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庭師とライターに意外な共通点を見つけた

庭師。みなさんはどんなイメージを持っているでしょうか。伸びてしまった枝や、モサモサになってしまった葉をハサミでチョキチョキ剪定する。そんなところでしょうか。私の旦那さんは数年前に一念発起して脱サラ転職。造園会社に勤めています。毎日違う(数日同じこともあるかもしれないけど)現場に出かけていって、同じ会社の先輩と、時にはひとり親方と呼ばれる個人事業主の方たちとチームになって剪定や伐採などやるそうです。


庭の現場は試行錯誤の連続!?

旦那さんを含め会社の社員たちは、みんな造園技能検定1級を持っている。植物や木がどのように成長するのかを想像しながら、技術を持ってやればいい。それだけのことなのではないかと想像していたのですが、どうやらそうではないらしいと、ある晩の会話からみえてきました。

「お客さんの要望に応える必要がある。スッキリ、趣がある等、お客さんの好みはさまざま。庭なんて伸び放題でもいいじゃ〜ん、というガサツな態度でも死にはしないところ、わざわざ庭師に依頼するのだからそりゃこだわりがある」
「年に1回注文を受けるお客さんなら次は翌年。何度か回を重ねてようやくわかってくる。1回切りのお客さんなら、好みを汲み取りできる限りでやるしかない」

つまり技術を駆使しながらも、それだけでできる仕事ではないということらしい。

毎回毎回、ここが満点ということがない。旦那さんの中でこの人はできる!という先輩、Nさんは、旦那さんの仕事の仕方について意見して教えてくれるのだそう。それだけでならまぁ普通のことだと思うのだけれど、Nさんはご自身よりも経験の浅いうちの旦那さんにも「なにか気づくことがあったら教えてほしい」と声をかけるというのです!

満点がないから辛いけどおもしろい

このエピソードを聞いて、本質的なところがライターの仕事と同じだなぁと感じた。ライターがインタビューに出かけて行ってお話を聞くのは一発勝負。書き上げる原稿に「ここが満点ということがない」のは本当に同じ。自分では精いっぱいのところまでやりきったとしても、「はい、それで満点!」なんてあり得るはずがない。

そして、Nさんがうちの旦那さんに意見を求めるように、できた原稿に対して感想をもらうこと。それはとても大切なことであると同時に、プロ意識がなければ素直に受け入れられないこともある、ある意味勇気の必要なことだ。その点で、Nさんはホント、かっこいい!

お客さん=読者に響くポイントがあって初めて、「満点に近い」ところまで届くのかもしれないが、それを因数分解して「これこれ、ここが良かったから」と読み解くのは難しい。

働く人はみんなそれぞれの満点を探してる

「満点がないから大変、でもおもしろいんだよ」。学年末試験まっさい中で、勉強に励む中1の娘の背中を見ながら思う。考えてみれば、庭師、ライターだけじゃなく世の中でお金をもらって仕事をしている人たちはみんな、満点をつかんだと思った瞬間にそれが瞬く間に遠くにいってしまっている日々をくりかえしながら、がんばっているんじゃないかと感じる。

それにしても、旦那さんが働く現場で、職人たちが真剣に、どうやって思い描く仕上がりに近づけるのかを考えながら、チームワークでやっているのを思い浮かべてみると、しびれるなぁ・・・。


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