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中華CO2レーザーカッターのお話

どもどもYanでっす。

今回のお題は「中華レーザーカッター」について。

ここ数年で価格が一気に下がってきたモノづくり道具は3つあると思ってます。

①3Dプリンタ
②CNCルーター
③レーザーカッター

①3Dプリンタ

最初に挙げたいのは3Dプリンタ。僕も去年購入してnoteでもいろいろ書いてきました。確かに便利。こういう形の部品が欲しいと思ったら、ある程度のものは簡単に作れちゃう。

巷では、なんでも作れちゃうという話ばかり目につくけれど、実際に使ってみると問題点もあります。紫外線で硬化させるタイプの光造形プリンタは解像度(精度)は高いけど、強度(特に靭性)が求められる部品は苦手。出来ないことはないけど素材になる紫外線硬化レジンの価格高いやつを使うのでコストが上がる。

また、樹脂を熱で溶かして積層するFDMタイプのプリンタはABS、ナイロンなど強度のある樹脂を使ってプリントすれば強度を求められる部品も出力できるけれど、溶かした樹脂を小さな穴から押し出して積み重ねていくので、積層痕が目立ちやすく、解像度を求められる物は苦手。と一長一短。

手元にあれば出来ることはたくさんあるので持っていると便利だし、3種類の中では敷居が一番低く導入コストも低い。

発展ペースの速い道具だし、産業分野では自動車部品まで作ってるような道具なので、そのうち家で金属プリントが出来るようになるかもしれない。金属プリント可というと、Adventure3xというホームユース3Dプリンタもあるけど、プリント後に法外な金額を支払って焼成(焼いてホントに金属にする工程)を外注する必要があるので、気軽な金属プリントとはいいにくい。でも遠くない未来、ほんとに家で金属プリントが可能にはなっていくんだろうなという気はする。


②CNCルーター(CNCフライス)

今回取り上げた3種類はCNC(computerized numerical control コンピュータ数値制御)が基本にあります。コンピューターで加工する位置を制御しているのは全部共通。あとはヘッドについてるのがマテリアルの吐出ノズルなのか、レーザーヘッドなのか、ドリルなのかの違いだけ。CNCルーターはその名の示す通り、切削ドリルを制御して素材から部品を削り出すモノづくり道具。

3018というワークサイズが約300mm × 180mmのCNCルーターが格安で出回ってます。24Wモーターが搭載されているのがほとんどで、削る素材は木。金属を相手にするにはドリルを回転させるモーターの力が足りません。モーターを500Wモーターとか金属切削に耐えうるものに交換すれば憧れの金属削り出しパーツを作れちゃうかもしれない。ボディに十分な剛性があれば。

素材のブロックを削っていくので、捨てる部分が多くコストパフォーマンスが悪いのが難点。削り出しパーツが高いのはこのコストパフォーマンスの悪さも理由の一つ。また、格安CNCルーターでは首振り機構は組み込まれていないので、水平に削る、垂直に削るしかできません。斜めになる切削面は不可能ではないけれど、切削面が水平か垂直になるように素材を固定する必要がある。

一番の問題は情報の少なさ。3種類の中では一番敷居が高い印象。

多分理由としては、よほど特殊な物でもない限り、金属加工業者に依頼したほうが安上がりだし精度の高いものを手に入れられるからだと思う。今後3Dプリンタが発展して、家で金属プリントできるようになったら高い精度を必要としないものなら3Dプリンタで済んじゃうようになっていくと思う。日本だと基板の自作で結構使っている人が多い感じ。


③レーザーカッター

産業レベルでは金属切断も余裕なファイバーレーザーを使ったものが主流だけれど、ホームユースレベルではダイオードレーザーかCO2レーザーが主流。といってもホームユースマーケットもかなり小さい。

FDMタイプの格安3Dプリンタのようにフレームむき出しのタイプのレーザーカッターはダイオードレーザーを使ったやつ。僕が探した限りではレーザーユニットは最大でも15W、一般的には5~10W程度。レーザーを貫通させて切断するという使い方じゃなく、表面を焼いて(溶かして)彫るのに適している。カッターというよりはエングレーバーと呼ぶ方がしっくりくるのがダイオードレーザーの機械。

