33カバンの魅力

 人間はカバンを有効に使う動物です。
 カバンを一つ持つことにょり、多くのものを持ったことになります。
 通勤カバンの中には本、ノート、書類、筆記用具、お金、定期券、携帯電話、名刺・・・など、仕事に必要なグッズが入れられていますし、山登りやハイキングの時のリュックサックの中には関係の品々が投げ入れられています。
 これらを一つずつ持つとなると大変だし、動きが制限され、取りこぼしも生じます。必要なものを一括してカバンに入れておき、後はその取っ手を持つだけですべてを持つことになります。
 また、カバンの中は少々乱れていても、とにかくその中に必要なものが入っておればいいというのがカバンの魅力です。
 人物においても、清濁併せ飲むことができ、どのょうな個性をも包み込める包容力の大きな人は魅力的ですね。
 こんなわけで私はいろんな分野別のカバンに名前をつけて用意しています。数あるカバンの一端を紹介し、その中味を記しますと

・英語カバン(ウォークマン、テキスト、ヒアリングテープ、筆記用具、メモ用紙)
・温泉バッグ(チケット、着替え、小遣い、本)
・写真カバン(デジタルカメラ、小型三脚、交換電池、フロッピー)
・日曜ショルダー(休日に外出するときの用具一式)
・随筆カバン(筆記用具、執筆ノート、随筆本、作品バインダー)
・パソコンケース(パソコン、マウス、フロッピー)
などで、関係する一式のものがまとめて入れてあります。もちろん通勤カバンや旅行カバンも含まれます。
 状況に合わせ、そのカバンを持つと自動的に関係グッズがそろった状態でスター卜を切ることができ、何を持っていくか悩む必要がなくなります。
 家の中においてもニーズに応じてカバンを変えて移動します。
 このように、カバンを利用するというのは、人間の知恵の中でも優れたものであると思います。当たり前すぎてそのありがたみが感じられないほどです。
 ファッションとして、かっこいいカバンを持つ人を多く見かけますが、カバンの持つ機能を十分理解して活用してほしいものです。
 カバンの持つ意味を満たしておれば、なにも高価なカバンを必要としません。いくつも準備するカバンのことですから、バーゲンで売っている布製の安価な物で充分です。色を変えて中味を分類するのもいいでしょう。
 思考においても、このカバンに当たるような考え方が持てれば、と思うのです。
 「数学」というカバンを持つ人は複素数でもベクトル、微分、積分、三角関数など、 内容がなんであっても、ある程度理解できるものです。数学というものはこんなものであるということが漠然とわかっていると、個々の内容が理解できたとき、数学の各領域間のつながりが見えてきます。
 また、「成功する」というカバンを持つ人は何事にもその方法論を展開して成功に導く確率が高くなります。ある課題に取り組むとき、アプローチの仕方においてなにか共通の方法があると思うのです。まず、基礎的に書かれた入門書を使って全体像をつかむことなどはなんにでも当てはまる共通なカバンだと思います。
 前に述べた成功の条件「つくし」なども、その取り組み方のカバンに当たるものです。
 中身はなにも整然とする必要はありません。むしろ一網打尽にとらえることができるたくましさがカバンの魅力でしよう。
 その道に通じている人は、どんな素材でもそれなりに処理することができるのも、その道で培った大きなカバンの中に経験のすべてが収まっているからでしよう。
 こつをつかむというのが、この思考のカバンを持つということになるのでしょうか。 経験する諸々のことを何事においても工夫して取り組み、自分流の方法を発見し、法則化する癖をつけるよう心がけていきたいと思っております。

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