【インターン記録.2】出会う人々とことば。
意外と人がいる
富岡町に、双葉郡に来て2日たった。意外と人がいる。そう思った。それはあちこちに連れて行ってもらっているからかもしれないけれど、みんなそれぞれに生活を営んでいる。ここにいる理由が、ここにいなければいけない、あるいはここにいたい理由がそれぞれにあるのだと思う。
変な感想だけれど、率直にそう思った。
表現する、あらわされることば
出会う人々から、たくさんのお話をお聞きする。
ある人は、東京の育ちだけれど、こっちにボランティアや仕事で通って、
「なんか、他の土地がちょっと違うなって思って、ここで育ててもらったからっていう感覚があった」と話した。
ある人は、
「ここでの暮らしっすか?目が疲れないっすね」と話した。
またインターン中にインタビューの文字起こしをしていると、
「寒い風が好きでね」とか「空が抜けるように大きい」と話す人もいた。
人がいて、一人ひとりの生育歴があって、場所やできごとに紐づく記憶があって、それがことばによって伝えられて広がって…
この地に住むことになったきっかけはそんな偶然が重なっていたんだとか、そういうことを知れることばもある。
また他には、お聞きしたことを念頭に置いてこの地を見てみると、
確かに、なんにもない更地が多い、というのは
「目が疲れない」にもなりうるし、「抜けるように大きい空」にもなれるし、「冷たい風をあらためて感じる」ことにもつながるのかもしれない、とも思う。そういう気づきにつながっていくことばもある。
いっぽうで、ある人は一緒にご飯を食べている時に
「やっぱり海を見るとまだ怖いんだなって」と話した。
海。津波や震災を経験したことない私にとっては海がある暮らしもいいなとかずっと続いていきそうな海のかんじが好きだなとか思うくらいで、「怖い」と感じたことは1度もない。過去に起こったことやそれについて人々がどう感じたのかを知る手がかりになることばもある。
ことばにあらわさて、誰かへどこかへつながっていく。
「ことば」がとてもおもしろい。
車に乗っているときや、ふとした時に、インターン先のあきおさんはいろいろな話をしてくださる。「夜ノ森の桜は、〇〇という人が思いを持って植樹をして」とか、時々「この地はもともと畑でね」みたいな話もしてくださる。
そういう歴史も、ことばで伝えられてきたおもしろいものなのだと思う。歴史が苦手だけれど、ここへ来て、人の思いとかいろいろなものはそうしたことばの積み重ねや築いてきたものの延長にあるのだと、連続しているもので、どうしても今起きていることに目がいくけれど、掘り起こすおもしろさに初めて気がついた。歴史を知ると、意外に世界はちゃんと考えられてるなだったり、これは失敗してるからどうなんだろうだったりといったことを考えられる。
私にとって覚えなければいけないものでしかなかった歴史。少し見方が変わってうれしい。
この地をどう見ていくか
どこかにいく時、人それぞれに軸というか、気になることがあるのだとなんとなく感じる。それが私にとっては、「ことば」なのかもしれない。それぞれの立場から出てくることばは違いがあって、おもしろい。飾らない、そのままのことばもあれば、たくさん考えたんだろうなという形式ばったことばもある。その多様性もおもしろい。
なんとなく自分の好き、気になることが見えてくるような瞬間が時々あって、不思議に感じる。
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