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オンラインプレゼンに悩む方へのいくつかのTips

ここしばらく、人と人が会えない環境になってから様々なイベントやお取引先との会話、会議などもオンラインとなり、リモート前提になった。その中で新しい方法に慣れない方が多いのではないだろうか。先日、友人にそういった相談を受けた中でのTipsを紹介してみたいと思う。コロナ以降もオンラインで大学でのオムニバス講義の講師や、社内の講義・プレゼンなどを続けてきた中での私なりの手法となる。

サマリ

・相手に伝えられる情報は資料と音がメイン、カメラよりもマイクなど音響を大切にする。
・iPad ProとApple Pencil、GoodNotesでポインタやペンなどの機能を使い資料をインタラクティブに共有しよう。
・Sli.doなどを活用しテキストでの反応を確実に収集しよう。

発信は一方向と心得る

オンラインプレゼンでは、基本的に音や映像による双方向のインタラクションが難しい。特に音声は、現実のように複数人の声が大小混じり合うことが無く一人分しか伝達できないからだ。距離がないと全員の声は同じ大きさで伝わってくるため混線する。だからこそ、オンラインプレゼンは基本的に、一方向に音・映像の情報発信を行うツールだと考える。考えるというより諦めるといってもいいかもしれない。

オフラインであれば参加者の表情や挙手など即座に拾える、活用できるインタラクションがあった。しかし、オンラインでは現状のツールだとせいぜい挙手しました、というサイレントなリアクションを示す程度のことしかできず、また参加者全員の表情を見るというのも一瞥しづらく難しい。

こういった理由で、私はオンラインプレゼンでは参加者からの表情や身体表現によるリアクションを前提とした双方向のコミュニケーションは基本的には難しいものとして諦め、一方向のものとして設計している。ただし、文字によるインタラクションは別であり、これをうまく活用しながらプレゼンをしていくことが重要である。(文字によるインタラクションについては後述)

カメラよりも音

また、オンラインプレゼンで話す際は、表情よりも資料をうまく使うことを大切にしている。もちろん、表情は大切な情報を伝えうるが、PCの画面でできることは限られている。オフラインでお互いに頷いたり目を合わせるようなコンタクトは、オンラインでは取りづらい。資料と表情を双方しっかりと伝えていくということは難しい。そうした限られた環境の中でどちらがより情報を多く聴衆に伝えられるかといえば、資料の方だと思っている。だからこそ、資料を活用することに全力を賭すべきだと自分は振り切っている。

そのため、カメラよりも音響のほうに拘っている。Sigma fpの活用事例を読んでからWebカメラを高品質なものにする、というのを自分も挑戦してみたいとは思うが、あくまでガジェット好きとしての好奇心である。オンラインプレゼンとしては、どちらか一方を選ぶなら音響を充実させることが圧倒的に重要だ。

自分も音響周辺に強いわけではない、という前提のもと、参考に、下記のようなツールを使っている。他にもおすすめがあれば、お教えいただけるとありがたい。

【マイク】

MPM-1000U、ないし単一指向性マイク

こちらは、他のものでも、5,000~10,000円くらいのコンデンサマイクであれば十分感度が高く良い音を拾えるのではないかと思う。単一指向性な製品を選択すればある程度室内の他の音を拾うことも減りノイズが乗りにくい。

【ヘッドホン】

Sony WHX-1000、ないし高品質なノイズキャンセリングイヤホン

問いかけたり、巻き戻して聞くことができない場合は特に、聞き取る側の環境も重要になる。特に司会がいる、複数人での会話があるなどの場合、外部の音に左右されず音を聞き取る事が必要で、その場合にノイズキャンセリングは有用だ。ノイズキャンセリング機能を持った製品は多くあるが充電式の物が多くバッテリー持ちが気になってしまう。こちらは公称30時間のバッテリーを持ち、かつノイズキャンセリング性能も十分に高い。Airpods Proを以前使っていたのだが、どうしても一回の充電あたりの時間で問題が出てしまい、現在はこのヘッドホンに切り替えている。

【ノイズキャンセリングアプリ】

krisp.ai

(※注:上記は招待リンクです)

こちらは、入力・出力双方からノイズを除去するサービスだ。自分の声に外部環境音が乗っかったとしてもkrispを噛ませるとほとんどのノイズは低減できる。私はメカニカル式のキーボードを使っており打鍵音が大きいタイプなのだが、そうした音もkrispを介することでほぼ気づかないレベルに落とせる。また、誰かの声を聞き取るにあたっても、送られてきた音声のノイズを減らしてくれるためクリアな声となって聞き取りやすくなる。

