見出し画像

クラウドサインとGMOサインとドキュサインの違いを比較してみた

こんにちは、坂野です。
部下の推しウマ娘の中の人がサークルの同期でした。応援しています。

最近、電子契約サービスを目にする機会が増えてきました。
中でもよく見るのが、クラウドサインGMOサインドキュサインの大手3社です。
でも、これらのサービスの違いは何でしょうか?

今回は、不動産会社におすすめの電子契約サービスはどれか、比較してみました。
不動産会社が使うとなると、気にするべきは価格だけではなさそうです。

はじめに:各社の特徴の概要

クラウドサイン
▶価格:○
▶信頼感:○
▶他社連携:○
▶カスタマイズ性:△

カスタマイズ性に多少の難はありますが、その分無駄のないシンプルなUIで電子契約が利用できます。
バランスよく電子契約に求められる要素を押さえています。

GMOサイン
▶価格:○
▶信頼感:◎
▶他社連携:△
▶カスタマイズ性:△

法律的な信頼感は突出しています。
そこまでのリスクヘッジが必要か考慮したうえで、必要であれば有力な選択肢になります。

ドキュサイン
▶価格:△
▶信頼感:△
▶他社連携:◎
▶カスタマイズ性:◎

連携の柔軟性、機能のカスタマイズ性は突出しています。
自社が電子契約で行いたいことを具体的にし、それが他社では実現できない場合、有力な選択肢になります。

料金体系はクラウドサインが明瞭

クラウドサイン(スタンダードプラン)
▶月額基本料:11,000円 ※ユーザー数無制限
▶従量課金:220円/送信

GMOサイン(契約印&実印プラン)
▶月額基本料:9,680円 ※ユーザー数無制限
▶従量課金(契約印タイプ):110円/文書(※)
▶従量課金(実印タイプ):330円/文書(※)

※2021/5/19更新 6月から課金単位が「送信」に変更となります!
契約印&実印プランご提供内容改定のお知らせ

ドキュサイン
▶不明(ドキュサインの価格はHPにありますが、日本法人のドキュサイン・ジャパンは独自の料金体系でサービス展開しているようです)

GMOサインの契約印タイプは非常に安価です。もともとは課金単位が文書だったため、たとえば重説書と賃貸借契約書を送ると220円かかっていたのですが、2021年6月にクラウドサインなどと同じ送信単位となり、価格競争力が増しました。ただし、API連携に別途月額11,000円がかかることには注意が必要です。基幹システムやMAツールとの連携などをお考えの不動産会社の場合、月額基本料は2倍以上になります。

クラウドサインはいくつの文書でも同時に送れば220円で、API連携も月額基本料に含まれているため、明瞭な料金体系と言えます。

ドキュサインの料金は不明ではあるものの、想定される契約数に応じてバルクで契約枠を契約する方式のため、契約数が多い不動産会社の場合、他社より安くなるかもしれません。

法的な信頼感についてはGMOサインに軍配

クラウドサイン
▶当事者署名型の電子署名:✕
▶事業者署名型の電子署名:○
▶電子署名法対応:○
▶電子帳簿保存法対応:○
▶長期署名対応(認定タイムスタンプ):○

GMOサイン
▶当事者署名型の電子署名:○
▶事業者署名型の電子署名:○
▶電子署名法対応:○
▶電子帳簿保存法対応:○
▶長期署名対応(認定タイムスタンプ):○

ドキュサイン
▶当事者署名型の電子署名:✕
▶事業者署名型の電子署名:○
▶電子署名法対応:○
▶電子帳簿保存法対応:✕
▶長期署名対応(認定タイムスタンプ):△

いずれ他のnoteでまとめますが、当事者署名型(GMOの言い方をすると「実印タイプ」)の電子契約が行えるのはGMOサインの強みです。
当事者署名型の電子契約が事業者署名型の電子契約と比較して法的な扱いが優位かというと、これは専門的な議論がされる問題であり、深入りはできませんが、議論になる以上はできた方が安心というのは事実かと思われます。

