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25冊目.坂の上の雲二巻


あらすじと感想


坂の上の雲二巻は日清戦争とその背景についてが多く語られている。

秋山好古と真之は騎兵隊と海軍士官で大尉や少佐など戦略に関わる重要なポストにつく。一方の正岡子規は結核がひどくなり喀血を頻繁に起こすようになるが、当時の短歌、俳句論に革新を起こすべく陸羯南が創設した新聞社「日本」に入社。新聞の編集をしながら自著「ホトトギス」でその論を説く。

この本の主人公、秋山好古、秋山真之、正岡子規の三人が場所と大義は違えど、明治維新後の日本の発展を願い邁進する姿には心打たれるものがあった。例えば、正岡子規は結核を患いながらでも従軍として戦地に赴き記者をすることを志願する。秋山真之は日清戦争当時、海軍の主力ではなかったものの、戦況を冷静に俯瞰し、後の日露戦争に勝利するための手がかりを得よとうする。好古は実際に日清戦争の戦地に出征し、前線で戦った。彼らの姿はとても強く、勇ましくあり、かっこよいと思った。

自分が想像以上に当時の世界情勢は波乱であった。しかし、近代に似た要素も多くあると思った。ロシアと清国の秘密契約、三国干渉による領土奪還など、現在の社会で水面下で起きているような出来事が顕著に現れている。この時代を知ることはやっぱり面白い。次巻が楽しみで候。


気に入った文章


p25. 「人間の偉さにに尺度はいくつもあるが、最小の報酬で最も多く働いた者ほど偉い人はぞな。一の報酬で十な働きをする人は、百の報酬で百の働きをする人よりも偉いぞな」(正岡子規)

当時、「日本」という新聞社で働いていた正岡子規はより給料の良い環境で働けた。しかし、恩師とも言える陸羯南のもとで薄給で働き続けた。この文章は、地位や金、ではなく目的と動機、そして人情が大切なことを知らせてくれる

感想

p103. 「勇猛が自慢の男など、いざというときどれほど役に立つか疑問である。彼らはおのれの名誉を欲しがり華やかな場所ではとびきり勇猛ぶりを見せるが、他の場所では身を惜しんで逃げるかもしれない」(加藤嘉明 戦国末期の武将で秀吉の軍事官僚)

加藤嘉明は人に「優秀な家臣とは」と答えて上記のような発言をした。この発言を見るに、当時の武将が欲していたのは、勇猛で豪傑だけな人物ではなく、忠誠心が高く、教養のある人物だったと思える。現代でも、似た風潮があり、弱い奴ほとよく吠えるし、群れなければ何もできない奴などもそうで、本当に大事な場面で戦え抜けない奴はどの時代にもいて、見る人が見れば分かるんだなって思った。

感想

216p. 「明晰な目的樹立、そしてくるいない実施方法、そこまでは頭脳で考える。しかし、それを水火の中で実施するのは頭脳ではない、性格である。」(秋山真之)

真之は生涯、戦術の天才で知られるが彼の凄さは思考にあると二巻までで感じた。

感想

231p. 「(秋山真之は)得た知識を、それを蓄えるというより不要なものは洗い流し、必要なものだけを蓄える作用を持つ」(加藤友三郎)

必要なものを覚えるというよりも、不要なものを排除する方法はすげーなと思った

感想

p279. 「そもそも立憲政治とは責任政治のことでありましょう。国利民福になることなら国務大臣が責任を負って断行すればいいので、いちいち議会にはかるだけが立憲政治じゃありゃしません」(小村寿太郎)
→英国はディズレリーが電話一本でスエズ運河の株を買い占め、45万ポンドを支出して運河の管理権を英国に収めた

今の日本の政治家に教えてやりたいなと思った

感想

303p. 「歌を詠むための歌よみの歌というのは芸術ではない」(正岡子規)

目的のために何かをしていては二流なのかなと考えさせられた。子規は生涯、歌を詠むために俳句や短歌を書くのではなく、日本の俳句論、短歌論に革新を起こすべく生涯を生きていた。

感想

326p. 「素人というのは知恵が浅い代わりに、固定概念がないから、必要で合理的だと思うことはどしどし採して実行する」(秋山真之)

米国が兵器演習(模型艦隊を使って地図上で演習すること)を導入していた際に真之が言った言葉。当時から現在まで、米国が世界を牽引してきた基本の姿勢がコレであったように思った