例えばアクリル板を切るのに適したレーザー出力。一般的に1mmの厚さを綺麗な切断面で切るには10Wの出力が必要と言われてる。何度もレーザーを照射すれば厚いものも切断可能ではあるけれど時間もかかるし、切断面も荒れる。

CO2レーザーは箱型をしてて、60~120cmくらいの長さのガラス製レーザーチューブ(高価なやつは例外もあるけど)が搭載されているもの。出力は40~150Wくらい。アリエクでよく見るのは40Wのレーザーチューブを搭載し、ワークサイズが約300mm × 200mmのもの。600mm × 400mmも多くあるのだけど、こっちは重量が70~80kgになるので、ホームユースと言うにはちょっと大きすぎる。

数年前までは中華CO2レーザーカッターは200V仕様が多かったのだけど、レーザー用電源に110Vとの切替式が登場したからか日本でもそのまま使えるようになっている。(付属品のコンプレッサーや冷却水ポンプも100V仕様がついてる)

最近になって4040っていうのが増えてきていて、設置面積はそこそこ必要だけど重さは30kgちょい。個人でもなんとかなるんじゃないかと考えて導入に踏み切ったと。それが今回のネタの発端。

レーザーカッターは存在している素材を切るものなので、素材次第では3Dプリンタでは作れないものを作ることができる。アクリルのような透明度は3Dプリンタでは出せないので3Dプリンタが進歩していっても用途が被らないんじゃないかと思う。

CO2レーザーカッター(エングレーバー)って何ができるのよ?

カッター(エングレーバー)と呼ばれるくらいだから、素材を切る(彫刻する)のに使うもの。

切断できるもの

・紙
・木(コルクは無理)
・革
・布
・アクリルなど樹脂板(加熱すると有毒ガスが出る樹脂もあるので注意)
・レーザーカッター用ゴム板

彫刻できるもの

・紙
・木(コルクもOK)
・革
・布(デニムなど厚さのあるもの)
・アクリルなど樹脂
・レーザーカッター用ゴム板
・ガラス
・石
・金属(要薬品)

注:金属はレーザーの出力が足りず直接彫刻するのはほぼ無理。薬品を塗布してレーザーを照射するのが一般的。薬品の価格は結構なお値段する。あるいは塗料で塗装した金属の塗膜をレーザーで焼いて剥離させることでも可能。無垢の金属への彫刻(マーキング)はファイバーレーザーを採用したものが向いてるのだけど、150mm × 150mm程度のワークエリアのものでもかなり価格が高い。

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上の画像は猫シリーズのコースターと鍋敷き。材料はコルク、アクリル、陶器。近日中にBOOTHで販売開始しますので、よければ買ってやってください。

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透明アクリルを重ねていくタイプのラズパイカメラケース。GoProのマウントに取り付けできるようにしてある。

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降圧モジュールと一緒にラズパイを設置しようと思って作ったラズパイマウントプレート。降圧モジュールは図面なかったので実測なのだけど、段ボールで穴の位置確認してから本番のアクリル切り出ししてるので失敗なし。

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ラズパイのGPIO番号なんて暗記してないので、簡単に確認できるチャートのプレートも作ってみた。厚さ2mmのアクリル板なのでショートの心配もないし、ジャンパケーブルもそのまま挿せちゃう。

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文字は彫り込んである、所謂レーザーマーキングってやつ。治具さえつくればキーボードのキートップにもマーキングできそうな気がする。

コレみたいなアクリル板を積み重ねてネジで固定するラズパイケースみたいなのは超得意。

レーザーを照射した際の熱で素材を瞬時に溶解、蒸発させて切断するので、レーザーの幅プラスαの切断ライン分データサイズより小さくなる。これを計算してデータを作成する必要があることだけ気を付ければあとは速い。

僕のやつはデータラインの左右0.15mmが切断時になくなってしまう。つまり切断ライン幅は0.3mm。精度を要求するものの場合はこれを考慮してデータを作る。他の部品と組み合わせる場合は内側になる部品はあらかじめ大きめにデータを作らないと、組み合わせたらスカスカということになる。

