食事は調理担当船員が料理して乗客や乗員に支給となった。

国の方針としては、「乗客の14日間の個室隔離を実施し、国内の新型コロナウィルス感染症の蔓延を防ぐこと」、つまり水際作戦だった。実際には「ひどく具合が悪い患者がいるのにPCR検査を優先させていいのか」という現場の医師の認識である(以上P.40)。DP号でどんどん検査をやれと言っていたのにやらなかったのが失敗の原因だという野党や一部左翼学者は、この事にちゃんと触れている人は私が知る範囲でいない。この点だけでも毎日新聞らしくない。

4人が現場の感覚を優先した点も評価したい。外野で騒ぐ人は現場を知らない、客船の内部がどんなものかも全く知らない。それは政府の人も野党議員も同じだし、今も変わらない。

「なぜ、現場を見もせず、原則通りの話ばかり指示してくるのだろう。現場にいる医療者はみんな思っていた。海外メディアがうるさいからか、それとも国会で野党から追求されるのが嫌だからなのか。(p.48)」これは筆者のコメントだが批判させてもらう。一番うるさかったのは船を知らない野党議員より毎日新聞の様な国内メディアだ。後で久住英二医師が騒ぎ、望月イソ子記者が利用した事がきっかけで後で出て来る岩田氏の事につながっている事を理解していない。

あと検疫を批判する人はこの中山医官の言葉を噛みしめるべきだ。

「現場にいる医療従者としては、医療が船内で足りていないから(注:船医は2人だった)、それで患者が命を落とすとか、そっちの危機感のほうを感じていました。(中略)だから、港を離れる前に危ない人は降ろしたかった。(中略)船を降りてから亡くなった人もいて、それはもちろん残念なのですが、船内にいて病院にたどり着けずに亡くなる方が出なかったことは、不幸中の幸いだったと私は思います。(p.54)」

まだまだコメントし足りないので、続きを近日中に書きます。

ここまでご覧下さり、ありがとうございました。



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