電子帳簿保存法の要件を満たしていないドキュサインは、単体導入で契約書をデータ保存して税務対応することができません。ただし以前のnoteで書いたように、契約書の完全データ保存は現状あまり現実的ではないため、気にするほどのことではないかもしれません。また、他のシステムを併用することでカバーは一応可能です。

長期署名は、電子署名の有効期限に関わるものです。クラウドサインとGMOサインは、国指定の認定タイムスタンプを付与することで、これを実現しており、両サービスでの電子署名は10年以上有効となります。ドキュサインは認定タイムスタンプを付与しないため、この点が怪しくなります。ドキュサインの公式サポートサイトでは長期署名にも対応している旨が記載されており、実質的な影響は不明ですが、日本法で保証される安心感には欠けると言えます。

他社システムとの連携面は各社に特徴がある

クラウドサイン
▶連携システム数:○
▶APIの柔軟性:△
▶APIのわかりやすさ:◎

GMOサイン
▶連携システム数:△
▶APIの柔軟性:△
▶APIのわかりやすさ:○

ドキュサイン
▶連携システム数:○
▶APIの柔軟性:◎
▶APIのわかりやすさ:△

クラウドサインの特徴は、国内シェアトップを走り続けてきたため、すでに連携が可能なシステムが非常に多いことです。2021年4月から新パートナープログラムを開始するなど、今後の他社連携にも積極的な姿勢が見て取れます。またエンジニア目線では、非常にAPIがわかりやすいため、不動産会社が自社システムとの連携開発を行う場合、比較的短期間・低コストで連携が可能と思われます。ただし、その結果として、APIでできること自体はやや少ない印象を受けます。

GMOサインは最近台頭してきたこともあり、連携についてはこれから広げていく、という印象です。

ドキュサインもまた、すでに連携しているシステムの数は多いのですが、それ以上に、APIでできることの多さが圧倒的です。伊達に世界中から要望を集めているわけではないと思わされます。自社システムとの連携をがっつりと行いたい場合は、有力な選択肢になるでしょう。ただしその結果として、API自体は非常に複雑で、しかも仕様書が英語です。エンジニアの技術力が試されます。

カスタマイズ性はドキュサインが圧倒的

先ほどのAPIの柔軟性からつながる話ですが、機能のカスタマイズ性においては、ドキュサインが頭一つ抜きんでています。機能に合わせて業務フローを変えるより、業務フローに機能を合わせたい、という不動産会社にとっては、有力な選択肢になります。
不動産会社向け業務支援SaaSを開発している身としては、システム導入を業務フロー自体の効率化のきっかけにしていただきたいという思いはありますが、そうはいっても変えられない業務フローがあることも身をもって知っているので、そういった意味での安心感は、ドキュサインが随一と言えると思います。

まとめ:不動産会社タイプ別のおすすめ電子契約サービス

まとめます。

▶何はともあれ電子契約を試しに導入してみたい不動産会社には、クラウドサインがおすすめです。
法的なリスクを許容できない厳格な不動産会社には、GMOサインがおすすめです。
自社システムとの密な連携や、個社仕様への対応力を重視する不動産会社には、ドキュサインがおすすめです。

これとは別に、海外との取引が多い不動産会社は、ドキュサインがおすすめです。海外での知名度・受容度はドキュサインが圧倒的なためです。不動産会社によっては、海外契約はドキュサイン、国内契約はクラウドサイン、という会社もいると聞きます。

ここまで電子契約大手3社の比較を行ってきました。
電子契約という機能自体はシンプルなため、大きな差が出ません。導入に際しては、自社で求められる基準、自社で行いたいことが実現できるか、を明確にして、サービスを比較するのがよいと思います。
そのための参考に少しでもなれば幸いです。


2021/7/25追記
本業エンジニアなのですが、下記の電子契約サービスをテストリリースしました。ご参考にしていただけたら幸いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?