切断ライン幅を考慮する必要はあるけれど素材自体の収縮はないので、ネジ穴の位置とかは正確になるのも魅力の一つ。図面が存在してるなら、簡単に正確なパーツを作れる。実測したやつでも段ボールでテストしてネジ穴の位置を確認して、本番素材で作るとかも可能。

3Dプリンタ、CNCルーターに対しての、僕的なアドバンテージはスピード。

3Dプリンタは積層させていくという仕組み上時間がかかる。CNCルータもドリルで少しづつ削っていく仕組みなので金属も加工できるけど時間はかかる。レーザーはラインをなぞるしかできないけど、一定の厚さの板のようなものの加工は一度なぞるだけでいいのでとても速いというわけ。

切断能力

木材 10mmを1パスで切断可能
アクリル 6mmを1パスで切断可能
フェルト 8mmを1パスで切断可能

僕が実際に試した限りだとこんな感じ。木材は焦点深度の限界を超えてるけど、切れる。

アクリルもスペックでは8mm行けるとなっている。手持ちのアクリル板で最も厚いのが6mmだったので試してないけど、焦点深度を考えるとあまり厚いのは断面が傾いてくるはず。

フェルトはたまたまグラインダー用のパッドを小さくする必要があったので切ってみた。断面が焦げるけど、軽くペーパーでこすってやれば落ちるので実用では全く問題なかった。

レーザーカッターでできないこととかデメリットとか

切断面は垂直のみ

レーザーは素材に対して垂直に照射されるので切断面を傾けることはできない。あくまでも2次元データの処理。

高さのコントロールは素材依存

入手する素材は流通しているサイズになるので、厚さのコントロールができないのはデメリット。

例えばアクリル板の厚さは普通1mm単位になる。つまり3.5mmの厚さの部品をつくりたければ3.5mmのアクリル板なんて流通してないので、4mmのアクリルを切ったあと0.5mm他の手段で削る必要がある。

人体に対する危険度が高い

レーザーチューブに対してかける電圧は10,000V以上。電流が微量とは言え死に至る可能性もある危険な電圧。またチューブから出力されるレーザーは人体に照射されれば重度の火傷を負うし、万が一目に入ったら簡単に失明する。

素材にレーザーを照射したときに出る熱を使うため、素材次第では人体に対して有害なガスが出るし焼けた臭いもある。日本のように住宅が密集した環境で切断時に発生した煙やガスをそのまま外に排気は難しいと思う。木材や布なら単に焦げ臭いレベルで済むけど、樹脂はレーザー加工したらとても危険な有毒ガスが発生するものもある。絶対にレーザー加工しちゃダメというレベルの樹脂も存在するので気を付けよう。塩ビはダメ。塩化水素が出るだけでなくダイオキシンも発生するはず。

CNCルーターならドリル(エンドミル)と切粉に気を配ればたぶん大丈夫。3Dプリンタは、光造形なら紫外線とレジン、洗浄に使うIPA(イソプロピルアルコール)。FDMタイプではベッドやノズルでの火傷くらい(フィラメントの種類によっては加熱時に有害なガスが出ている可能性も否定できないけど健康に対する影響は研究不足)?これらと比べてもレーザーカッターは圧倒的に怖い。

まとめ

中華CO2レーザーカッターを導入したので、どんなモノなのか。どんなことが出来るのか。なんかを軽く紹介してみました。使い勝手は別とすれば、日本のメーカーが販売している低価格帯のレーザーカッターと同じくらいのレベルの切断はできるようになったので、今後は3Dプリンタだけでなく、レーザーカッターについても書いていこうかなと。

自分的には、見た目が製品と言えるレベルのクオリティの実用品を作りやすい機械なんじゃないかなと。あとモノづくりの道具として、3Dプリンタほど普及はしていないので、違いを出せるかもしれない。レーザーカッターならではの部品を追加して見た目をよくするとか、使い道は結構ありそう。

難点はレーザーカッターの工作スピードに慣れてしまうと3Dプリンタのプリント速度の遅さが気になってきちゃうことくらい。

次は購入した本体とか、動かすのに必須なものとか、かかったお金とかも含めて書いていく予定。

ご期待ください。

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