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2022/4/9 Mr.Children ~エントランスのエントランス~

今年、2022年をもってデビュー30周年を迎えるMr.Children。
自分も『箒星』という曲で本格的に好きになって聴き始めた2006年頃から数えると15年以上のファンだし、ファンクラブ「Father&Mother」への加入もこの4月でかれこれ13年目に突入した。

まさかこんなに長く続く好きなものが自分の中にできるとは思わなかったし、こんなに長続きしているものは自分の人生でやっぱりMr.Childrenしかない。
それにも関わらず、今年のツアータイトルが「半世紀へのエントランス」ときたもんだから、もうびっくりで。

「30周年は50周年への入口にすぎないですよ」という宣言ともとれ、以前「SOUNDTRACKS」について書いたときにも触れたけれど、あのとき感じた「終わりに向かってる感」は何だったのか…(笑)

とはいえ、引き合いに出すのもどうかと思いながらも、前回綴ったBiSHのように、解散というゴールを設定し、そこに向けて全力疾走を始めたグループもいるので、"いつか終わりは来ちゃうから 後悔しないように"の精神は引き続き持ち合わせてミスチルとも向き合わなければ。

そんなわけで今回は、ついに始まったドームツアーに先駆けて行われたFather&Mother限定プレライブ「エントランスのエントランス」について、幸運にも参加することができたので、その記録を忘れないように残しておきます。

細かいところは記憶が曖昧になってしまっているし、MCの内容もしっかりと覚えてはいないけど、FC限定という手前、あまり詳しく書きすぎるのも良くないだろうから、まぁちょうどいいでしょう(笑)

※ドーム&スタジアムツアー本番も無事にファイナルを迎えたので、ネタバレを解禁して再掲!

これまでも度々Father&Mother限定のライブは開催されていたけれど運に恵まれて来ず、13年目にしてそれがようやく巡ってきた今年。
その前にMr.Childrenをライブで観たのは2019年5月名古屋の「Against All GRAVITY」ツアーだったので、3年ぶり近い再会。

それまではほぼ毎年コンスタントにライブを観てきたので、まさかこんなにも空白期間ができてしまうとは思わなかった。
もちろん、合間にアルバム「SOUNDTRACKS」を聴き込んだり、B'zとの「UNITE#01」も配信で観たので、心が少し離れることはあっても、忘れることはなかったけれど。
(UNITE#01のレポはこちら↓)

さて、会場となる東京ガーデンシアターに向かうと、ゆりかもめの最寄り駅からはたくさんの人が列を成していて、会場に近づく度にミスチルの歴代のツアーTシャツやタオルを身に付けている人たちが増えてきて、その感じがもう懐かしかった。

ガーデンシアターは以前一度、UNISON SQUARE GARDENの着席限定ライブでも訪れていて、8000というキャパとは思えない近さだったり、音や環境の良さを体感していたので、この会場でMr.Childrenが観られるというのも非常に楽しみだった。

エントランスのエントランスのエントランス(入口)前には、アー写やライブタイトルのビジョンを前に記念撮影をする人でたくさん。
思えばツアーのときも、トラックやパネルの前で写真を撮り合ったなぁ。

そしていざ入場するとびっくりするほど静粛な雰囲気で、それはコロナ禍でのライブということや、チケットを申し込めるのが1~2枚までという制限によるものが大きいのだろうけど、ついに3年ぶりの再会だ…という緊張感が会場中から漂っているようでもあった。

世の中の状況とともに、軽く人生も一変してしまうような年月。
本当にあれからの3年間で個人的にもいろいろあった。
そんな日々を乗り越えてもうすぐ会えると思ったら、既に感情は泣きそうだし落ち着かないしで、ずっとソワソワしていて。

そしてついに開演。
オペラ音楽?のような厳かな女性ボーカルの曲をバックにメンバーと、今回もサポートを務めてくれるKey.SUNNYさんが登場し、配置につく。
プレライブということで、映像や凝った演出は無い。
それだけに、まざまざと4人の姿を確認するしかないのだけど、あまりに久しぶりすぎて、本当にそこにいるのはMr.Childrenなのか?と、まだ実感が湧かずに懐疑的な自分がいた。

しかし、ゆっくりとイントロのようなオケが流れ始めると、桜井さんが開口一番、「覚えてますか?この感じ!ここから始めよう!」と言って始まったのは、『youthful days』。
あの、ライブ用にアレンジされた、ワクワクを増幅させるような長いイントロ。
そしてあのギターリフが鳴り、桜井さんのアコギと共にバンドが躍動し始める。

