409 美化と改善は怠りなく

 一人住まいをするに当たって、家を美しく保つことは何を置いても優先されなくてはなりません。
 少しくらい埃ぽくっても、少々散らかっていても、生活するのに支障をきたす事はありませんが、日常を気持ち良く維持するためには、暮らす場所が綺麗で、整然とまとまっていて、かつ機能的でなくては駄目なのです。
 そこの所を怠るとどうなると思いますか。
 黴(かび)が生えるのです。生活にも、身体にも、気持ちにも・・・・・。
 心の持ち様に淀みが出来ると、黴(かび)・錆(さび)・埃(ほこり)が薄いベールとなって家を包み始めます。そして、一旦これらに覆われてしまうと、それらを取り除くのに多大なエネルギーを必要とします。くすんだ環境は気分をだるく、冴えない状態にするばかりか、やがてそれが人間性として定着し、気がついた時は、すっかり老け込んで取り返しのつかない状態になってしまうのです。
 病気をしないことが一番なのですが、こればかりは自分の思うようには行きかねます。しかし、環境を病気状態にしないことは自分の意志でコントロール可能であり、また、その事が身体に病気を寄せ付けないことにも繋がっていると思うのです。
 ただ、ゴミは積極的に生活すればするほど多く出るのは当然の成り行きです。乱れたり、汚れたりするのは行動したことの証であり、その折に対象物が移動したり、変形する事を避けることは出来ません。
 まさに、生活とは、生きる活動であって、動いているものです。私達は、それを日々整えながら前進していくのでしょう。
 問題や課題に取り組むに当たって、ああでもない、こうでもないと、もがき、工夫する事で解決への道筋が見えてきます。その過程において、無駄な考えや、誤った着想を避けることは出来ません。結果として、解決に結び付いた時、順序よく整然とまとめ上げる事で一段と成長できるのは、どの分野に於いても共通することでしょう
 「終わりの始まり」と言う言葉がありますが、次の始まりを含んだ終わり方が出来るかどうかで差が付くような気がするのです。
 洗濯物をきちんとたたんで所定の位置に整頓することで、次の日が気持ち良くスタート出来るのですが、いくら汚れを落としたところで、それをそのままに放っておいたのでは、うまく展開しません。汚れを落とすだけでは事は終わっていないのです。
 また、良い終わり方をすることで、改善する点がはっきりしてきます。その改善策が次のやる気に繋がっていくのです。このプラス誤差の集積が人を成長させると思われます。
 時の流れに従って、変形し、風化し、朽ちていく事は避けられませんが、美しく整えるという行為を差し挟むことで、対象物が風合いを増し、年が経つほど、いぶし銀の生命を宿す事が出来るという事実は後世に残る名品たちが物語っています。
 必要以上に捨てることが持てはやされる風潮の中で、もっと物や家を育てるという観点に立ち返りたいものです。買った物を使い尽くしてから捨てる、満足感を持って捨てる、感謝しながら捨てることに結び付けたいものですね。
 幾つになっても美化と改善を根気よく繰り返せる存在でありたいと思っています。

 【気付きと対策】

 ※ 味わい尽くしてから処分するという姿勢が環境を美化し、かつ改善を促す事に結び付きます。

 ・ 常に改善することを繰り返すうちに、その物に生命が宿っていき、育ち、愛着も生まれて来ます。

 ・ 前向きに生活する事と、美化・改善がマッチすることで活力ある日々が実現すると思います。

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