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学校教育におけるアクティブラーニングについて

まとめ

 学校教育でアクティブラーニングが導入されてきている。しかし特定の教科書があるようでもない。また教員自身、質の高いアクティブラーニングを経験したり訓練を受けたわけでもないようだ。その結果、教員それぞれの基礎能力に依存していて、生徒にとっては当たりはずれがある状況のようだ。

本文

アクティブラーニングとは

 最近の学校教育では、アクティブラーニングがひとつのはやりのようです。私の子供が通う学校でも導入されています。

 例えば、修学旅行先や旅行先での活動を生徒同士で話し合って決めるという場面です。こうした機会そのものは昔からあります。しかし以前であれば、自主性という美辞麗句でいきなり生徒同士で話し合いさせるというものでした。しかし生徒同士の話し合いというのは国会討論よりむごいもので、結局は声の大きい人かクラスの優等生の意見になるというだけで、話し合いになっていないというのが実情だったと思います。そのくせ結果について社会的に都合が悪いと、理由もなくいつのまにか教員が変更するわけで、話し合いって無意味だよね~みたいな無力感で終わった記憶しかありません。
 子供の話を聞くと、最近では話し合いをする前にその進め方について教員が指導しているようです。修学旅行の話し合いであれば、旅行先あるいは活動内容の提案を生徒に用意させます。アクティブラーニングであれば、その提案をどのように用意すればいいのかを指導します。つまり、旅行先や活動内容について具体的なプランの作成だけでなく、それが歴史や文化的にどのような価値があるかを調べて提案内容としてまとめるというものです。もしもプランに具体性が十分でないときはそれを指摘したり、価値の調査についてヒントを与えるなどして内容を深めるという指導をしています。

 これはアクティブラーニングの一つの例です。文科省的な言い方にすると「アクティブ・ラーニングとは、学生にある物事を行わせ、行っている物事について考えさせること」であり、「授業を聴く以上の関わり」「スキルの育成」「高次の思考(分析、総合、評価)」「活動(例:読む、議論する、書く)に関与」「態度や価値観を探究」「認知プロセスの外化」がアクティブラーニングの要素です。参考資料:「アクティブ・ラーニングに関する議論」

アクティブらーにんの実情

 アクティブラーニングはとても有用です。アクティブラーニングによって、実社会で行うあらゆる活動、仕事における業務から趣味の活動まで、その質を高めるためのスキルを身に着けることができます。その一方で、アクティブラーニングの質によって身につくスキルの質が全は違ってきます。
 そうした理由から、私は学校教育としてどのようにアクティブラーニングが行われているか興味を持っていました。先日ある教員の方とお話をする機会があったので、その点を尋ねてみました。

 尋ねたことは2点で、アクティブラーニングを行うための教科書あるいは指導要綱的なものがあるのか?教職課程でアクティブラーニングをどのように学んだかあるいは経験してきたのか?です。

 アクティブラーニングは比較的最近の考えであり、また生徒が主体で能動的に学ぶという内容なので、存在するならこれまでの教科書的な指導にはならないだろうし、教職過程としてもずいぶん違うものになると予想してました。しかし全く不可能なわけではありません。例えばある大学では、具体的な例をケーススタディとして取り上げ議論を通じて授業を進めたりしています。そのように今までと異なるアプローチで授業が行われているのであれば、ぜひとも知りたいと思っていました。

 結論を言うを、教科書もなければ教職課程で学んだこともどうも無いようでした。話を聞いた感じだと、教員としての業務をこなしながら、いろいろな機会で勉強をしているといったところのようでした。アクティブラーニングといった指導内容の社会的ニーズの変化に対し、教職制度の変化がついていってないということだと思います。

 過渡期という意味では仕方がないのかもしれません。現状は、アクティブラーニングの質は教員の基本能力によって支えられているということになります。生徒にすれば、先生のめぐりあわせで学びの機会が変わることになるので、ちょっと不公平感があります。

教職制度について

 制度的な話なので私がとやかく言っても仕方がないのですが、こうした話は医療制度において存在しました。
 昔は医師免許を取れば、ずーっと医師として職を全うできました。しかし現実には医療技術は日々進歩し続けます。ずっと以前に医師免許を取った人と最近医師免許を取った人では、診療経験はともかく医療技術が全く違うという不平等な事態が生まれました。この問題を解決するために専門医制度を導入することで、医療の学び直しの機会を半ば強制的に与えられました。
 同じように教職制度も、教職の学び直しの機会が必要な時代になってきたように考えます。教員研修をしている話は聞きますが、大学のようなところに週一ぐらいで通って資格を取るような、内容ある学び直しが必要じゃないかと思います。

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