忘れるわけがない。
間違いなくそこにいたのはMr.Childrenだった。
2番では当たり前のように"乾杯"を交わす。
再会の喜びを皆で祝すような乾杯。
もうそれだけで、3年間のブランクが一気に埋まった気がした。

声は出せないながらも、皆で手を上げて揺らしたり、手拍子でステージ上のミスチルに想いを届けようとする雰囲気だけで、静粛だったムードがパッと明るくなったような感覚があり、その勢いのまま『海にて、心は裸になりたがる』へ。
前回の、コロナ前最後のツアーで披露されたこの曲は皆で\オー!オー!/と拳を突き上げて叫ぶのがお決まりなので、まさかコロナ禍のライブでやるとは思わなかったけれど、それでも桜井さんは「心で叫んで!」と客席にマイクを向ける。
どんな状況でもステージと観客とのコミュニケーションを欠かさないのがMr.Childrenのライブなんだなと改めて思わせてくれるし、大サビ前には自分らの代わりにナカケーが全力で叫んでくれていた。

続けてまた馴染みのあるリズムをドラムが刻み始めると、もはや身体が反応して分かってしまうのだが、もうここで来るのか!とクライマックス感も漂わせる『innocent world』へ。
まさに"いつの日も この胸に 流れてる メロディー"。
サビでは自然に手が左右に揺れる。
そして今回印象的だったのが、間奏のベースソロ、ギターソロのとき、桜井さんがナカケーと田原さんを手で指し示してフィーチャーするような仕草を見せてくれたこと。
ライブ中でもずっと両脇でMr.Childrenの音を支えてきたメンバーに対するリスペクトを欠かさないようなその姿勢にグッときてしまう。

ここでMC。
ツアーのプレライブということで、気心知れたファンクラブの皆さんに甘える気持ちでスパーリングのような…でも気持ちは本気で!という旨を語ってくれたけど、それはここまで3曲を聴いても、Mr.Childrenもまた一切手加減なく全身全霊でこちらに音楽を届けようとしていることが分かる。

「30年もやっていると、毎回ライブの選曲には悩むもので、あれも聴きたかった、これも聴きたかった、という声がどうしても聞こえてきてしまう…」と漏らしながらも、それだけ長く愛されてきた曲がたくさんあることに触れ、そんな歴史の中でも次に披露されたのはMr.Childrenのシングルとしては最初にタイアップが付いた『Replay』。
1993年の楽曲で、ライブで披露されたのも、2011年の「SENSE -in the field-」以来か。
込み上げてくる懐かしさに浸りながら聴き入ってしまった。

しかしそんな余韻をよそに、ガラリと次のイントロへ入ったのは『Any』。
"今 僕のいる場所が 探してたのと違っても
間違いじゃない きっと答えは一つじゃない"
というサビのフレーズ。
以前、凛として時雨のピエール中野氏もこの歌詞に救われたと語っていたが、多くの人を励ましてきたこのフレーズに絡め、後のMCで桜井さんは、コロナ禍でライブの形は変わりながらも、それはそれで新しい形だと語り、一切声を出さずに身振り手振りでリアクションをとる我々を称えてくれた。

そしてさらにそれを、"間違ってなんかない"、"きっと正解もない"と後押しするように鳴らされる『僕らの音』は、どんな形であれ、そしてどんなに"会いたい 会えない 会いたい"日々が続いた後でも、そこにMr.Childrenと我々リスナーがいれば、そこで鳴らされる音は正真正銘"僕らの音"なんだと教えてくれる。

続いてそんな感動も束の間、少し長目の不穏な空気も漂うインストが流れ始め、この感じどこかで聴いたことあるな…と思っていたら、『DANCING SHOES』へ。
そう、記憶に新しいUNITE#01のときと同じアレンジだ。
サビで一気に解放される桜井さんの張り上げる歌声と壮大な演奏はやはりライブ映えだ。

ダークな雰囲気を纏いながらも、またキリっと切り替わるようにデジタルな音が走り始め、桜井さんが"レボッリューショーン…"とエレキギターを掻き鳴らしたのは、ライブではこれも実に久しぶりの披露となる『ロックンロールは生きている』。
"お前だけの…お前だけの…お前だけのステップ Oh~"と、何度も煽りながらリフを刻む冒頭のアレンジは健在で、歓声は無くとも不思議と会場のボルテージが一段階上がったような感覚があった。

そしてその熱を保ったまま『フェイク』へと続いていく。
近年のMr.Childrenは「重力と呼吸」あたりを境にどんどんロックバンドに回帰している感があり、桜井さんの歌が絶対的な中心にあることは変わらずとも、ギター、ドラム、ベースの存在感もところどころ際立って聞こえるようになっている気がして、それはこうした激しいロックチューンでは特に顕著だ。

