406 再生のよろこび

 用済みになったはずの物が、工夫することで再生できた時には大きな喜びが伴います。 私にとって、その最たる物が「紙」でした。
 使用済みとなった半紙の裏は未使用のまま処分される事が多く、長い間私の心に引っかかっていました。表面は、その時々に携わった事柄の資料コピーや着想原稿として活用し、記載された用紙が着実に増えていき、業績となって蓄積されていきます。
 時の流れに合わせて内容も変化し、やがてそれらの資料や情報は廃棄される時期がやってきます。熱心に取り組むほどに、その分量も半端でない量となります。
 そして、莫大な裏面が未使用のまま灰となっていく運命になるのです。表と裏は当然一体の物ですから、もし、その裏面が有効活用できれば、同じ規模の事柄にもう一つ取り組める事を意味しています。
 何とか、この反故紙を宝の山に変えられないものだろうか。それが出来たら、大きな可能性を残しながら未使用のまま処分されていく定めに対する後ろめたさも解消されるし、そこから得られる知識量も相当なものとなって自分に還元されるに違いありません。
 廃品となった携帯電話を集めて、その中から「金」を取り出すようなものです。この際、これらの材料に加工を施すこと無くして「金」は取り出せないことを知らねばなりません。
 自分の専門教科である数学に活用すべく、裏面を計算用紙に使用することぐらいは以前から行っていますが、再生するという状況には程遠いものがありました。
 この再生・加工に際して、「認識の改善」と「再生の工夫」の両面からアプローチすることが求められます。
 ある時、職場にある罫紙に目が留まりました。使い捨てられる半紙の裏面に枠取りを施し、少し広めの罫線を引くと、実用的で利用価値の高いものになると感じられたのです。
 実際に試してみると、作成したその罫紙の裏面(過去の表面)には、以前に自分の頑張った形跡が残っている訳ですから、その事が何となく心強く感じられました。加えて欄外に私の個人ネームを入れることで特別な紙に変身し、扱いにも大切さが加わって、質の高い再生効果が生まれました。それに、都合によって縦型にも横型にも使うことが出来、徐々に満足度も高まってきました。上と下に目盛りを入れ、方眼紙が容易く出来るように工夫も施しました。
 罫線を引く時、折り目が付いていてプリンターに詰まりやすいものは、加工を施さず、そのままで使います。これはこれで、生徒を教える際に黒板代わりの説明用紙として使えば、次世代の子供を育成するのに役に立ちます。このようにして、大量の用紙に罫線・枠・ネームを入れたことで、裏面にも命が吹き込まれ、原稿用紙や書写シートとして再利用できました。
 今では、私専用の罫紙が良きパートナーとなって力を発揮してくれています。
 この再生作業は、まるで高齢に達した私が蘇ったように感じられ、ちょっと嬉しい気持ちにもなりました。


【気付きと対策】

※ 使用済みの物が工夫することで再利用され、活用されると、復活の喜びが湧いてきます。

・ 紙、ファイル、文房具、・・・・・等、周りには復活を待ちわびている物に溢れています。

・ 整理整頓を怠りなくやっていると、それに伴い再生の着想も湧いてくるものです。

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