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在宅医療にICTの取組みが必要な5つの理由

在宅医療クリニックに在籍してから2年半くらいが経ちましたので、自分自身の整理用ノートとしてnoteを活用します。

私は診療以外の業務を担当していまして、今回はICTまわりのことについて記載します。当たり前のことしか思いつきませんが(笑)他業界の方とお話をする機会もあるので、なぜ在宅医療にICTの取り組みが必要かを書き出してみます。

ちなみに当院のシステムは、ざっくりとクラウドの電子カルテ、それ以外のことでCybozuのkintone、GoogleのWorkspace などを活用しています(実際はその他の領域でも別システムを使っています)。複数事業所や在宅勤務など複数拠点で業務を行っているため、業務のクラウド移行をしています。

点在している診療時間ーーー24時間365日対応の壁

在宅医療では必ずクリアしなければならない要件があります。かかりつけの患者さんに対して、24時間365日連絡を受け付け、求めに応じて往診を行うことです。そのため早朝でも深夜でも待機して緊急往診対応をする必要があります。

実際、開業時には1人の医師で24時間365日対応し続けるという選択をする話を聞くことはあります。しかし、患者数やご自身のライフスタイルの変化などにより数年、数十年継続させるにはさすがに無理が出てきます。がんばっている状態、無理がある状態が続くと、結局は患者さんや地域に迷惑をかけてしまうリスクがあるのではないでしょうか。また、仮にスーパーマン的に成り立っていたとしても、全国に普及させるのは現実的ではありません。

在宅医療を始める以上、少なくとも院長以外にも医師とチームを組み、業務の連携を取らねばなりません。欲しいときに欲しい情報にアクセスできる仕組みが求められます。

点在している診療場所ーーー移動中でも求められる業務対応

訪問診療は病院とは違い、院内外の各関係者と離れた場所で診療を行い、常に移動を伴います。移動中でも情報のやり取りが発生するため、患者さんのデータベースにアクセスできないことや情報の送受信ができないことは大きなストレスにつながることでしょう。

いつ緊急往診が必要になるかもわからないので、どこでも対応できる準備をしておかなければなりません。

多様な医療・介護の事業所との連携が必要

在宅医療・介護では、患者さん・ご家族のご支援をする上で関係する事業所が多様化しています。大田区の例で一部事業所を記載してみます。

大田区 在宅医療を支えるネットワーク
・病院
・医科診療所
・歯科診療所
・薬局
・訪問看護ステーション
・リハビリテーション(通所・訪問)
・地域包括支援センター
・居宅介護事業所
・介護サービス事業所
・在宅医療窓口
・地域福祉課、地域健康課
 など

1人の患者さんに医療系・介護系・行政など多くの組織が関わります。

多様な医療・介護の職種との連携が必要

事業所同様、それぞれに在籍している職種が多様化しています。在宅医療に関わる職種の一例を挙げてみます。

医師、歯科医師、歯科衛生士、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、薬剤師、社会福祉士、精神保健福祉士、救急救命士、ケアマネジャー、ヘルパー、事務職員 など

多様化してますね(汗)ちなみにこの中の医師だけでもさらに専門性があり、細分化されていきます。これらの職種が適切なタイミングで他の職種と情報を送受信する必要があります。

また、これだけの専門職が関係しているので、お互いがどんな視点を持ち患者さんの対応をしているか、お互いの業務を理解できていないこともあります。それをカバーするためにも各関係者が適切に患者さんの状態を共有しながら、適宜相談していきながら進めていくことが求められます。

一部の取り組み事例としては、患者さん宅で情報共有用の紙のノートを置いて活用しています。もちろんこの取組みだけでも良い面はあります。しかし、リアルタイムに共有できていないことで打ち手が遅れてしまうリスクがあるので、課題も残っているのです。

日常の連絡手段の大半がFAX、電話

別事業所間の連絡手段の主流はFAXと電話です。私はこれまでFAXをほとんど使用していなかったので、医療業界の圧倒的なFAX文化に驚きました。電話がつながらず何度もかけ直しているシーンを目にすることもあります。

実際、FAXは使ってみるとすぐ送れるので、送信側の手間が少ないというメリットを感じられることも。

ただ、それ以上にデメリットは多いと感じますね。関わる患者さんや関係者が増えれば増えるほど、FAX枚数が増えていきます。紙インクの無駄はもちろん、仕分けするため業務が発生して、時間の浪費になります。また複数事業所と同じ情報をやりとりする必要があるので、情報共有には向いていません。

FAXを脱却できない理由は、「相手方が使っているから変えられない」「慣れているから変えたくない」あたりが考えられます。

FAXを何とか効率的に使いこなそうという”手段の目的化”状態の問いより、そもそもやりたいことってFAXでなくても良いのでは?という問いが大事ではないでしょうか。

変化の激しいテクノロジーもうまく掛け合わせて、目指したい状態を構築していければと思います。

今回は以上です。ありがとうございました!

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