そんな中、この日特に感動したのは次の『Worlds end』。
この曲のアウトロはライブでは長くアレンジされ、桜井さんが歌詞には無いシャウトを続けるというのが聴きどころなのだが、今回のそれは今まで聴いた中でも一番と言っていいほど心を持っていかれた。
バンドの音が止み、SUNNYさんが奏でる美しいメロディーに乗せて、伸びやかな、一切の濁りも汚れも無いようなファルセットを響かせたのだ。
まもなくバンドが30周年を迎えようとしている中、そして自身は50代に突入したという中でも、未だにこれだけの歌を、それもより力と美しさを増した歌声を響かせられるのか…という、圧倒的な感動に、ただただ心が震えっぱなしだった。

続く『永遠』では一部歌詞が飛んでしまう場面もあったが、次に『others』とバラードが続き、もうただただ聴き入ることしかできない。
長く高まっていくアウトロでは珍しく、その演奏を際立たせるためか桜井さんが一度ステージからはけるが、あのピアノの名イントロが鳴り響くと同時に再び姿を現す。
そう、ここで『Tomorrow never knows』。
声無き\Oh- Oh-!/が会場中にこだました。
『innocent world』でも感じたが、こうしてもう何十年も共に歌われた名曲で培われてきた一体感には、もはや声なんて必要ないのかもしれない。

そしてあっという間に本編ラスト、「旅に出ようぜ、Father&Mother!」と高らかに鳴らされたのは、『fanfare』。
まもなくデビュー30周年に突入し、そして半世紀=50周年へ向けて新たな舵を切るMr.Childrenにふさわしい曲だ。
歌詞に合わせて我々が手を振ると、桜井さんが何度も手を振り返してくれたのが印象的だった。

「本当にどうもありがとう。これで自信持ってドームに行けます!」
と、晴れやかに再登場したアンコール。
メンバー紹介では珍しくメンバー1人ひとりが挨拶をしたのも、JENがペットボトルで飲んだ水を吹き出してしまうというハプニングを起こし、桜井さんに「コロナ禍にはふさわしくないパフォーマンス」と突っ込まれていたのも、Father&Mother向けのライブならではのユルい空気感からだろうか(笑)

しかし、最後の曲として繰り出したリリース前の新曲『生きろ』は、30年間かけて築き上げてきたMr.Childrenを、バンドごとまるまる全部ぶつけたような、渾身の一曲!という感じで、桜井さんの力強いボーカルを筆頭に、物凄いエネルギーを放つ曲で、最後の最後にまた喰らった~!という感じだった…。

- Mr.Children FATHER&MOTHER Special Prelive エントランスのエントランス セットリスト -

01.youthful days
02.海にて、心は裸になりたがる
03.innocent world
04.Replay 
05.Any  
06.僕らの音
07.DANCING SHOES 
08.ロックンロールは生きている
09.フェイク
10.Worlds end
11.永遠
12.Others 
13.Tomorrow never knows
14.fanfare 
en1.生きろ

ああ、そうだ、この感じだ。
このバンドの音楽に生かされてきたんだ。
そんな懐かしさと、感動と、ここにきてまだこんなにも凄いライブをみせてくれるんだという驚きと、鳥肌、涙。
いろんな感情が止めどなく溢れてきた。 

プレライブというだけあり、体感にすればあっという間だったけど、1曲1曲の密度の濃さはその分すごかった。
桜井さん曰く"カルピスの原液"に近いという最少編成のサウンド、やっぱりバンドが剥き出しで好きだ。

そして『Worlds end』でも触れた桜井さんのボーカル。
何度でも言いたい。
本当に凄かった。
まだそんな感動を抱けるという感動。

きっとコロナ禍でも、表に出ないところでも、ずっと歌い続けてきたのだろう。
そんな桜井さんの歌に引っ張られるようなバンドの生命力もまた、物凄くて。
これはドーム、スタジアムでどうなってしまうのか…というか、これから先、何十年もまだまだ楽しみしかないじゃないか、Mr.Children。

ちなみにライブ前後には、仲間と写真を撮ったり、あーだこーだいろいろ語りながら酒を飲むなんてことをめっちゃめちゃ久しぶりにした。
そうやって感動を分かち合える仲間がいるのはやっぱりいいもんだし、やっぱり最初に好きになったバンドだけあって、Mr.Childrenで得た繋がりは長くて太い。

コロナ禍になってからは特にそういう機会は減ってしまったし、疎遠になってしまった人たちもいるけど、そうした繋がりも引き続き大切にしながら、末永くこのバンドと生きていきたい。