感想

346p. 「破壊ほど容易なことはない。愚かな君主は、彼の先行者がつくった良きものをたちまちに壊してしまう」

シンプルにそう。今のプーチンに聞かせてやりたいと思った

感想

勉強になった文章

p157. 日清戦争は老朽しきった秩序(清国)と、新生したばかりの秩序(日本)との間に行われた大規模な実験というような性格を持っていた

p157. 派閥抗争は老朽した国家の特徴である

p250. 「文明の段階々々で、ピッタリとその段階に適った民族というのが、その歴史時代を担当するのではないか」

だとしたら、今の文明にあった民族どこって考えさせられた。多分、浅はかながら、時代を担当しているのはアメリカで現代はクリエイティブな姿勢をもち、形にし続けることができる人が時代を担当しているように思った。

感想

p277. 「日本の政党は私利私欲の為に集まっ徒党である。主義もなければ理想もない。外国の政党には歴史がある。人に政党の主義があり、家に政党の歴史がある。祖先はその主義のために血を流し、家はその政党の為に浮沈した。日本にはそんな人間もそんな家もそんな歴史もない。日本の政党は、憲法政治の迷走からできた一種の虚構である」(小村寿太郎)

p346. 「独裁君主においてなによりも、強い意志と高潔な思想、感情が第一条件である」(露大蔵大臣ウィッテ)

プーチン、ヒトラーに聞かせてほしい

p364. 「日本と露国との戦争は、ロシアに男んお利益ももたらさないばかりか、害のみである。日本を得た所で海を隔てて列島を支配するのは困難で、列島には単一民族が人口の多くを居住し、それを治めるにはおそらく手を焼く。さらに、日本には米以外資源がない」

p378. 「民族には、ごく土俗な感情としてナショナリズムというものがある」


知った言葉

  • 驕慢(きょうまん): 傲慢で高慢な態度や態度。

  • 狭量(きょうりょう): 心が狭く、小さなことに執着すること。

  • 慰問(いもん): 困難な状況や苦しみを抱える人々に、慰めや励ましを与えるために行われる訪問や支援活動。

  • 徒手空拳(としゅからて): 武器や道具を使わず、素手のみで戦うこと。

  • 固陋(ころう): 偏狭で柔軟性に欠けるさま。

  • 警抜(けいばつ): 一定の期間、任務を免除されること。

  • 高遠(こうえん): 高く遠くにあること。

  • 攘夷(じょうい): 外国勢力の排除や国内の近代化を目指す運動。

  • 鈍重(どんちょう): 動作や反応が鈍く、遅いこと。

  • 土俗(どそく): 土地や地域の独特の風習や慣習。

  • 掠奪(りゃくだつ): 強奪や略奪を行い、物品や財産を奪うこと。

  • 閑談(かんだん): 気軽な話し合いや世間話など、重要性のない軽い会話



歴史について知ったこと

  • 安政の大獄 尊王攘夷派の勢力を弾圧して幕府の政治体制を維持するめに井伊直弼が実施した。

  • 戊辰戦争 明治時代の日本において、1868年から1869年にかけて起こった内戦。この戦争は、幕末の動乱期から明治維新への転換期における重要な出来事。江戸時代の幕府政権(旧幕府)と新政府(明治政府、新政府)との対立の戦い。結果は新政府の明治政府が勝つ。薩長土佐が主な藩士。これらの藩が新政府の重要なポストにつく。

  • 「クリミア戦争」1853年から1856年の間、クリミア半島(ウクライナ周辺、四国よりも大きい場所)などを舞台として行われた戦争。 フランス・オスマン帝国・イギリスを中心とした同盟軍およびサルデーニャと、ロシアとが戦った。ここでロシアのニコライ一世が死んで、ニコライ二世が即位。即位したニコライ二世がシベリア鉄道気候式のために日本に訪れ、滋賀、琵琶湖を観光していた際に攘夷派の津田三蔵がニコライ二世を襲撃、以後、ニコライ二世は日本に憎悪を持ち、公文書でも日本を「猿」と書き、後の日露戦争に発展。なお、ニコライ二世を襲撃した際には日露戦争を恐れた日本中がロシア大使館やニコライ二世が療養しているホテルに陳謝状を送った。その数、数日で1万通。中でも目立ったのは、畠山勇子。彼は京都府庁の前で謝罪の意を込めて喉を切って自害。

  • 「義和団事件」ナショナリズムを持たない清国がロシアの権益獲得の為の行動(鉄道や商品の流入」に懐疑的になり起こした攘夷活動。ロシアなどの外国人や大使館を襲う。後の北清事変に繋がる。なお、北清事変ではロシアやフランスから隣国の日本から大量の出兵が要請され、日本が列強の位置付けを得る機会になった。


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