こうした音声への改善で、聞きにくさを減らし、慣れない環境での聞き手のストレスを減らことができる。紹介したガジェット以外でも予算に合わせて様々な選択肢があるし、krispを用いるだけでもだいぶ改善する。

大前提としてそれなりのインターネット回線(10Mbpsくらいあれば問題ないとは思う)を整えておくことが必要だということも添えておく。

資料を活かす

音と合わせて大事なのが、情報をよりわかりやすく伝えていくための資料の表示方法だ。そのために私はiPad ProとApple Pencilを活用している。

具体的な手法だが、まずプレゼン時にZoomアカウントを2つ用意する。一つはPCから接続し、音響とカメラ映像の配信を担当する。そしてもう一つはiPad Proから接続し資料表示を担当する、といった構成である。iPadだけだとkrispなどのツールが使えず、また画面の広さの問題もあるため、二台併用する形をとっている。

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実際にプレゼンする際、iPad ProではGoodNotes 5を起動して、その画面をZoomなどに共有している。スクリーン丸ごとのシェアで問題ないと思う。GoodNotesで読み込むため、事前にプレゼン資料はPCからiPad Pro側に送り、GoodNotesに読み込んでおくことが必要だ。

GoodNotesは単なるノートアプリではなくプレゼンテーション用の機能を備えている。特にポインタという機能を備えているため、自分はプレゼン時このポインタをApple Pencilで表示しながら、今話をしている部分などに聴衆の目線を向けるようにしている。このポインタはオフラインのプレゼンで使うような点ではなく線として表示可能なため、時には簡単なメッセージをこのポインタでかくことも行う。

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また、時には質疑応答用に、プレゼン資料のページを複製したり新規ページを足すなどして、Apple Pencilを用いて図を書く・文字を書くなどしてホワイトボードの代わりとして運用している。この方法だと、質問に対して柔軟に回答できること、聴衆に対する視覚的な補助となることから、プレゼンやその質疑を通した深い理解につなげることができる。

また細かい注意点として、iPad Proの側ではスリープモードの活用などで通知を全てオフにしておくこと、またiPad Pro側のZoomは音声の入出力を全てオフにしよう。こうすることで映像的・音声的なノイズを防ぐことができる。

文字のインタラクションを増やす

オンラインプレゼンにおいて双方向のインタラクションを高めるに、文字を最重要なツールとして位置付け、できる限り情報を拾えるようにしている。そのためには誰もが質問しやすい、意図を表明しやすいツールを用いることが重要だ。自分は大抵Sli.doを使っている。これは匿名・記名を選択でき、かつ誰かの質問に対して投票できるというプレゼン時の質問収集ツールだ。質疑応答の時間と称して一定時間内に質問を集める形式よりも、こうしたツールを用いて適宜思いついた際に質問を書いてもらうほうが、多く、かつ良い質問が集まりやすい印象がある。

Sli.doのようなツールを用いて、誰かが質問し、同じ質問をしたい、気になるという場合にいいねボタンを通じて投票してもらうことで、より多くの人に必要な情報を届ける、答えることに繋がる。またプレゼンの流れを止めずにスムーズに質問を受け付けることもできる。

また、各オンラインミーティングツールに付随のチャットも文字によるインタラクションを受ける有用なツールである。参加者間やスタッフの会話などを促すことで、参加者側の理解を深めるサポートになる。もしチャットを最大限活用するなら発表者以外にチャットのファシリテーションを担当する人間を置くとよい。プレゼンターはプレゼンに集中力を使うため、チャットでのファシリテーションが難しい。チャットはほっといて会話が始まるわけでもない。だからこそ、望ましいインタラクションを事前に検討しておいて、それをファシリテーションする担当を置くことで参加者のコミュニケーションを促していくことが大切だ。

質問とチャット、双方を活用し、参加者の声をできる限り拾い上げることでプレゼンの双方向性を強化していくことができる。場合によっては、オフラインよりも多くの情報を汲み上げ還元できる新しいコミュニケーション手法になりうる。

最後に

オンラインでのプレゼンは、オフラインの頃と比べてどちらかというと演説やラジオ配信、テレビ番組の雰囲気に近いと感じている。聞いている相手を見ながら柔軟に話す内容を変えたりすることができないので、文字での質問に対するアドリブ力は大切にしつつも、あくまで番組を作っているのだという発想で取り組むことが大切かもしれない。その上ではテレビやラジオ番組の構成をもっと学びたいと思う次第である。

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ソフトウェアと経営に関して連載をはじめました。スタートアップでの技術組織づくりや大企業でのDX推進などお悩みの方ぜひご活用ください。



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