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【前編】「月商7桁」は本当?からくりを解説

月商7桁(月100万円)、達成したいかー?

おーーーーーーー!!

を、期待してこの記事を開いた方、ごめんなさい。

今回は、あなたが月7桁稼げるようになるための情報ではなく、「月商7桁の価値」を考える記事です。

を同時公開でお届けします。

眩しく輝く「7桁稼ぐ起業家」

SNSを見ていると、どの起業家さんも7桁稼いでいらっしゃる……

開業すると売上が気になりますよね。

会社員時代よりも、明確に自分の実力が数字として出ている気がする。
全てが自分の責任になるから、自分の売上はもちろん気になる。
そして、人の売上も気になる

SNSを開けば「月商7桁達成しました!」の投稿を目にすることも多い。過去に登録したメルマガやLINEからは「億を稼ぐ女性が教えるビジネス講座」なんてお知らせも届きます。

約3年前。開業後まもなく妊娠・出産した私にとって、同じような子育て中の女性起業家が月商7桁!というのは、とても眩しく見える存在でした。

今は全く違う見方になったのですが、もし、過去の私のように「月7桁も稼げるってすごい……。私、そんなに稼げてない……」と落ち込んでいる方がいたら「ちょっと待って!落ち込む必要は全くないんだよ!」とお伝えしたいのです。

ちなみに、少し古いのですが、中小企業庁が発表している「小規模企業白書」平成24年版では、女性起業家の収入に関する記載があります。女性起業家のうちの7割は”年収”が100万円以下。月商にすると約8万円です。

現実的には、月商8万円以上であれば、女性起業家全体の上位3割付近にいるということですね。

「月に7桁稼いだ」公表中の人から学ぶ!?ビジネス術4選

月商7桁ってすごいと思いますよね。

でも、最初にお伝えしておきます。「月7桁稼いでいる」と、わざわざ売上を公開する人はだいたい見せかけ上手なだけの人です。からくりを見てみると、そんなにすごいことではないんです。

実態が伴わなくても「月7桁の売上、すごい!」と見せかける方法がいくつかあります。

以下でご紹介する内容を見て「えっ?そんなことしてる人いるの?」と思うかもしれませんが、全部、実際にやっている人を見たり聞いたりしたことがある方法です。

1.複数人での稼ぎを売上とする

複数人の商品をパッケージ化して販売する方法です。たとえば10人でチームを組み、10万円のサービスをつくります。それを10人に販売します。10万円×10人、売上合計は100万円です。

1人あたりの売上としては10分の1の10万円です。でも「自分が関わった商品が月商100万円」ととらえて月商7桁、と公開する方法です。

2.仲間うちでお互いに購入しあう

起業コミュニティの仲間同士で互いに購入しあう方法です。同じコミュニティに属する仲間に、自分の100万円のサービスを買ってもらう。自分も、コミュニティ内のほかの人の100万円のサービスを買う。

自分の手元に残るのは0円です。でも売上としては月商100万円=月商7桁の称号を全員が実現できるのです!なんと素晴らしい!!(この話を聞いたときには「そっ……そうか」以上の言葉が出なかった。)

3.原価の高い商品を販売する

原価が高いものは必然的に販売価格も高くなります。夫の友人は年商1億円以上です。それを聞いて「えっ?すごくない? 」と言ったところ、「薄利多売やで」と言われました。友人の業種を聞くと、「ブランド買取販売」でした。単価が高いものに利益を乗せ、さらに高値で販売する仕事です。

高価格商品を販売すれば月商100万円も届きやすいです。ただし、この方法は利益率が低いのでたくさん売らないと自由になるお金は少ないし、在庫を抱える危険性もあるので個人的にはオススメしません。

4.前受金も含んで1ヶ月分の売上とする

そして、「月商7桁!」を公表する人のなかで最も多いと思われるのが、入金ベースで「売上」とするパターンです。

この方法が最も多いと言える理由としては、単純に「企業会計原則」を知らない人が多いからです。

企業会計原則では、以下の記載があります。

売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る

企業会計原則

つまり、商品やサービスを提供した時に、初めて売上になる、という原則です。


ポイントとなる「前受金」の考え方を少しご紹介します。前受金とは、まだサービスを提供していないのに前もって受け取っているお金のことです。

たとえば1年間、毎月1回提供するサービスを12万円で販売していたとします。2023年1月に10人が購入しました。入金額は120万円です。やったね、月商7桁!!

と思いがちですが、原則にのっとり「前受金」を使って考えると、120万円は前受金であり、1月に提供したサービスは12分の1なので、1月分の売上は10万円です。

大事なことなのでもう1回言います。1月分の売上は10万円なのです。

  • わーい、売上120万だー♡ ←簿記上NG

  • 売上は1回分の10万円。  ←簿記上OK

毎月の売上は10万円

余談ですが、前受金は「負債」扱いです。負債とは借金と同じで、借りている、または返す義務があるお金です。前受金は、今後、商品やサービスを提供する義務があるのです。

つまり、前受金をもらいすぎると、後からタダ働きの感覚で働く必要がある、ということです。怖い!

この原則を知らないと「お金が入ってきた=売上」と考えるため、「今月は月商7桁達成!」と言う人が多いのです。正しくは「7桁の入金があった」です。

以上が月商7桁に見せかける方法4選でした。いかがですか? 参考になるものがあったらぜひ使ってみてください!

と、言いたいわけではない。

「会計のルールとかそんな細かいこと、どうでもいいよ」と思われた方は、それはそれでいいんです。前受金だとしても1ヶ月に7桁の入金があるのは単純にすごいことですし、頑張った自分を認めて褒めてあげるのも大事なことです。

ただ、知っておいてほしいのは、「自分は月7桁を稼ぐ人です」とアピールする人は、ビジネスの実態よりも、月商を大きく見せかけている場合が多い、ということです。

なぜ、そのように月商を大きく見せてアピールしているのか?

後編では、私が個人事業主として模索していた時代、出会った起業家さんたちを観察して気づいた「月商7桁を打ち出す理由と危険性」をお話します。

※この前編記事は全文無料公開のため、以下のエリアに続きはありません。
後編記事はこちら↓

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